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高1で知る!千葉大学工学部の入試制度

 千葉大学については、これまでに園芸学部と情報・データサイエンス学部を取り上げた。「何でメジャーな工学部を後回しにするの?」と言われそうだが、園芸学部は他の大学では見かけない学部だし、情報・データサイエンス学部は2024年4月に理系度100%で登場する新設学部である。千葉大学の学部には何か特徴がある。

 千葉大学の工学部にはどのような特徴があるのだろうか。

 

工学部の概要

 総合工学科とあるので、別の学科もあるのかと思ってしまうが、他にはない。総合工学科の中に8つのコースがある。千葉大学工学部は、東京高等工芸学校(1922年開校)をルーツにしていて、1949年に新制国立大学として発足したときは工芸学部であった。園芸学部であったり、デザインコースであったり、「芸(アート)」が千葉大学の特徴の一つなのかもしれない。

 

建築学コース
都市工学コース
デザインコース
機械工学コース
医工学コース
電気電子工学コース
物質科学コース
共生応用化学コース

※情報工学コースがあったが、2024年4月に情報・データサイエンス学部として独立する。

 

得意な(好きな)教科をベースに考えると以下のようになる:

数学が好き
 →ない! 

物理が好き
 →機械工学、電気電子工学、医工学

化学が好き
 →物質科学、共生応用化学

 

 数学が好きなら、理学部情報数理学科や情報・データサイエンス学部の方が向いていそうである。デザインコースは、工学と芸術の融合系だ。

 

募集人員

一般選抜(前期)407
一般選抜(後期)104
総合型選抜 29
 計540

 一般選抜(後期)の募集割合は19.2%で、横浜国大(理工38.6%)、電通大(37.5%)、東京農工大(工35.9%)よりも低い。

 総合型選抜を実施するのはデザインコース(20人)と物質科学コース(9人)。その代わりに一般選抜(後期)の募集はない。デザインコースの総合型選抜の募集割合は31%と高く、物質科学コースの総合型選抜の募集割合は11%と低い。

 

一般選抜(前期)

 大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は5教科7科目で配点450点。理科の2科目は物理と化学である。

 

 個別学力検査は、数学300点、理科(物理、化学)300点、英語300点の計900点。

 

 配点割合は、共通テスト33.3%、個別学力検査66.7%。

 個別学力検査の配点割合が高い(横浜国大57.1%、東京農工大50%、電通大50%)。

 

 科目別の配点割合は、数学29.6%、理科(物理・化学)29.6%、英語(外国語)29.6%、その他(共通テストの国語、地歴・公民)11.2%。英語は、英検1級または準1級合格でCSE2300以上だと10点加算される。

 英語の配点割合29.6%は、理系学部ではかなり高い。

 

 コースによって、個別学力検査の物理と化学の配点・試験時間が異なる:

<建築学・機械工学・医工学・電気電子工学>

 試験時間は、理科130分(物理80分相当、化学50分相当)、数学120分、英語(外国語)80分。理科300点のうち、物理200点、化学100点。

 物理のウエイトが高い。

 

<都市工学・デザイン工学・物質科学・共生応用化学>

 理科100分(物理50分相当、化学50分相当)、数学120分、英語(外国語)80分。理科300点のうち、物理150点、化学150点。

 理科の試験時間が短く、物理と化学のウエイトが同じ。

 

 共通テストボーダー得点率(河合塾)は71%〜73%。「75-76%取れたら合格できそうかな」と思いたいところだが、個別学力検査の配点割合が66.7%と高く、2023年度入試の合格者の平均点と最低点の差が3.62%(電気電子工学)〜6.74%(共生応用化学)と大きい。従って、個別学力検査の勝負になるはずである。仮に共通テスト得点率78%(ボーダー72%)だとしても、このアドバンテージは入試得点ベースでは2%に縮小する。

 

一般選抜(後期)

<建築学・機械工学・電気電子工学>

 個別学力検査は、数学(400点)と物理(300点)の計700点。

 配点割合は、共通テスト39.1%、個別学力検査60.9%。科目別の配点割合は、数学43.5%、理科34.8%、英語8.7%、その他13.0%で、数学の配点割合が高くなる。

 数学が得意な受験生に向いている。

 

<都市工学・医工学・共生応用化学>

 個別学力検査は、数学(300点)、物理(200点)、化学(200点)の計700点。

 配点割合は、共通テスト39.1%、個別学力検査60.9%。科目別の配点割合は、数学34.8%、理科43.5%、英語8.7%、その他13.0%で、理科の配点割合が高くなる。

 数学と理科の配点割合が逆になった形だ。

 

 ボーダー得点率(河合塾)は77%〜79%に上昇する。英語の配点割合が劇的に下がる。

 

総合型選抜(デザインコース)

※物質科学コースは、2023年度入試の志願者が1人(合格)で、なぜか人気がない。情報工学コース(2023年度入試の志願者ゼロ)の総合型選抜は、2024年4月に開設する情報・データサイエンス学部の総合型選抜として実施する。

 今回はデザインコースのみを取り上げる。

 

募集人員と日程:

 募集人員20人。9月下旬が出願期間、10月後半に第1次選抜、その翌日に第2次選抜(面接)。11月中旬に第2次選抜合格者を発表し、年明けの共通テストで概ね70%の得点率に達した者を最終合格者とする。

 年跨ぎの日程だが、共通テストの利用目的が限定されている。

 

共通テスト利用科目:

 国語・地歴公民・理科から1科目(200点)、数学(2科目)200点、英語(外国語)200点の計600点。

 

第1次選抜:

 午前の課題(120分)と午後の課題(150分)で専門適性を評価し、提出書類(志望理由書800字以内、調査書)と総合して合格者を決定する。

 

第2次選抜:面接

 

2023年度入試結果:

 募集人員20人に対して志願者38人、第1次選抜合格者32人、第2次選抜合格者27人、最終合格者19人。

 入試倍率だけ見ると易しそうな印象を受けるが、実際はどうなのだろうか。

 

まとめ

 一般選抜(前期)は個別学力検査の配点割合が高く、「数学と理科の勝負か」というと、そういうわけでもなくて、英語も重要になる。

 デザインコースを強く志望するのであれば、一般選抜と総合型選抜の併願が良い。

 千葉大、横浜国大、東京農工大、電通大の4大学で考えたとき、医工学に進みたいのであれば千葉大を選んでみたい。