一橋大学は難関国立大学を表す「東工一旧帝」の中に入っているので、世の中的にはトップランクの大学である。但し、難関中高一貫校の受験生の多くが東大を受験するからなのか、公立上位校が合格者数ランキングの上位に入っている。
神奈川県の公立上位校の一橋大学合格者数は以下の通りである:
(サンデー毎日より)
湘南23人(全体トップ)
横浜翠嵐9、川和8、厚木6
横浜緑ケ丘2、多摩2
柏陽1、希望ケ丘1、海老名1
※公立中高一貫校を除く。
一橋大の合格者数は約1000人(東大の1/3)。
大学入学共通テストで得点率80%以上(目標値として85%)を取る必要があり、第2次試験(個別学力検査)では国語、数学、英語、地理歴史の4教科が課される。地理歴史と数学は非常に難しいとされる。
文系で共通テスト得点率80%以上を取るには、数IIB(2025年度入試から数IIBC)でしっかり得点する必要があるので、高2で数IIBを必修する公立上位校でないと厳しくなる。
第2次試験の数学は文系では一番難しい問題が出されるようだが、得点率が開示されないので、実は合否を分ける教科ではないのかもしれない。寧ろ、英語と地理歴史の得点が合否を分けるように思う。
常識的に考えれば、本当に数学が得意な高校生の多くは理系に進むであろうから、一橋大学の数学は落としてはいけない問題を取れるかどうかだと想像する。
学部の構成は、商学部、経済学部、法学部、社会学部、ソーシャル・データサイエンス学部である。この5つの学部のうち、個人的に一番関心がある(≒娘が関心を持つ可能性がある)のは社会学部である。
社会学部で学べる領域
社会学研究分野:
社会学史、社会理論、政治社会学、計量社会学、文化の社会学、都市社会学、国際社会学、ジェンダー・セクシュアリティ研究
共生社会研究分野:
教育社会学、文化精神医学、スポーツ社会学、社会政策
歴史社会文化研究分野:
日本史、アジア史、アメリカ史、ヨーロッパ史、社会思想史、哲学・倫理学、文芸思想、言語社会学
超域社会研究分野:
社会心理学、社会人類学、政治学、環境と社会研究
「社会科学や人文学のゆたかな関連や総体のなかにこそ人間社会を読み解く鍵がある」という一文にこの学部の魅力が凝縮されているように思う。一番近い学部は文学部になるだろうか。文学部の人気分野をワイド化してさらに高度化したような印象も受ける。
入試制度の特徴
一般選抜(前期)の配点は、大学入学共通テスト180点、第2次試験820点の計1000点である。他の学部と異なる特徴が2点ある。
一つ目の特徴は、共通テストの配点180点のうち、理科が100点を占める点である。ただ、これは一瞬ギョッとするだけで、あまり恐れる必要がなさそうである。文系の共通テストで得点率80%以上を取る場合、理科(物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から2科目選択)は得点源になっているはずである。
大学の受験生へのメッセージは「一定水準の科学的リテラシーを身に付けて受験してください。」ということだと思う。
二つ目の特徴は、第2次試験の数学の配点割合が15.9%と低い点である(商学部33.3%、経済学部32.9%)。その代わりに、国語と地理歴史の配点割合が高くなっている。社会学部の場合、合否を分けるのは国語、地理歴史、英語(外国語)になるはずである。
大学の受験生へのメッセージは「数学の出来で合否を決めるなんて野暮なことはしませんよ。」かもしれない。
共通テストと第2次試験を合算した教科ごとの配点割合は以下の通り:
国語20.0%
地理歴史25.0%
数学15.0%
理科10.0%
英語(外国語)30.0%
進路をどうするか
社会学部を目指す場合、将来何になるかが問題になる。「大学案内2024」の中に2022年度卒業生の進路状況が掲載されている。社会学部の卒業生248人の進路状況を見ると、サービス業50人、情報・通信38人、製造業36人、進学30人、金融20人、建設・不動産・運輸20人、マスコミ17人、官公庁15人、その他22人(さらに細かく分類されている)となっている。
この学部を卒業して将来何になったらいいんだろうか。娘がもしこの学部に入ったら(入試を突破できるかどうかはひとまず置いておく)、社会問題を解決する仕事を目指すと思う。会社や組織がなければ、自分で創る。このような展望を持つとき、この学部は輝いて見えるのである。