公立ルートを行く

公立中学校から高校受験を経て国公立大学に進学するルートの魅力を発信します

2023-01-01から1年間の記事一覧

藤井八冠の対局を見て思うタイムマネジメントの重要性

私はいわゆる「観る将」*1である。藤井聡太棋士が2016年にプロデビューしてから、2023年10月11日に王座を獲得して史上初の八冠になるまで、藤井棋士の対局を abemaTVや将棋アプリで観戦してきた。 北斗神拳2000年の歴史で最強の男がケンシローなら、将棋400…

横浜サイエンスフロンティアは高校受験でこそ狙いたい

横浜サイエンスフロンティア高校は、神奈川県の公立中高一貫校(横浜市立)であり、また高校から入学できる学校である。2023年入試の学力検査合格者平均は432.8点*1で、学力向上進学重点校である厚木高校や川和高校を上回った。また、2017年4月に開校した附…

神奈川県立高校か都立高校か 町田市周辺の地理的事情

ある時期、子供の将来の進路として、神奈川県立高校と東京都立高校のどちらが良いのか、真剣に考えたことがある。それというのも、東京都町田市が地理的には神奈川県に入り込んでいて、一駅違えば東京都民にもなれるからである。 東急田園都市線の長津田駅か…

中2国語の「クマゼミ」は中学生を科学的探究へと誘う

中学2年の国語の授業で、「クマゼミ増加の原因を探る」(以下、「クマゼミ」)を習う。元京都大学教授の沼田英治先生の研究成果だ。 小4の学習テーマ「ごんぎつね」は小学生を深い学びへと誘うが、中2の「クマゼミ」は中学生を科学的探究へと誘う。 小4で…

「相互確証破壊」という理論を産んだ頭脳

国家間の軍事的な関係において、「相互確証破壊」という理論ほど、その誕生から現在に至るまで、有効に機能してきたものはないのではないだろうか。しかし、この理論が有効に機能しない世界情勢になりつつあるように思える。 相互確証破壊 1965年にアメリカ…

湘南高校を目指すなら 実技3教科で5を取りたい

湘南高校の魅力については語るまでもない。神奈川県民なら誰でも憧れる「湘南ブランド」。湘南の海、加山雄三、サザンオールスターズ、スラムダンク、そして湘南高校だ。 湘南高校を第一希望にする難しさ 湘南高校は、神奈川県の学力向上進学重点校(以下、…

「ゾウの時間 ネズミの時間」と高校数学

少し前の話になるが、子供(娘)が中学生になって生物に興味を持つようになったので、何の気なしに「ゾウの時間 ネズミの時間」(著者は本川達雄東京工業大学名誉教授)をアマゾンで買って渡した。1ヶ月ぐらいして、読むのに随分苦労していたので、自分で本…

市ケ尾高校は文武両道を行く公立上位校

市ケ尾高校は、横浜北部の公立上位校である。スポーツでの活躍が目立つが、大学合格実績も良い。実は、市ケ尾高校の隠れたライバルはMARCH附属高校ではないかと思う。 2024年入試選考基準 市ケ尾高校は、55型(内申5、学力検査5)を採用する。また、実技…

海老名高校はなぜ学力検査重視の入試選考基準を採用したのか

海老名高校は、県央地区の公立上位校である。同校は、2024年入試選考基準として37型(内申3、学力検査7)を採用した。学力検査を重視した37型は、神奈川県公立高校(全日制)のうち10校しか採用していない。各校それぞれに戦略的な意図があるはずであ…

Follow-up:メガバンクが専門人材の採用を増やす

2023年9月26日付の日経朝刊で、「メガ、新卒を専門人材に」と題した記事を読んだ。メガバンクは、2025年入行の採用で、配属部署を特定するコース採用を拡充する。市場取引(為替、債券など)やDXの中核人材を育てるが目的である。 以下のブログを参照; www.…

大学入試の二極化の行方

令和4年の大学進学率は過去最高の56.6% 少子化が進んでいるのに、なぜ大学生の数が過去最高水準にあるのか。これは、大学進学率の上昇によるもので、大学進学率(過年度卒を含む)は過去最高の56.6%に達している(令和4年度学校基本調査)。女性の大学進学…

早慶附属高校を目指す背景(男子編)

男子中学生の場合、女子と違って早慶附属高校の選択肢が多い。今回は、男子中学生が早慶附属高校を目指す背景について考えてみたい。 早慶に入るタイミング問題 中学受験で早慶附属中学に入るのと、高校受験で早慶附属高校に入るのとでは、どちらの方が狙い…

MARCH附属高校を目指す背景(女子編)

なぜ、MARCH附属高校の人気が高いのか 子供(娘)が通う横浜市の公立中学校では、私立高校に進学する生徒の方が公立高校に進学する生徒よりも多い(年によって変動するが、55対45ぐらい)。そして女子に人気なのがMARCH附属高校である。女子中学生(とその母…

柏陽高校と厚木高校の入試選考基準に現れたスタンスの違い

神奈川県公立ナンバー3(No3)の地位を確立した柏陽高校と、県央地区トップの厚木高校。今回はこの両校のライバル関係について考えてみたい。 両校へのアクセス 両校は地理的にかなり離れているが、柏陽高校がJR根岸線本郷台駅から徒歩5分とアクセスが良く…

東京学芸大附属高校の合格ラインはどこか

首都圏トップ校(横浜翠嵐、日比谷)の受験生が併願する東京学芸大附属高校(以下、学附)の入試難易度は、正規合格者+繰り上げ合格者で考えた場合、本当のところはどの程度なのだろうか。首都圏トップ校以外の受験生にも合格のチャンスはあるのだろうか。 …

公立高校の生徒は数学の遅れをいつ挽回するか

公立中学校から公立高校に進学し、国公立大学を目指す公立ルート。公立小学校の授業を満喫でき(非認知能力が育まれる)、公立中学校では多様性のある集団の中で自分の特徴を見つめることができる。こうした長所があるのだが、短所もある。公立ルートの弱点…

高校受験で個人塾を選ぶ理由

神奈川県の公立中学校の生徒の場合、ステップ(場所によってはハイステップ)、臨海セミナー、湘南ゼミナールのいずれかの大手塾に入塾する生徒が多いと思う。 横浜翠嵐高校を目指すなら大手塾を選ぶ もし我が子が横浜翠嵐高校を目指すのであれば、大手塾の…

コーポレートガバナンス・コードが会社と人材を変える

コーポレートガバナンス・コードとは何か コーポレートガバナンス(企業統治)は、会社の意思決定の仕組みを指す。コーポレートガバナンス・コード(以下、CGC)は、上場企業の意思決定の仕組みに関する指針(これに従って意思決定の仕組みを構築しなさいと…

山手学院・桐蔭学園・朋優学院の最上位コースを比較する

山手学院高校、桐蔭学園高校、朋優学院高校の3校は、神奈川県の学力向上進学重点校(以下、進学重点校)を第一希望にしている受験生のメジャーな私立併願校(併願優遇あり)として、間違いなく候補に入ってくる。今回はこの3校の最上位コースを比較してみた…

非認知能力を育み一生の財産にするのが公立ルートだ

公立ルートは子供が親に決めさせた 私は、子供(娘)が生まれたときから小学1年生になる頃までは、子供に私立中学を受験させるつもりであった。SAPIXの前を通る度に「いずれここに通わせることになるなぁ」と思っていたのである。しかし、子供が小学1年生に…

一浪(浪人)のコスパをどう考えるか

高校生の大学浪人率(全体平均)は20%程度と推計されており、一昔前よりも低下しているようだ。少子化、大学入試制度の多様化、経済環境の変化などが関係しているとされる。今回は、一浪することの経済的なコストとベネフィット(コスパ)について考えたい…

文系出身の銀行員はもはや主役ではない

三菱UFJ銀行の2018年から2022年にかけての採用人数は、1,023名→959名→514名→370名→380名である(マイナビ2024に開示されている数値)。直近では増加したようだが、採用を強化しているIT・データ分析・金融工学などの分野に強い人材の増分であろう。過去5年の…

大学合格実績は二つの指標のバランスで評価する

AI時代に公立ルートで目指したい大学は、国公立大学の理系学部である。今回は、高校の大学合格実績をどう評価するかについて考えたい。 www.dtline2002.com 従来の大学合格実績の見方 高校の大学合格実績を評価するとき、以下のものがよく使われている。 東…

「高校数学でわかる」シリーズで高校物理の先を垣間見る

ブルーバックスの対象読者は誰なんだろう ブルーバックスは、講談社が刊行している一般読者向けの科学シリーズである。「子供から大人まで楽しめる」というのがキャッチコピーだが、本当のところ、ブルーバックスの対象読者は誰なんだろう? 学校の勉強では…

新城高校に合格できるなら国公立大学を目指したい

新城高校は、川崎市ナンバー2の公立上位校である。同校の入試難易度は、学力向上進学重点校エントリー校(以下、エントリー校)とほぼ同じレベルである。入試倍率は1.50倍と高い。しかし、大学合格実績を見ると、同校の国公立大学現役合格率はエントリー校…

希望ケ丘高校は「高校力」 大和高校は「大学合格力」が魅力だ

希望ケ丘高校と大和高校。どちらも学力向上進学重点校エントリー校(以下、エントリー校)である。入試難易度は殆ど同じだが、学校のキャラクターがかなり違う印象を受けるので、受験生によってはどちらの高校を受験するか、最後まで悩むかもしれない。 エン…

素晴らしい絵本に出会う場所

えほんミュージアム清里 毎年夏に家族でえほんミュージアム清里を訪れ、素晴らしい絵本に出会ってきた。 常設展示されているイギリスの絵本作家、エロール・ル・カインの繊細な絵は、娘の描く絵にかなり影響を与えたようだ。

AI時代の最重要資源である半導体の供給源を確保せよ

半導体を巡る世界規模の戦いが勃発した二つの要因 2021年頃から、半導体を巡る議論が活発になり、これをテーマにした本を良く見かけるようになった。「半導体戦争 世界最重要テクノロジーを巡る国家間の攻防」(クリス・ミラー著)は、本のタイトルが秀逸だ…

東京外大の数学2科目必須化は 公立トップ校の受験生に影響を与えたか

※東大と一橋大学の数学入試内容の理解に誤りがあり、改定(2023年9月17日) 2023年入試で数学2科目必須化 2023年入試で、東京外国語大学が数学2科目を必須化した(大学入学共通テストの数IAと数II Bを利用)。同大学の受験生は大幅減になったとのこと。こ…

税務調査官 窓際太郎はマーロウのようにカッコいい

「税務調査官・窓際太郎の事件簿」をご存知だろうか。今は絶滅危惧種になってしまった2時間ドラマで、1998年から2020年にかけて全35作がTBSで放送された長寿作品である。 東京国税局の敏腕査察課長であった窓辺太郎(主演は小林稔侍)は、ある事件で大左遷さ…