公立ルートを行く

公立中学校から高校受験を経て国公立大学に進学するルートの魅力を発信します

高1で知る!東京農工大学工学部の入試制度

 今回は、東京農工大学の入試制度を見ていきたい。

工学部の募集人員
(2024年度入試)

一般選抜(前期)272
一般選抜(後期)187
SAIL入試 29
学校推薦型選抜 33
 計521人

 一般選抜(後期)の募集割合35.9%は、横浜国大(理工学部)、電気通信大とほぼ同水準(30%台後半)。

 SAIL入試は総合型選抜である。SAIL入試と学校推薦型選抜の募集人員は全体の11.9%と高くない。

 

一般選抜(前期)

大学入学共通テスト:

 5教科7科目である。生体医用システム工学科、化学物理工学科、機械システム工学科および知能情報システム工学科は物理が必須になる。生命工学科と応用化学科は、物理・化学・生物から2科目を選択する。

 それぞれの学科のカリキュラムを見れば、当然そうなる。

 

<配点>
 国語 200点
 地理歴史・公民 100点
 数学 200点
 理科 200点
 外国語(英語) 200点
  計900点

 

個別学力検査:

理科(2科目)400点(160分)
数学 350点(120分)
英語 150点(60分)
 計900点

 

 理科の試験時間160分は長い(横国大150分、千葉大130分、電通大120分)。数学の試験時間120分は標準的。英語の試験時間60分は短い。

 

配点割合:

 共通テスト50%、個別学力検査50%で、共通テストの割合が高い(電通大50%、横国大42.9%、千葉大33.3%)。

 科目別の配点割合は、理科33.3%、数学30.6%、英語19.4%、その他(共通テスト文系科目)16.7%で、英語の配点割合はかなり低い。

 英語が得意な受験生だと、損した気分になるかもしれない。

 

一般選抜(後期)

 個別学力検査の理科については、学科によって物理のみ、物理・化学から1科目選択のパターンに変わる。共通テスト650点、個別学力検査650点でそれぞれ50%であるのは変わらないが、理科と英語(外国語)の配点割合が上がり、数学は下がる。

 理科 33.3% → 38.5%
 英語 19.4% → 23.1%
 数学 30.6% → 26.9%

 

 個別学力検査の試験時間も変わる:

 理科 160分 → 120分
 英語 60分 → 100分
 数学 120分 → 60分

 

 後期だと教科を絞る(理科と数学の2教科のみにするなど)パターンは見かけるが、英語のウェイトを上げるのは面白い。今回は取り上げていない農学部だと、英語オンリーである。

 

SAIL入試(総合型選抜)

 応用化学科を除く5学科が実施する。

 

日程:

 9月上旬に出願し、9月中旬に第1次選考結果通知、9月下旬に第2次選考があり、11月1日に最終合格発表。短期決戦型の日程である。

 

出願要件:

 学校長による志願者評価書、志望理由書、特別活動レポート(A4片面3ページ)、調査書を提出する。

 志願者評価書を出すので、学校推薦型選抜と言っても違和感はない。特別活動レポートが実質的な出願要件になる。それぞれの学科で学ぶ内容にマッチした活動をしてきたかどうかである。

 

第1次選考: 書類選考

 

第2次選考:

 特別活動レポートに関するプレゼンテーションとその後の質疑応答によって最終合格者を決定する。

 化学物理工学科では、プレゼンテーション10分、質疑応答20分と記載されているが、他の学科は明示的ではない。

 

2023年度入試結果:

 募集人員29人に対して志願者64人、最終合格者26人(入試倍率2.5倍)。

 

評価:

 短期決戦型の日程(共通テスト利用なし)で、出願要件および選考において重視するポイントは明確になっている。ただ、基礎学力をどこで評価するのかがはっきりしない。特別活動レポート、プレゼンテーション及び質疑応答だけで評価できるのだろうか。

 国際科学オリンピックで本選進出するレベルの受験生(この場合は基礎学力をチェックする必要はない)は東京農工大学より上位の国立大学に出願するはずである。

 従って、明示はされていないが、出身高校のレベルとその高校での成績(特に数学と理科)を重視するはずである。

 

学校推薦型選抜

日程:

 共通テスト後の1月18日〜1月24日に出願し、2月13日が合格発表。

 推薦する生徒数の制限がなく、共通テストの成績を重視するタイプの入試では、共通テスト後に出願するのが一般的のようだ。

 

提出書類:

推薦書、志望理由書、調査書

 

選抜方法:

 提出書類により工学部における適性と学習意欲を評価する。適性と判断した者を対象に共通テストの得点の高い順から合格者とする。

 いわゆる「共通テスト高得点型」のタイプである。一般選抜(前期)のボーダー得点率(河合塾)が68%〜71%なので、得点率75%以上の学力の受験生にはチャンスがあると思う。

 「入試情報」から計算すると、2023年度入試の共通テスト合格者平均は73.2%

 

<共通テスト利用教科・科目>

 応用化学科は国語、数学(2科目)、理科(2科目)、外国語(英語)の4教科6科目。

 理科は物理と化学の2科目になる(一般選抜では物理、化学、生物から2科目を選択)。

 

 その他の学科は、数学(2科目)、理科(2科目で物理必須※)、外国語(英語)の3教科5科目。※化学物理工学科は物理と化学の2科目。

 

2023年度入試結果:

 募集人員33人に対して志願者127人、合格者31人(入試倍率4.1倍)。

 一般選抜の入試倍率が前期・後期ともに2.9倍なので、かなり狭き門のように見える。学校推薦型選抜の出願・推薦要件は厳しくないので、農工大が第1希望の場合、一般選抜と学校推薦型選抜を併願する受験生が多いのではないだろうか。しかし、学校推薦型選抜の募集人員は限られているので、学校推薦型選抜の方が一般選抜よりも入試倍率が高くなるものと理解する。

 

まとめ

 共通テスト得点率70%台半ばの学力を有する受験生にとって、東京農工大学は有力な候補である。電通大との比較では、化学をベースにする(強みとして活かす)なら農工大が良い。物理をベースにする場合、数学寄りなら電通大、化学寄りなら農工大が良いのではないだろうか。両大学の序列を考えてもしょうがない。