「数学I・A 入門問題精講」からスタートする。
「第1章 数と式」、「第2章 関数と関数のグラフ」は飛ばす。この辺りまでは中学校の数学の延長線ぐらいの感じがする。しかし、定期テストでは差を付けるためにムズい問題を作って出題するはずである。
入門問題精講は問題集というより参考書に近い。基礎問題精講を買って、第1章と第2章の内容を比べてみようと思う。
第3章で三角比が登場する。ここが数Iの難所かもしれない。タンジェント(tan)、サイン(sin)、コサイン(cos)が登場する。
実はそれほど難しいわけではないのだが、測量士になるわけではないので、「なんでこんなの覚えなければならないの?」との戦いになる。
そして、以下の3つの公式が登場する:
面積公式
S=1/2absinθ
三角形の2辺(aとb)の長さとその2辺が挟む角度θが与えられたとき、三角形の面積を求めることができる。θが鋭角でも鈍角でも成り立つ。
これは教科書に出ている図を見ればすぐに理解できる定理だ。
余弦定理
c^2=a^2+b^2-2abcosθ
三角形の3辺(a、b、c)のうち、隣り合う2辺(a、b)の長さとその2辺が挟む角度θが与えられたとき、対辺cの長さが求められる。
余弦定理は、直角三角形に対して成り立つ三平方の定理を一般の三角形に拡張した定理とされる。また、2つのベクトルの内積は成分表示とcosθを使った表示(2つのベクトルのそれぞれの大きさにcosθを掛ける)があるが、余弦定理が2つの表示を結びつけている。数学Cでベクトルを習うとき、余弦定理が登場するはずである。
「これ知ってどうするの?」と当然思う。自分は社会人になってから大学1年で習う電磁気学の本を読んだが、球の表面に一様な電荷密度の電荷が分布しているときの、球の中心から離れた場所での電場Eを求める問題で、テクニックとして余弦定理を使う場面が出てきてちょっと感動した記憶がある。恐らく、物理や工学系の学部に進むと、三平方の定理と同じ感覚で使うポピュラーな定理なのだと思う。
正弦定理
a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R
三角形の1つの角θ、その対辺の長さl、そして三角形の外接円の半径Rが与えられたとき、l/sinθ=2Rになる。
入門精講曰く、「三角比の分野を学習した人がたどり着く一つの到達点」とのことである。確かに美しい式だ。
数学Iは、実は内容的にはそれほど難しくないのだが、何のために学習するのかがわからない。従って、数学Iは忍耐が必要で、高校受験のノリで演習問題をしっかりこなすのが肝要かと思う。
高校生は時間がない。そして自我が強くなるので、この忍耐が難しい。