公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

神奈川高校受験塾の勢力図

 神奈川県の公立高校受験塾のトップ3は、ステップ(ハイステップを含む)、臨海セミナー、湘南ゼミナールである。公立上位校合格者の塾別割合(合格者占有率)で評価すると、ステップの圧勝である。

 

横浜翠嵐

 大手塾の営業(生徒募集活動)において、横浜翠嵐に何人の合格者を出すかが非常に重要であるため、横浜翠嵐の合格数(2024年度入試)だけを見ると、臨海セミナー、湘南ゼミナールも健闘している。

 ステップ148(41.2%)
 臨海セミナー128(35.7%)
 湘南ゼミナール59(16.4%)

 ※括弧内の%は募集定員に対する割合

 

 しかし、湘南・柏陽・厚木の合格者数で大きな差が出る。

 

湘南

 ステップ252(70.2%)
 臨海セミナー26(7.2%)
 湘ゼミ29(8.1%)

 

 ステップの合格者占有率70.2%はいくらなんでも高過ぎる。ステップは、公立高校入試直後に塾生の受験高校別平均点(学力検査、特色検査)を公開する。これは、ステップ生であるか否かで生じる不利益(正確には、ステップ生以外の受験生が感じる不利益)を緩和する狙いが含まれているように思う。良い塾だから上位校の合格者占有率が上昇する。しかし、健全な市場であるためには、トップの塾であっても合格者占有率50%以下が望ましいと思う。

 

柏陽

 ステップ194(60.8%)
 臨海セミナー32(10.0%)
 湘ゼミ39(12.2%)

 

厚木

 ステップ217(60.4%)
 臨海セミナー62(17.3%)
 湘ゼミ11(3.1%)

 

 柏陽・厚木ともに、ステップの合格者占有率が60%以上に達しており、健全な姿ではない。湘南ゼミナールの校舎分布を正確に把握しているわけではないが、小田急線沿線の校舎数が少ないように思う(小田原の合格者数も少ない)。

 

進学重点校8校

 ステップ1,320(50.9%)
 臨海セミナー481(18.6%)
 湘ゼミ302(11.7%)

 

 ステップの合格者占有率が50.9%まで下がるので、許容水準に入ってきた。臨海セミナーの校舎分布を正確に把握していないが、多摩124人、新城95人とダントツのトップで、川崎地区に強い。

 

進学重点校エントリー校10校

 ステップ1,187(41.4%)
 臨海セミナー518(18.0%)
 湘ゼミ304(10.6%)

 湘南ゼミナールは、3/6現在で鎌倉と横浜平沼の合格者数を開示していないようなので、この2校を含んでいない。

 

 ステップの合格者占有率が41%まで下がり、健全な状態に近い感じがする。

 

東京都の場合

 進学指導重点校の合格者数で見ると、早稲田アカデミーとenaが2強であるが、合格者占有率はそれぞれ20%前後ではないかと思う。Z会進学教室がそれに続く感じで、神奈川ような寡占化は起きていない。

 

どの塾に入るか

 ステップ、臨海セミナー、湘南ゼミナールの中から選んでも良いとは思うが、この3塾に入らないと公立上位校(横浜翠嵐を含む)に合格できないわけではない。

 

 ステップ生(2023年9月時点の中3生)は約8,600人。進学重点校(エントリー校を含む)の合格者数は2,507人(29.2%)。難関国私立(学附、慶応女子、慶應義塾など)に進学する生徒を考慮しても、50%以上はその他の高校に進学する。中1か中2の時点でエントリー校に合格できるかどうかの境界線にいる生徒の場合、個人塾の方が学力は伸びるかもしれない。少なくとも、塾の先生の熱量が違うはずである。

 

 戦いでは、同じことをしていたら、最初の力関係を逆転できない。