公立ルートを行く

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横浜緑ケ丘高校の教育課程・大学合格実績・入試難易度(2025年度版)

 横浜緑ケ丘高校は1923年開校の伝統校で、自由な校風に人気がある。入試難易度は非常に高い。学力向上進学重点校(2024年度に指定)であり、かつスーパーサイエンスハイスクール(2022年度に指定)である。立地も最高だ(神奈川県の西側から通うにはちょっと遠い)。

 

 しかし、自分は以下の2点について、ずっと疑問を持ち続けている。

 

旧制中学の流れをくむ伝統校なのに、女子の比率が高い(約59%)。

入試難易度にマッチした国公立大学合格実績になっていない(但し、2024年度は大きく変化した)。

 

 女子に人気があるのはわかるんだけど、男子にだって人気があって当然だと思うのだが。ある時点から女子の比率が上昇し始めて、男女比率が固定化してしまったのかもしれない。まぁ、59対41ならそれほど気にならないかもしれない。

 柏陽高校と合格ゾーンが重なるので、男子で柏陽、女子で横浜緑ケ丘を選ぶ割合がそれぞれ少し高いという仮説を一応立てている。

 

 以下、横浜緑ケ丘高校の教育課程、大学合格実績、入試難易度の順に見ていきたい。

 

教育課程の特徴

 50分×6校時である。

 SSH=深い学びなので、50分授業は短い。

 

 高1では、社会は地理総合と歴史総合の両方を履修する。その代わりに、理科は化学基礎と生物基礎の2科目になる。SSHの教育課程の特例として緑の探究Iがある。

 高1で地理総合と歴史総合の両方を履修する学校は少ない。

 

 高2では、地理探究、日本史探究、世界史探究から1科目を選択履修する。数学は数IIBC、理科は化学+物理基礎または地学基礎を履修する。また、緑の探究IIがある。

 生徒全員が社会の探究科目を履修するのはすばらしい。物理基礎を履修しない選択肢がある進学重点校はここだけだ(女子のニーズを意識しているのか)。

 

 高3では、I型(文系)、II型A(数学III履修のハード理系)、II型B(数学研究β履修のソフト理系)の3つのコースに分かれる。全員が緑の探究IIIを履修する。

 数学研究βの内容はわからないが、数II主体ではないかと思う。

 

 文系・理系のバランスが取れた教育課程で、理想に近いと思う(物理基礎&地学基礎なら理想そのもの)。但し、大学受験に向けた効率が高いとは言えない(トレードオフの関係)。

 

2024年度大学合格実績

 2024年3月卒業生271人+前年度卒業生のうち進学準備他38人=309人を分母にして合格率を計算した。

 

参考記事:

神奈川進学重点校+YSFの筑波・農工・都立大合格圏(2024年度入試) - 公立ルートを行く

 

難関国公立大学合格者数29人(現役24)
難関国公立大学合格率 9.4%
筑波大(理系)合格圏 9.4%
浪人率7.4%

 2023年度は18人(現役14)

 東大2名(+2)、東北大4名(+2)、筑波大11名(+9)あたりが目立つ。

 校内上位10%なら評点平均4.3は取れそうなので、筑波大学の学校推薦型選抜を狙える。

 

準難関国立大学合格者数22人(現役20)
難関・準難関国公立大学合格率 16.5%
農工・電通大合格圏 16.5%

 2023年度は17人(現役12)

 横浜国大17名(+8)が目立つ。

 

国公立大学合格者数80人(現役69)
国公立大学合格率 25.9%
都立大(理系)合格圏 25.9%

 2023年度は47人(現役37)

 

 何が起きたんだろう。進学重点校に指定されることを見越して、進路指導のスタンスが変わったのだろうか。あるいは、理系志向が強まり、国公立大学を目指す生徒が増えたのかもしれない。

 

 この学校は大学合格実績だけでなく、進路先を公表している。早稲田・慶應義塾・上智・東京理科に約20%の生徒が進学する。生徒の半分は国公立大学か早慶上理に進学するってすごい。明治を加えたらこの比率はもっと上がる。

 

高校入試難易度

 2025年度用神奈川県高校受験案内(声の教育社)に掲載された情報を利用。

 

 2024年度入試倍率は1.57倍で、前年度の1.36倍から上昇した。

 

 合格者平均は、内申128.2、学力検査420.2点、特色検査約55点、全県模試偏差値68.3。内申、特色検査、全県模試偏差値は前年度よりも上昇した。但し、難しくなった学力検査は前年度から▲18.9点と大きく下がった。

 

 S値の合格者平均(各項目の平均を足し合わせた単純平均)は994点になる。第1次選考のS値ボーダーは965点とのことで、合格者平均とボーダーの幅は29点。

 合格者平均から▲24点(S値1200点満点の2%)は安全ライン(ほぼ間違いなくボーダーの上にいる水準)と考えているが、あまり余裕はない。

 

 全県模試偏差値66(合格者平均に対して▲2.3)の場合、入試得点は▲15.18点(本ブログでは、偏差値が1.0下がると入試得点が6.6点下がると想定)で、S値は▲18.22点になる。特色検査▲2点(特色検査を含めた一次ボーダーと特色検査を除く一次ボーダーの差を考慮)だとS値は▲4点となり、合計で▲22.22点となり、ボーダーラインは超えている。

 特色検査の得点がさらに3点下がると、ボーダーラインとほぼ同じになってしまうので、全県模試偏差値66は安全圏ではない。

 横浜緑ケ丘高校を受験するなら、全県模試偏差値67は欲しい。

 

 柏陽か横浜緑ケ丘で悩む受験生はいると思う。特色検査は同じタイプだが、柏陽高校の入試選考基準は372型で、内申の比率を3に下げて学力検査の比率を7に上げている。

 横浜緑ケ丘高校の合格者平均の受験生は、柏陽高校を受験しても危なげなく合格できたはずである(合格者平均よりは少し低い)。

 

 進学重点校に指定されたことや、学力検査重視の柏陽高校を避けたい受験生の受け皿としての需要を考えると、横浜緑ケ丘高校の2025年度入試の難易度は高止まりと予想する。