文部科学省が9月に「令和6年度国公立大学入学者選抜の概要」を公表し、各社からその分析結果が報じられている。国公立大学の学校推薦型・総合型選抜の募集人員の全体に占める割合が23.0%となり、過去最高を更新したようだ。
国公立大学の学校推薦型・総合型選抜はどの程度増えているのだろうか。文科省の10年前の公表数字と今年の公表数字を比較してみる。
2014年→2024年の変化
国公立大学募集人員
国立 96,270人→95,241人(▲1.1%)
公立 28,407人→33,658人(+18.5%)
学校推薦型選抜募集人員
国立 11,959人→12,498人(+4.5%)
公立 7,112人→9,253人(+30.1%)
総合型選抜募集人員
国立 2,769人→6,578人(+137.6%)
公立 447人→1,342人(+200.2%)
学校推薦型・総合型選抜の割合
国立 15.3%→20.0%
公立 26.6%→31.5%
この10年間で総合型選抜の募集人員が劇的に増加しているが、その変化点は2021年度入試である。大学入学共通テストがスタートした年であり、入試制度改革の一環として、総合型選抜の募集人員が大幅に増えたのである。
2024年度入試で、新たに学校推薦型・総合型選抜を実施する大学・学部
国立大学・学校推薦型選抜
東工大(生命理工学院)
お茶の水女子(共創工)
山梨(工)
国立大学・総合型選抜
宇都宮(データサイエンス)
千葉(情報・データサイエンス)
お茶の水女子(共創工)
兵庫教育(学校教育)
岡山(医)
公立大学・学校推薦型選抜
旭川市立(経済、保健福祉)
富山県立(情報工)
京都府立
(農業食料、生命理工情報、環境科)
下関市立(データサイエンス)
高知工科
(データ&イノベーション学群)
周南公立(人間健康科、情報科)
公立大学・総合型選抜
旭川市立(経済、保健福祉)
高知工科
(データ&イノベーション学群)
データサイエンス学部の新設が目立つ。政府がデータサイエンス学部の新設を後押ししているからである。大学側としては、生徒がどの程度集まるか手探り状態なので、学校推薦型選抜・総合型選抜の募集をするのだと思う。
女子枠の新設
2024年入試では、女子枠の新設も目立つ。
(出典)旺文社教育情報センター
2024年 国公立大入試「選抜要項」分析
北見工業(総合型)
電気通信(学校推薦型)
東京工業(学校推薦型、総合型)
富山(学校推薦型)
金沢(総合型)
山梨(学校推薦型)
名古屋(学校推薦型)
名古屋工業(学校推薦型)
島根(学校推薦型)
熊本(学校推薦型)
大分(学校推薦型)
琉球(学校推薦型、総合型)
兵庫県立(学校推薦型)
山口東京理科(学校推薦型)
高知工科(学校推薦型)
女子枠新設の背景については、別の機会に考察することにしたい。しかし、男女共同参画社会の到来という大きな流れの中での動きであることは間違いないと思う。
学校推薦型・総合型選抜を狙いたい
国公立大学においても学校推薦型・総合型選抜のウェイトは増していく。これは時代の要請なのだと思う。そして、この流れに乗らない手はない。
学校推薦型・総合型選抜の素晴らしさは、高校時代に迷いなく「深い学び」を追求できることである。「深い学び」の先に学校推薦型・総合型選抜があるのだから、当然と言えば当然である。