一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部は、2023年に新設された学部である。国立大学文系最高峰の一橋大学がこの文理融合型の学部を創設したことの意味は大きいと思う。今回は同学部の学校推薦型選抜の中身を見ていくが、出願要件が非常に厳しい。
学校推薦型選抜の概要
募集定員:
5人。
一般入試の募集定員も30人なので、こんなものかもしれないが、もう少し増やして欲しいところである。
日程:
出願期間:1月22日〜2月2日
第1段階選抜: 大学入学共通テスト
同 合格者発表:2月6日
第2次試験:2月8日
同 合格者発表:2月9日
年明けから出願期間に入る。第1段階選抜の結果発表から3日後には最終合格発表というスピード感。
出願要件:
以下のいずれか1つを満たす必要がある。※簡略的に記載
- 英検1級、TOEFL iBT 93点以上、他
- 独検準1級、他
- 仏検準1級、他
- 中検準1級、他
- 日本数学オリンピックで予選通過(Aランク取得者)またはBランク上位者
- 応用情報技術者試験合格
- 日本情報オリンピックの予選Aランク取得者
- 統計検定2級合格(A評価以上)もしくは1級の統計数理合格
- 国際バカロレア資格授与
英検1級が出てきた時点で「Oh my goodness」。
第1段階選抜:
大学入学共通テストを受ける。同学部の一般入試の受験者の上位60位相当の得点以上であった者が合格になる。
利用科目
国語 50点
数学 50点
数IAは必須。数IIB、簿記・会計、情報から1科目選択。
外国語 50点
地理歴史・公民 50点 ※
理科 50点 ※
計250点
※地理歴史・公民と理科については、以下の選択肢あり:
パターン1
地理歴史・公民から2科目を受験する場合、物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎から2科目を受験するか、物理・化学・生物・地学から1科目を受験する。
パターン2
地理歴史・公民から1科目を受験する場合、物理・化学・生物・地学から2科目を受験する。
東大文系学部の受験では、物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎から2科目を受験するパターンしかない(物理・化学・生物・地学を受験しても同基礎扱い)。
第2次試験:
小論文300点、面接150点、調査書・推薦書40点、自己推薦書10点により、総合的に合否判定する。
2023年入試結果
学校推薦型選抜については、志願者4人中、第1段階選抜合格者1人(この人は第2次試験も合格)。一般入試の方は、志願者182中、第1段階選抜合格者94人。第2次試験受験者93人中、合格者37人。
学校推薦型選抜の志願者がなんと4人しかいない。出願要件が超エグすぎるからか。商学部など他の学部の出願要件もほぼ同内容(例えば、商学部では日商簿記1級合格が入る)であり、一橋大学の学校推薦型選抜は出願すること自体が難しい。
学校推薦型選抜を狙うか
ソーシャル・データサイエンス学部の大学入学共通テストのボーダー得点率(一般入試前期)は85%である(河合塾)。さて、学校推薦型選抜の第1段階選抜を勝ち抜くためには、大学入学共通テストで一般入試受験者上位60位相当の得点率が必要になるが、この得点率は何%なのか。まさか、85%を超えているのか。
学校推薦型選抜の出願要件については、高校1年のスタートから、例えば英検1級か統計検定に的を絞って勉強する戦略はありだと思う。どちらかを選んで勉強すれば、仮に合格には至らなくても役に立ちそうである。
「学校推薦型選抜の出願要件をクリアできたら、共通テスト得点率は80%でOKですよ」という話ならいいんだけど、そうは問屋が卸さない。一般入試ではなく学校推薦型選抜を目指すべきか、ちょっとわからない。