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東工大の女子枠はチャンス到来を告げる(総合型選抜編)

 今回は、東工大女子枠(総合型選抜)の概要を見ていきたい。


女子枠(学校推薦型選抜)については以下の記事を参照:

東工大の女子枠はチャンス到来を告げる(学校推薦型選抜編) - 公立ルートを行く

 

女子枠(総合型選抜)の概要

 第1段階選抜は大学入学共通テスト(以下、共通テスト)、第2段階選抜は筆記試験、面接、共通テスト及び提出書類を総合的に評価して合格者を決定する仕組み。但し、学院によって第2段階選抜の内容は大きく異なる。

 第2段階選抜で筆記試験があるといっても、試験時間は90分か120分である。面接だけの学群もある。一般選抜の個別学力検査は2日間にわたる試験時間510分の戦いであることを考えると、全く違う入試制度だ。

 

募集定員:

物質理工学院20人
情報理工学院14人
環境・社会理工学院
 建築学系3人
 土木・環境工学系3人
 融合理工学系3人

 生命理工学院は学校推薦型選抜で募集しているので、総合型選抜での募集はない。

 

日程:
出願期間:12月18日〜12月20日
ー共通テストー
第1段階選抜合格者発表:2月5日
第2段階選抜実施日:2月11日
合格者発表日:2月13日

 一般選抜の第1段階合格者発表日は2月13日。総合型選抜での合格者が少ない場合には、空いた分を一般選抜の募集人員に追加する。

 

出願書類:

調査書

志望理由書(800字以内)

活動実績報告書
(情報理工学院、環境・社会理工学院に出願する場合)

 

 情報理工学院の場合、活動実績報告書が最も重要になる。活動実績とは、どのようなものを想定しているのだろうか。国際物理オリンピックや日本情報オリンピックでの活躍(本戦進出かそれに準じる成績)だと、非常に狭き門である。数学と理科(物理)に秀でた者がふさわしい分野なので、総合型選抜で合格者を選ぶなら、そのレベルを求めているように思う。

 

第1段階選抜

 大学入学共通テスト(以下、共通テスト)を受ける。

 

共通テストの科目と配点

国語200点
地理歴史・公民100点
数学2科目200点
(数IA、数IIB)
理科2科目200点 
(物理・化学・生物・地学から2科目)
外国語200点 
 計900点

※物質理工学院の女子枠のみ、理科300点、外国語300点で計1,100点。

 

物質理工学院の場合

 志願者数が女子枠募集人員の1.5倍を超えた場合、共通テストの得点合計により選抜する。

 上位30人以内に入った者が合格ということになる。2023年度入試では、募集人員18人に対して志願者94人、第1段階選抜合格者32人(募集人員の1.8倍)であった。

 

情報理工学院の場合

 活動実績報告書の内容が重視される。共通テストの成績は基礎学力の判定のみのために用いられ、得点合計720点以上(得点率80%以上)が必要。女子枠募集人員の1.5倍が合格者の上限になる。

 活動実績報告が最大のポイントになる。2023年度入試では、募集人員6人に対して志願者35人、第1段階選抜合格者8人(募集人員の1.3倍)であった。

 

環境・社会理工学院の場合

 募集人員の約2倍を合格者の上限とする。

 それぞれの学系で、上位6人以内に入ったものが合格ということになる。2023年度入試では、募集人員17人(3学系合計)に対して志願者98人、第1段階選抜合格者37人(募集人員の2.2倍)であった。

 

第2段階選抜

物質理工学院>

 筆記試験は課されず、面接のみ。科学的な知識及び考え方について試問があり、考察力、表現力とともに物質についての科学技術を学ぶうえでの適性が評価される。また、女性が活躍できる環境調和型社会に貢献するために同学院で学びたいこと、及び自身の将来像をふまえた志望動機を論理的かつ明快に説明する能力が評価される。

 総合問題(面接)110点、共通テスト110点、並びに提出書類を総合的に評価して合格者を決定する。

 共通テスト成績で募集人員の1.5倍までに絞り込み、面接と提出書類で人物を評価して最終合格者を決定する仕組みと理解する。2023年度入試では、第1段階選抜合格者32人のうち、第2段階選抜受験者29人、最終合格者18人であった。

 

情報理工学院の場合

 筆記試験は課されず、面接のみ。志願者の活動実績報告書に関する発表や質疑応答等に基づき、情報に対する適性・素養・説明能力が評価される。また、ダイバーシティ社会で躍進するために同学院で学びたいこと、及び自身の将来像をふまえた志望動機を論理的かつ明快に説明する能力が評価される。

 共通テスト得点率80%以上を条件に、活動実績報告の内容をうまく説明できる者を合格者とする仕組みと理解する。2023年度入試では、第1段階選抜合格者8人のうち、第2段階選抜受験者8人、最終合格者5人であった。

 

環境・社会理工学院の場合

 建築学系の場合、総合問題として造形課題(120分)が課される。土木・環境工学系の場合、筆記試験(90分)及び面接が課される。融合理工学系の場合、面接のみが課される。いずれも、共通テストの成績は考慮されない。

 2023年度入試では、第1段階選抜合格者37人のうち、第2段階選抜受験者37人、最終合格者18人であった。

 融合理工学系は2016年4月に新設された学系で、東工大の中では異色な(文系色もある)学系ではないかと思う。

 

総合型選抜を狙うか

 東工大の一般選抜では、共通テストで高得点を取って先行逃げ切りを狙うことはできず、個別学力検査(2次試験)の結果で合否が決まる。まさに逆転可能な受験の仕組みである。それに対して、女子枠の総合型選抜の場合、第1ラウンド(共通テスト)で募集人員の1.5倍または2倍の順位内に入れるかどうかの戦いになる。

 

 物質理工学院の場合は、第1ラウンドの次に待っているのは、学力・人間性などが評価される面接である。この面接、第1ラウンドを勝ち抜いた30人が20人の枠を競うわけなので、一般選抜の個別学力検査よりは、なんとかなりそうだ。

 

 情報理工学院の場合は、活動実績報告が合否を決める。出願する時点で、すでに合否の重要な部分は決まっている。

 

 環境・社会理工学院については、一般選抜と同じで共通テスト成績はキャリーされない。建築学系であれば造形課題、土木・環境工学系であれば筆記試験、融合理工学系であれば面接で五分五分の戦いに勝たねばならない。

 

 東工大の女子枠はチャンス到来を告げるが、(情報理工学院を除いて)共通テスト得点率85%以上の学力を有する女子に対してのものと考えておくべきかと思う。