公立ルートを行く

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秦野高校は思考力・応用力を育成する公立上位校

 秦野高校が旧学区トップ校であることは知っていたが、地理的に遠いので、これまであまり注目してこなかった。神奈川県公立高校の2024年度大学合格実績を眺めていて、国公立大学合格者数が多いことに今更ながら気が付いた。

 

 海老名高校や座間高校の方が秦野高校より高校入試の難易度は高いが、国公立大学合格実績では秦野高校がライバル2校に優っている。国公立大学進学を後押しする教育プログラムがあるはずである。

 

教育課程(R6年度入学者用)

 65分授業である。進学重点校以外の公立上位校としては圧倒的に長い。学校の教育方針として、思考力・応用力の育成に主眼を置いていることが分かる。

 

 高3で文系、文理系、理系の3コースに分かれる。有名私立大学の合格実績を上げるのであれば、高2でさっさとコース分けした方が効率は良いのだが、それはしない。生徒の基礎学力・共通学力の向上を目指しているのだと思う。

 

 高1では化学基礎を履修しないので、理科の進度は速くない。その代わりに、高2で日本史探究または世界史探究を選択履修する。理系に進むにしても、社会の探究授業は1つ受けたいところなので、バランスが取れている。

 

 高3で理系コースに進むと、数IIIが6コマもある。理科2科目で11コマあり、かなり重点配分されている。

 

STEAM教育研究推進校(R4〜)

 令和4年度からSTEAM教育研究推進校に指定されている。STEAMとは、S(Science)、T(Technology)、E(Engineering)、A(Art)、M(Mathematics)の頭文字を取ったもので、各教科での学習を実社会での問題発見・解決に活かしていくための教科横断的な学習を推進する教育を指す。神奈川県では、神奈川工業、光陵、横須賀、秦野、相模原弥栄の5校が指定を受けている。秦野高校は「総合的な探究の時間」を軸にSTEAM教育を展開しているようだ。

「総合的な探究の時間」は親の世代にはなかったが、これからの時代に最も重要な授業である。それを中心に据えている。何事にも前向きに取り組む生徒は、秦野高校の教育プログラムを通じて思考力・応用力を大きくの伸ばすのだと思う。

 

大学合格実績

 令和4年度卒業生の進路を見ると、国公立大学に25人が進学している。進学重点校(エントリー校を含む)に指定されていない公立上位校の中では、この人数は多い。

 教育プログラムが国公立大学進学を後押しする内容になっているからだと思う。

 

 東京理科大、上智大、MARCH、横浜市大などから指定校推薦枠を得ている。青山学院(17人)と中央大学(15人)の指定校推薦枠は特に多い。

「一般選抜でMARCH受験するより、秦野高校で頑張って上位の成績取る方がいいじゃん」と思うのは自分だけか。

 

 2024年度大学合格実績(サンデー毎日)は、名古屋1、電通3、横国1、東京都立3、横浜市立3と良好な結果となっている。地方の国公立大学の合格実績はわからないので、令和6年度学校案内を待たねばならない。

 名古屋大学には2022年度入試でも1人合格している。先輩が難関国立大学に合格すると「自分だってできる」と思う効果があるのだろうか。電通大3人もすごい。

 

 秦野高校の開校は1886年(明治19年)である。相模湾県西部を震源地とする1923年9月の関東大震災で校舎が全壊し、その時期の困難を乗り越えた経験もある。歴史と伝統があるな、秦野高校。