公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

慶応女子と国公立トップ校を併願する背景

早慶附属高校の合格者は二極化している

 これまでに「早慶附属高校を目指す背景(男子編)」を書いたが、これは早慶附属高校を第1希望にしている生徒の話であった。早慶附属高校の合格者は、男女を問わず、早慶附属高校を熱烈に希望する生徒と、実は首都圏の国公立トップ校が第1希望の生徒に二極化している。

 

以下の記事を参照:

www.dtline2002.com

 

なぜ国公立トップ校が第1希望なのに早慶附属高校を併願するのか

 子供(娘)の親としての率直な想像だが、国公立トップ校が第1希望で合格ラインの近辺にいる場合、合格確率は五分五分なので、早慶附属高校を併願することで難関校への合格チャンスを2倍にするということではないかと思う(本当に2倍になっているかはまた別の話)。

 

 子供は(中学受験を経験していない限り)受験を恐れない。国公立トップ校と早慶附属高校の併願戦略は親が誘導しているのだと思う。そして、そこにビジネスチャンスを見て、課金システムを構築する大手塾が存在する。順番が逆かもしれない。

 

慶応女子の魅力と受験リスク

 慶應義塾女子高校(以下、慶応女子)は、中学女子が高校受験で狙える早慶附属高校の中で最もブランド力があり、国公私立全体でも首都圏最難関の1校である。中学女子の最上位層になると、この学校を目指す受験生は結構多いのではないかと想像する。

 

駿台模試偏差値で70

 首都圏トップである(筑駒を除く)。他の早慶附属高校の偏差値が65-66なので異常な高さである。女子が高校受験で狙える早慶附属高校が少なく、募集定員が男子よりも極端に少ないことが理由の一つである。しかし、慶応女子が放つ眩いばかりの魅力も大きな理由だと思う。

 

受験負担は大きい

 慶応女子の入試科目は国語、数学、英語、作文である。国数英の3科目の入試問題は、公立中学校で習うレベルを遥かに超えている。作文については、この学校に特化した対策が必要になるはずである。

 公立中学校の履修範囲を超えない5科目入試の国公立トップ校と併願する場合、受験の負担は相当に大きい(2倍と考えるべきか)。国公立トップ校受験では、思考力問題などに取り組む必要がある。

 

入学辞退者が多い

 2023年入試状況は以下のとおり:
 受験者450人
 合格者131人
 辞退者76人(逆算で推定)
 入学者64人(内、補欠合格者9人)

 

 合格者より辞退者の方が多い(年によって変動はある。2023年はやや多かった)。筑波大附属、学芸大附属、お茶の水、日比谷、横浜翠嵐などに行くのであろうか。

 

 男子校である慶應義塾や慶應志木も同じ状況であり、合格者の40%〜50%は辞退する。

 

 慶応女子と国公立トップ校にW合格し、どちらにするか迷う分には全く問題ない。大変贅沢な悩みである。どちらを選んでもいいのではないかと思う。慶応女子が第1希望で、保険として国公立トップ校を併願するのなら、この併願は王者(王女か)の戦略だと思う。男子の中学受験でいえば、第1希望が筑駒で「お守り」を開成にするようなものである。

 

W不合格のリスクはどうなのか

 慶応女子を受験して不合格になった約310人はどうなったのだろうか。国公立トップ校に合格できた子もいるだろうが、併願していた国公立トップ校も残念な結果となり、中堅私立高校に行くことになった子も結構いるのではないかと想像する。慶応女子を目指さなかったら、国公立トップ校に合格できたかもしれない。あるいは、入試直前の学力を冷静に見極めて、進学重点校クラスの高校を受験すれば、合格できたのではないだろうか。

 

 慶応女子の合格率は29%(補欠合格を除く)である。併願する国公立トップ校の合格確率が相当高くないと、この併願戦略は非常に危ない。しかし、国公立トップ校を「お守り」にできる生徒がそんなに多いとは思えない。

 

どの大学を目指しているのか?

 慶応女子に行くということは慶應大学に進学するということである(同大学医学部に内部進学できない場合に、他大学の医学部に行く生徒はいるようである)。国公立トップ校に行くということは、難関国公立大学進学を目指すということである。

 

 国公立トップ校が第1希望で慶応女子が第2希望の併願戦略は、第2希望の受験準備の方が大変になってしまうのではないか。慶応女子、国公立トップ校いずれも合格ラインの近辺にいる場合、併願戦略を遂行するとW不合格の可能性が高まる。

 

 過度な受験負担を避けて、公立中学校での活動をしっかり行う方が仲間との絆が深まり、大きな財産になる。これからの時代に合っていると思うのである。