2024年度入試の東大合格者数は2,993人(一般選抜のみ)とのことだ。2024年度大学入学共通テストの受験者(457,608人)を分母にすると、東大合格者の割合は0.65%になる。
日本高等学校野球連盟(高野連)の調査によると、高校硬式野球部の部員数は128,357人(2023年)とのことだ。単純に3で割ると42,785人(1学年)。2023年ドラフトで指名された高校生は50人なので、プロ野球選手になる割合は0.11%になる。
偏差値75は上位0.6%なので、東大合格者の割合0.65%に違和感はない。プロ野球選手になる割合0.11%は偏差値だと80ぐらいになる。
サンデー毎日4月7日号の特集で掲載された東大合格者数ランキングを見ると、第1位の開成(149人)から第28位の武蔵(26人)までの合格者数の合計は1,444人(推薦合格を含む)で占有率は46.8%になる。
東大合格を目指すなら、この上位28校の中に入る必要があると考える人が多いかもしれない。つまり、中学受験で難関中高一貫校に合格するか、高校入試で最難関校に合格するかということになる。しかし、53.2%も空き枠があるので、本当に頭の良い人であれば、その他の高校から東大に入ることは十分に可能だ。
東大現役合格率に目を向けると、筑駒42.3%、聖光学院37.5%、灘32.5%、開成29.1%、桜蔭23.2%の順番になる。
東大現役合格率がこれだけ高いと、東大合格のプレッシャーは相当キツいだろうと思う。開成=東大のイメージは強いが、開成高校の現役生の70.9%は東大に合格しない。しかし、東大合格のチャンスが少しでもある場合、ワンランク下の大学を受験することはなかなか難しいのではないかと思う。
横浜翠嵐高校の東大合格者数は44人(現役37)で第15位にランクされている。公立高校としては、日比谷、浦和に続く第3位だ。東大現役合格率は10.4%である。
あの難関の高校入試を突破した翠嵐生の上位10%しか東大に合格しないのかと自分は思う。横浜翠嵐の浪人率は10%台後半なので、東大合格者と同数の現役生が東大にチャレンジして不合格になるのではないかと想像する。
東大受験者は1万人弱だ。もし東大受験を考えなければ、このトップ1万人との競争を回避できる。東大を思考の外に追いやると、受験の景色が違って見えてくる。中学受験で難関中高一貫校を目指す必要はなくなるし、高校入試で超難関校を受験する必要もなくなる。
ある受験生がいて、東大に合格できるかどうかギリギリの状況にあったとする。東大理系ではなく東工大、東大文系ではなく一橋大を受験すれば、合格確率を大幅に上げることができる。
「ワンランク下を狙う受験戦略」はあらゆるレイヤー(階層)で有効だと思う。そして「自分のベスト校を受験する」とほぼイコールである。しかし、外界の情報(正確には情報から受ける刺激)をいったん遮断して考えないと、この戦略を取るのは難しい。