前回は、東京都立大学の沿革や特徴(個人的に注目している点)について書いた。今回は、同大学の入試制度のうち、一般選抜を見ていきたい。
大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の得点率75%をベースライン(基準値)として考えていきたい。公立上位校の学力上位15%以内(学習成績概評A段階)の生徒であれば、達成可能な得点率であると思うからである。
2024年度募集人員
一般選抜(前期)887
一般選抜(後期)207
一般推薦 165
指定校推薦 188
ゼミナール入試 23
計1,470
同大学は多様な入試制度を実施している。上に挙げた5つの選抜方法は代表的なものである。一般推薦と指定校推薦は学校推薦型選抜、ゼミナール入試は総合型選抜にそれぞれ該当する。
2023年度入試での入学者数
一般選抜(前期)1,058(66.2%)
一般選抜(後期)198(12.4%)
一般推薦 168(10.5%)
指定校推薦 152(9.5%)
ゼミナール入試 22(1.4%)
計1,598
入試倍率
一般選抜(前期)3.3倍
一般選抜(後期)10.0倍
一般推薦 3.2倍
指定校推薦 1.0倍
ゼミナール入試 2.2倍
ここからは、二つの学部学科に絞って、詳細を見ていく。
理学部生命科学科
一般選抜(前期)入試結果
募集人員20人に対して、志願者67人、合格者26人、入学者24人。入試倍率は2.6倍と全体平均よりは低い。共通テストのボーダー得点率(河合塾)は70%。
前期に受験すれば合格できる可能性が高い。
一般選抜(後期)入試結果
募集人員10人に対して、志願者50人、合格者12人、入学者11人。入試倍率は4.2倍と全体平均よりは低い。共通テストのボーダー得点率(河合塾)は76%。
前期は他の国立大学にチャレンジ受験、後期に東京都立大学受験だと危なくなる。
選抜方法
①共通テスト(第一次選抜)
国語 100点
地歴・公民1科目 50点
数学I・数学A 50点
数学II・数学B 50点
理科2科目 100点
(物理・化学・生物・地学から選択)
外国語(英語) 200点
計550点
第一次選抜で、募集人員の約6倍に絞られる。英語の配点割合が36%もある。理系であっても、英語は重要であることがわかる。
②個別学力検査(第二次選抜)
数学 200点
(数IA、数IIB、数III)
理科2科目 400点
(物理・化学・生物・地学から選択)
計600点
共通テスト(配点550点)、個別学力検査(600点)、調査書等(配点5点)の合計点で合否が決まる。
システムデザイン学部機械システム工学科
一般選抜(前期)入試結果
募集人員40人に対して、志願者207人、合格者60人、入学者58人。入試倍率は3.5倍と全体平均よりは高い。共通テストのボーダー得点率(河合塾)は71%。
前期に受験すれば合格できる可能性が高い。
一般選抜(後期)入試結果
募集人員19人に対して、志願者183人、合格者23人、入学者21人。入試倍率は8.0倍と全体平均よりは低い。共通テストのボーダー得点率(河合塾)は77%。
後期だと厳しい。
選抜方法
①共通テスト(第一次選抜)
国語 100点
地歴・公民1科目 50点
数学I・数学A 50点
数学II・数学B 50点
理科(物理) 50点
理科(選択) 50点
(化学/生物から1科目選択)
外国語(英語) 100点※
計450点
※第二次選抜では外国語200点(合計550点)になる。
第一次選抜で、募集人員の約6倍に絞られる。物理は必須になる。第一次選抜での英語の配点割合は22%。
②個別学力検査(第二次選抜)
数学 250点
(数IA、数IIB、数III)
物理・物理基礎 250点
計500点
共通テスト(配点550点)、個別学力検査(500点)、調査書等(配点10点)の合計点で合否が決まる。
考察
共通テスト得点率75%の実力の受験生だと、一般選抜(前期)で東京都立大学より難易度の高い国立大学を受験するケースが多いのではないだろうか。しかし、前期で不合格になると、後期で同大学を受験しても合格は厳しくなる。
次回は学校推薦型選抜を見る予定である。