公立ルートを行く

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東工大向きか筑波大向きかで変わる大学受験戦略

 親としては、我が子が東京工業大学(以下、東工大)に将来入れるなら、生活費もかからない(神奈川県在住)し、これに勝るものはないのだが、東工大は高くそびえ立つ難攻不落の冬山のように見える。実力がないのにアタックすれば遭難必至である。

 

 東工大の場合、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の成績は、第1段階選抜でしか使われない。リセットされて、第2段階選抜(個別学力検査)を勝ち抜く必要がある。我が子(中3女子)を東工大の一般入試で男子達と競わせる気にはとてもなれない。リケジョを目指すにしても、共通テストと個別学力検査の成績が合算で評価され、英語の配点比率が東工大より高く、数学・理科の試験問題が東工大よりは易しい大学を探したい。そこで浮かび上がってくるのが筑波大学(以下、筑波大)である。

 

 今回は、東工大と筑波大の一般入試と学校推薦型・総合型選抜を比較する。「難関大学と準難関大学の比較でしょ」と言ってしまえばそうなのかもしれない。入試難易度の違いを見ることになるだろう。しかし、筑波大学は、入試では準難関大学の位置付けかもしれないが、国内トップ10に入る大学である。高校生は、自分が東工大向きか筑波大向きかを見極めて、大学受験戦略を構築した方が良いと思う。我が子に対しては、高1の時に今回の話をしっかりするつもりである。

 

一般入試の比較

※東工大は生命理工学院、筑波大は総合選抜理系IIで比べる。

 

共通テスト

 両大学ともに、国語200点、地理歴史・公民100点、数学200点、理科200点、外国語(以下、英語とする)200点の計900点。

 

東工大の個別学力検査

 数学300点(180分)
 英語150点(90分)
 物理150点(120分)
 化学150点(120分)
  計750点

  • 共通テスト成績はキャリーされない
    (リセット)
  • 英語の配点割合は20%と低い
  • 数学の試験時間は3時間!
  • 物理と化学の試験もそれぞれ2時間!
  • 生物の選択肢はない

 

筑波大の個別学力検査

 数学500点(120分)
 英語500点(120分)
 理科500点(120分)
  計1,500点

  • 共通テストの割合が37.5%、個別学力検査の割合が62.5%
  • 英語の配点割合は29%と高い
  • 数学の試験時間は2時間
  • 理科2科目の試験時間は各1時間
  • 生物の選択肢あり

 

<特徴>

  • 東工大の数学の試験時間3時間は非常に長く、筑波大の数学の試験時間120分は短い。旧帝と呼ばれる難関大学の数学の試験時間は150分で、東工大と筑波大の間に入る。

  • 東工大の英語の配点割合20%は低く、筑波大の英語の配点割合29%は非常に高い。難関大学の英語の配点割合は20%台前半で、やはり東工大と筑波大の間に入る。

  • 東工大の個別学力検査100%(共通テスト0%)は難関大学の中でオンリーワン。筑波大学の個別学力検査割合37.5%は、突出して高くもなく低くもない水準。
     

学校推薦型・総合型選抜の比較

 東工大の学校推薦型・総合型選抜は共通テストの成績が重要になる。合格者平均は開示されていないが、共通テスト得点率85%以上が必要になると思う。特徴を端的に表現すると、「共通テスト高得点型」ということになる。

 

 筑波大の学校推薦型選抜は共通テストを利用せず、小論文(筆記試験)と面接を課す。筆記試験は2時間で、その中で英語力もチェックされるが、個別学力検査に比べたら負担は軽い。総合的な合否判定のポイントを考慮すれば、「学校活動重視型」である。筑波大の場合、学校推薦型選抜による入学者が全体の25%を占める。

 

以下の記事を参照:

東工大の女子枠はチャンス到来を告げる(学校推薦型選抜編) - 公立ルートを行く

東工大の女子枠はチャンス到来を告げる(総合型選抜編) - 公立ルートを行く

筑波大学の学校推薦型選抜から国立大学入試の未来図が見える - 公立ルートを行く

 

どちらの大学を目指すか

 一般入試なら、我が子の特性を考えると筑波大一択である。東工大はない。

 

 筑波大の学校推薦型選抜は魅力的である。総合選抜(受験時に学群・学類を決めない方式)だと、大学1年目は学部にとらわれない科目を選択できるので、文系・理系の概念があまりない我が子に合っていそうである。

 

 本来であれば、一般入試であれ学校推薦型選抜であれ、筑波大で決まりになるところだったが、東工大に女子枠が創設されることになった。但し、現時点の分析では、共通テスト得点率85%以上の学力を有する女子の間の戦いになると予想する。従って、様子見スタンスである。