公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

公立上位校の教育課程表を見る5つのポイント(総まとめ編)

 学力向上進学重点校(以下、進学重点校)8校、学力向上進学重点校エントリー校(以下、エントリー校)8校、公立上位校3校の教育課程表を数回にわたって見てきた。今回は、総まとめをしたい。

※エントリー校のうち、横須賀高校の教育課程表は残念ながら見つからなかった。横浜国際高校はグローバル教育に特徴があり、今回は取り上げなかった。

※公立上位校は県内に他にも数校はあると思うが、我が子が地理的に通える範囲から3校を選んだ。

 

ポイント①
高1で理科基礎科目を3科目履修するか、2科目履修するか

 高1で化学基礎・物理基礎・生物基礎の3科目を全て履修するか、そのうちの2科目を履修するかが、最初のチェックポイントになる。

3科目履修10校:
横浜翠嵐、柏陽、厚木、川和、小田原、大和、相模原、平塚江南、市ケ尾、海老名

 

2科目履修9校:
化学基礎・生物基礎 履修:

湘南、横浜緑ケ丘、希望ケ丘、光陵、鎌倉、茅ケ崎北陵

 

化学基礎・物理基礎 履修
多摩、新城

 

物理基礎・生物基礎 履修
横浜平沼

 

 3科目履修のメリットは、高2以降で理科の進度を速くできる点である。2科目履修のメリットは、高1で地理歴史2科目(地理総合、歴史総合)を履修することで、高2で地理歴史の探究科目(地理探究、日本史探究、世界史探究のうち1科目または2科目)を履修できる点である。

 

 物理基礎については、数IIを履修後に学んだ方が、速度や加速度などを微積分(基礎)を使って理解できるメリットがある。高2で物理(物理基礎履修後)を選択履修する場合、数IIを先取り学習しておくのが理想的だと思う。

 

ポイント②
高2で化学が必修か、選択履修か

 高3で文系・理系に分ける(文理選択を高3まで留保)パターンの場合、高2で化学が必修になる。

化学必修5校:
湘南、厚木、横浜緑ケ丘、光陵、平塚江南

 

 大学受験に向けた最短(効率的な)ルートにするのであれば、高2で文系・理系に分ける(化学は選択履修)ことになる。化学必修が5校しかないのは、文系志望の生徒への負担が大きいからだと思う。

 

ポイント③
高2で数IIBCが必修か、選択履修か

 国公立大学受験の場合、文系・理系を問わず、数IIBCを履修する必要がある。

数IIBC必修11校:
厚木、横浜緑ケ丘、多摩、小田原※、希望ケ丘、大和、相模原、光陵、鎌倉、平塚江南、新城
※数学Σ(学校設定科目)の中に数学BCがあると推定した。

数IIB必修3校:
横浜翠嵐、湘南、川和
(高3で数学Cを選択履修)

数IIC必修1校:
柏陽(高3で数学B必修)

 

数II必修4校:
横浜平沼、茅ケ崎北陵、市ケ尾、海老名
(高3で数学BCを選択履修)

 

 数学Cは、2012年に一旦廃止され、2022年に復活した。2025年大学入学共通テストから、数IIBは数IIBCに変わる。数学Bと数学Cの単元は以下の通り:

 

数学Bの単元:
数列、統計的な推測、数学と社会生活

 

数学Cの単元:
ベクトル、平面上の曲線と複素平面、数学的な表現の工夫

 

 大学で文系学部に進むにしても、少なくとも数学Bは必要になりそうである。

 

ポイント④
地理歴史の探究科目を高2で履修するか、高3で履修するか

 新学習指導要領では、歴史総合を履修した後に日本史探究/世界史探究、地理総合を履修した後に地理探究を選択履修する。

 

高2で履修14校:
横浜翠嵐、柏陽、横浜緑ケ丘、多摩、小田原、希望ケ丘、大和、相模原、光陵、横浜平沼、鎌倉、茅ケ崎北陵、新城、市ケ尾

 

 横浜緑ケ丘と光陵の2校は、高1で理科2科目履修+高2で化学必修のタイプで、理科の進度が若干遅くなるものの、生徒全員が地理歴史の探究科目を履修する。残りの11校は、高2で文系コースを選択した場合である。

 

高3で履修5校:
湘南、厚木、川和、平塚江南、海老名

 

 湘南、厚木、平塚江南の3校は、高3で文系・理系に分けるタイプであり、高2で化学が必修になる代償として、地理歴史の探究科目は高3での履修になる(厚木と平塚江南は文系コースのみ)。

 

 川和高校の場合、高1で地理歴史・公民は1科目しか履修しない。また、家庭基礎を履修しない分、高2では地理歴史の探究科目に時間を割けない。

 

 海老名高校は、高1では理科基礎3科目の履修を優先し、高2で歴史総合及び地理総合を履修する。

 

全生徒が地理歴史探究科目を履修4校:
湘南、柏陽、横浜緑ケ丘、光陵

 湘南高校は、高3で理系コースを選択した場合でも、日本史探究または世界史探究を選択履修する(後期)。

※教育課程表を見るとそのように読み取れるが、「本当かな」とも思う。ただ、この学校は高3文系コースで理科科目を選択必修する。

 

 柏陽高校は、高3で地理探究が必修。但し、高3で「総合的な探究の時間」がない。

 

 横浜緑ケ丘高校は、高2で地理探究、日本史探究、世界史探究から1科目を選択履修。但し、理科の進度が遅い。

 

 光陵高校は、高2で日本史探究または世界史探究を選択履修。但し、理科の進度が遅い。

 

 地理歴史の探究科目は親の世代にはなかったもので、好奇心豊かな高校生にとって非常に面白い授業ではないかと想像する(教える先生によるだろうけど)。この探究科目は、できれば受験モード全開の高3よりは高2で履修したい。

 

ポイント⑤
学校設定の探究プログラムを推進しているか

 SSH指定校や理数教育推進校の場合、学校設定の探究プログラムを推進している。

SSH指定(7校):
厚木、横浜緑ケ丘、多摩、小田原、希望ケ丘、相模原、平塚江南

 

理数教育推薦校(1校):
鎌倉

 

 探究プログラムが充実しているほど「深い学び」を得られるが、大学受験に向けた最短ルートの学習ではなくなってくる。何かを得ようと思えば、何かを犠牲にしなければならない。まさにトレードオフである。