公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

東工大・一橋大の合格者数が示す「自分のベスト校戦略」

「東京大学合格者数ランキングから何を読み取るか」の最後に、「ワンランク下を狙う受験戦略」は「自分のベスト校を受験する」とほぼイコールであるとした。

 

「ワンランク下」にはネガティブな響きがある。もし、学歴が人生の全てを決めるのであれば、何としてでも「ワンランク上」を目指すことになるだろうけれど、学歴は人生を決めるものではないと思う。考えがそこに至ると、「ワンランク下を狙う受験戦略」は受験以外の活動も大事にするポジティブな戦略であることがわかる。

 高校での学習を楽しいものにする戦略でもある。

「自分のベスト校戦略」は、東大、東工大、一橋大の合格者数から見えてくる。神奈川県進学重点校+YSF(横浜サイエンスフロンティア)の2024年度大学入試の合格実績はどうなっているだろうか。

 

東大合格者数(2024)

横浜翠嵐 44
湘南 20
横浜サイエンス 6
多摩 2
横浜緑ケ丘 2
柏陽 1
厚木 1
川和 1

 

 横浜翠嵐と湘南の東大合格者数が突出している。横浜サイエンスフロンティアは卒業生230人で東大合格6人はすごい。残りの5校は2人以下と少ない。これだけ見ると、(公立中高一貫校でもある横浜サイエンスを除いて)「神奈川は横浜翠嵐・湘南の2校以外はダメじゃん」と言う声が聞こえてきそうだ。

 

東工大合格者数(2024)

湘南 14
柏陽 12
厚木 10
横浜翠嵐 9
川和 6
多摩 5
横浜サイエンス 4
小田原 3
横浜緑ケ丘 1

 

 ちょっと違う雰囲気になってきた。湘南がトップで、柏陽と厚木の合格者も10人以上である。横浜翠嵐は9人しか合格者を出していない。

 

 ところで、私立中高一貫校はどうかと言うと、多い順に浅野13人、麻布12人、早稲田12人である。難関中高一貫校の場合、東工大に合格する実力がある場合、(よっぽど英語が苦手とかではない限り)東大を受験する現役生が多いのではないかと思う。

 

 柏陽や厚木の東工大合格者については、東大合格の可能性が全くなかったかと言えば、そんなこともなかっただろうと思う。意識的か無意識的かはわからないが、現役志向が強い中で「自分のベスト校戦略」を採用したのではないかと想像する。

 

一橋大合格者数(2024)

湘南 23
横浜翠嵐 9
川和 8
厚木 6
横浜緑ケ丘 2
多摩 2
柏陽 1

 

 湘南が突出している。実は2024年度大学入試では、トータルで見ると湘南が横浜翠嵐よりも優っているかもしれない。横浜翠嵐、川和、厚木の3校は拮抗していて、やはり東大合格者数での印象とはだいぶ違う。川和と厚木の2校の合格者は「自分のベスト校戦略」を取ったのではないかと思う(横浜翠嵐の合格者にも同じことが言える)。

 

 東工大と一橋大の合格者数から「自分のベスト校戦略」(ワンランク下を狙う受験戦略)が見えてきた。