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高1で知る!国公立大学一般選抜(後期)では自分の強みを活かしチャンスに変えたい

 大学受験生にとって、国公立大学の一般選抜(後期)までを想定して受験プランを考えるのは相当タフなことだと思う。3月前半に一般選抜(前期)の合格者が発表され、週刊誌が高校別合格者数を特集するまさにその頃、受験生は後期の試験を受け、3月20日過ぎの合格発表を待たねばならない。

 

 一般選抜(前期)で不合格になった時点で、合格をキープしていた私立大学への進学を決める受験生もいると思う。

 

 しかし、一般選抜(後期)は大学の個性が強烈に出るので、自分の強みとマッチする大学(学部)を受験すれば、合格の可能性はあるのではないかと思う。

 

 今回は、横浜国立大学(理工学部、都市科学部)、千葉大学(工学部、理学部、園芸学部)、東京農工大学(工学部)、電気通信大学の一般選抜(後期)の内容を見ていきたい。

 

後期のパターン

 以下のようなパターンがある:

 

共通テスト配点シフト型:
 前期よりも共通テストの配点割合を引き上げる(個別学力検査の配点割合を引き下げる)パターンである。

 

2次試験配点シフト型:
 前期よりも2次試験(個別学力検査)の配点割合を引き上げる(共通テストの配点割合を引き下げる)パターンである。

 

前期・後期イーブン型:
 前期と後期で大きく変わらないパターンである。

 

横浜国立大学

<理工学部>
 前期・後期イーブン型

  ※前期数値→後期数値
  ※ボーダー得点率は河合塾データ

  • 後期募集252人
    (一般選抜募集人員の41.9%)
  • 共通テスト配点割合:42.9%→41.9%
  • 個別学力検査は数学と理科
  • ボーダー得点率:74%→79%
    (機械工学EPの場合)
  • 2023入試倍率:3.2→2.8

 前期と後期の大きな違いは、2次試験の英語がなくなるぐらいである。ボーダー得点率が79%まで上昇する。難関国立大学の前期で不合格になった受験生が集まってくるのだと思う。

 

<都市科学部 環境リスク共生学科>
 共通テスト配点シフト型

  • 後期募集10人(25%)
  • 共通テスト配点割合:42.9%→62.9%
  • 個別学力検査は数学と小論文
  • ボーダー得点率:74%→75%
  • 2023入試倍率3.3→3.3

 共通テストの配点割合が62.9%に引き上げられ、2次試験は数学と小論文に絞られる。

 

<都市科学部 都市社会共生学科>
 共通テスト配点シフト型

  • 後期募集12人(27.3%)
  • 共通テスト配点割合:64.3%→81.8%
  • 個別学力検査は面接のみ
  • ボーダー得点率:80%→80%
  • 2023入試倍率:2.5→1.9

 この学科は文系に属する。前期の共通テスト配点割合も高く、2次試験は小論文のみ。後期では、共通テストの配点割合が81.8%に引き上げられ、2次試験は面接のみ。

 

千葉大学

<工学部>
 前期・後期イーブン型

  • 後期募集104人(29.4%)
  • 共通テスト配点割合:33.3%→39.1%
  • 個別学力検査は数学と理科
  • ボーダー得点率:70%→78%
    (機械工学コースの場合)
  • 2023入試倍率:3.2→6.9

 横浜国大理工学部と同じで、ボーダー得点率が78%まで上昇する。

 

<理学部>
 共通テスト配点シフト型

  • 後期募集50人(26.0%)
  • 共通テスト配点割合:33.3%→60.0%
  • 個別学力検査は学科ごとに1科目のみ
  • ボーダー得点率:70%→77%
    (地球科学科の場合)
  • 2023入試倍率4.0→4.2

 共通テスト配点割合が60%に引き上げられ、2次試験は学科ごとに1科目のみ。

 

<園芸学部>
 共通テスト配点シフト型

  • 後期募集29人(17.9%
  • 共通テスト配点割合:33.3%→52.9%
  • 個別学力検査は理科のみ
  • ボーダー得点率:67%→70%
    (園芸学科の場合)
  • 2023年入試倍率3.0→3.7

 共通テスト配点割合が52.9%に引き上げられ、2次試験は理科のみ。

 

東京農工大学工学部

 前期・後期イーブン型

  • 後期募集187人(40.7%)
  • 共通テスト配点割合:50.0%→50.0%
  • 個別学力検査の科目別配点割合が変動
    英語:16.7%→30.8%
    数学:38.9%→23.1%
    理科:44.4%→46.1%
  • ボーダー得点率:70%→75%
    (機械システム工学科の場合)
  • 2023年入試倍率2.9→2.9

 前期・後期ほぼイーブンだが、2次試験の英語の配点割合が増える。

 

電気通信大学

 2次試験配点シフト型

  • 後期募集270人(43.3%)
  • 共通テスト配点割合:50.0%→33.3%
  • 数学配点:44.4%→50.0%
    (120分→150分)
  • ボーダー得点率:68%→75%
    (III類の場合)
  • 2023年入試倍率3.0→3.2

 2次試験配点割合が66.7%に引き上げられ、2次試験の数学の配点割合も50%に引き上げられる。

 

後期をチャンスに変える

 工学部志望で、一般選抜(前期)が不合格であっても、文系科目(英語を含む)が足を引っ張っていたのなら、後期で理数科目の配点割合が高くなる大学を受験すれば、合格のチャンスはありそうだ。

 

 しかし、理数科目の力が足りずに不合格であった場合、前期で受験した大学より難易度がワンランク低い大学を受験しても、後期日程による難易度上昇があるので、不合格になる可能性がある。

 

 我が子(娘)が3年後の大学受験で第1希望の学部をどこにするかはまだわからないが、仮に工学部であった場合、「後期は工学部以外の個性的な学部に出願せよ」とアドバイスするかもしれない。前期で工学部に合格するもよし、もし不合格なら「新たな道が開けている」と考えて、後期で個性的な学部学科を受けて合格するもよし、である。