公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

市ケ尾高校は文武両道を行く公立上位校

 市ケ尾高校は、横浜北部の公立上位校である。スポーツでの活躍が目立つが、大学合格実績も良い。実は、市ケ尾高校の隠れたライバルはMARCH附属高校ではないかと思う。

 

2024年入試選考基準

 市ケ尾高校は、55型(内申5、学力検査5)を採用する。また、実技4教科のうち、高得点の1科を2倍カウントする。学校からのメッセージは、「内申を重視します。実技教科が得意な生徒を優先的に合格させます。」になるかと思う。県央地区まで含めて見渡したとき、海老名高校(37型で学力検査重視)とは対照的な選択をしたことになる。しかし、文武両道を行く市ケ尾高校ならではの入試選考基準だと思う。

 

スポーツ系部活動の活躍が目立つ

 自分が関心を持っているスポーツにどうしても目がいってしまうので、偏りがあるかもしれない。2023年夏の高校野球選手権神奈川大会で、市ケ尾高校はベスト16に残った。最後に負けたのは、その後に全国優勝した慶應義塾である。女子のバドミントン部も凄い。2年前に関東大会に出場している。

 ※高校のダンス部がどういうものかは正直わからない。「チア ダン」は映画もテレビも見た。市ケ尾高校のダンス部が凄いのは知っている。

 

 私立のスポーツ強豪校に進んで活躍するのも良いが、公立高校のチームあるいは個人として大会を勝ち上がり、ジャイアントキリングを目指すのは醍醐味がある。そこに至るまでの練習や経験が最高の思い出になるだけでなく、社会人になってから大きな財産になる。

 

大学合格実績

 「令和5年度学校案内」によれば、国公立大学現役合格率は5.7%(2023年3月の卒業生386人中、合格者22人。21人が進学)で、いわゆる学校のトップ層(上位5%)が国公立大学に進学する。

 

 私立大学への進学率は81.9%(316人)であるが、各大学の合格者数は前年度から大幅に減少している。一般的な傾向として、少子化に加えて年内入試(総合型選抜、学校推薦型選抜)へのシフトにより、私立大学受験者数は年々減少している(河合塾の調べでは、2023年入試の減少は4%)。年内入試が増えると併願が不要になるので、大学合格者数の減少はもっと大きくなる。

 

市ケ尾高校の私立大学現役合格者数
(2022年→2023年)

早稲田 24人→4人
慶應 4人→2人
明治 76人→30人
青山 48人→27人
立教 34人→19人
中央 46人→31人
法政 93人→59人

上智 6人→2人
東京理科 7人→13人

 

 びっくりする減り方だが、それでは別の大学が増えているかというと、そうでもない(神奈川+8人、専修+9人が目立つくらい)。

 

 一方で、東京理科大の合格者は7人から13人に増えている。学力上位層では、文系から理系へのシフトが起きているのではないかと思う。

 

本来のポテンシャルに対して、入試難易度は少し低い

 横浜北部のトップ校は、学力向上進学重点校の川和高校である。この地域の傾向として、川和高校に一歩届かない生徒(特に女子)が次に目指すのはMARCH附属高校になる。

 

 MARCH附属高校に進学すれば、MARCHブランドを確保できる。市ケ尾高校に進学した場合、MARCH以上の大学に合格できるのは恐らく上位20%〜30%なので、MARCHブランドをベースラインと考える親子は、リスク回避のためにMARCH附属高校を目指すのだと思う。

 

以下の記事を参照:

www.dtline2002.com

 

 公立高校の中での市ケ尾高校の位置付け(横浜北部で2番手の公立上位校)を考えると、本来であれば入試難易度はもう少し高いはずであるが、MARCH附属高校に向かう生徒がいるため、入試難易度が少し低くなる。見方を変えれば、市ケ尾高校は、本来持っているポテンシャルに対して、少し入りやすい学校だと言える。

 

市ケ尾高校の魅力は多様性(選択肢の幅)

 公立中学校に比べれば、高校受験を経て生徒が集まって来るので、学力面での幅は少なくなっているわけだが、高校進学後に勉強を頑張る生徒もいれば、部活動に打ち込む生徒もいるので、ここで多様性が復活する。やっぱり、集団というのはいろんな人が集まっている方が活力があって面白いと思う。

 

 繰り返しになるが、市ケ尾高校のトップ層(上位5%)に入れば国公立大学に合格できる。スポーツに打ち込んで、ジャイアントキリングを目指すこともできる。総合型選抜や学校推薦型選抜の選択肢もある。

 

 市ケ尾高校に入ってからの多様性(あるいは選択肢の幅)に魅力を感じる。人間の成長曲線の個人差は結構大きいと思うからだ。

 

 そして、高校を卒業して10年ぐらい経ってから、高校時代の仲間の多様性が価値を持ち始めると思う。