厚木高校の2024年度入試の最終倍率は1.38倍(前年度は1.21倍)となり、入試難易度は上昇した。柏陽高校とは通学圏がそれほど重ならないが、同校の入試選考基準(372型)の影響があったように思う。また、2023年度大学合格実績で東大合格6名(内、現役5)のインパクトは大きかった。
以下、教育課程の特徴、大学合格実績、入試難易度の順に見ていきたい。
厚木高校は、1902年に神奈川県立第三中学校として開校した伝統校である。昭和15年に制定された校歌が歴史を感じさせる。「相州健児」はいい響きだ。
教育課程の特徴
高1では、理数科目を優先する(数IA、理科基礎3科目)。SSHに係る科目(総合的な探究の時間を代替)として、エンジニアリング(プログラミング)とヴェリタスIを履修する。
SSH指定校のメリットの一つは、高1の間に文系理系の選択をじっくり考えることができる点だと思う。
高2でも理数科目を優先する。数IIBCと化学は必修で、物理または生物を選択履修する。そして歴史総合がようやく登場する。SSHに係る科目として、ヴェリタスIIを履修する。
高1、高2の2年間で、選択科目は高1の音楽/美術と高2の物理/生物だけであり、国公立大学受験を前提にしている。国公立大学文系志望の生徒にとっては、数学と理科の履修が高2で一応完了するのは大きい。
高3で文系理系に分かれる。文系コースで日本史探究または世界史探究を選択履修する。
理系コースの生徒は社会の探究科目を履修しない。本当は、高2で全ての生徒が日本史探究か世界史探究を受けたいところだが、理科の進度を優先するデメリットがここで出る。
国公立大学受験を前提にした教育課程だと思う。SSH指定校なので理系度が強いが、実は国公立大学文系志望者にとってもメリットが大きい。
2024年度大学合格実績
2023年3月卒業生351人+卒業生のうち進学準備他36人=387人を分母にして合格率を計算した。
参考記事:
神奈川進学重点校+YSFの筑波・農工・都立大合格圏(2024年度入試) - 公立ルートを行く
難関国公立大学合格者数51人(現役46)
難関国公立大学合格率 13.2%
筑波大(理系)合格圏 13.2%
浪人率10.3%
東工大11名(増減なし)、東北大6名(+4)、一橋大6(+4)、筑波大10(+6)が目立つ。
校内上位13%なら評点平均4.3は取れそうなので、筑波大学の学校推薦型選抜を狙える。
準難関国立大学合格者数39人(現役39)
難関・準難関国公立大学合格率 23.3%
農工・電通大合格圏 23.3%
2023年度は46人(現役40)であった。合格者が全員現役生というのは凄いが、準難関国立大学に合格する既卒生がいないのか?とも思う。
国公立大学合格者数142人(現役137)
国公立大学合格率 37.2%
都立大(理系)合格圏 37.2%
2023年度は144人(現役127)であった。
国公立大学合格者数に占める現役の割合が非常に高い。殆どの生徒が合格確率の高い大学を受験するのだと思う。
一浪は有力な選択肢(1年間で3,000時間の学習時間を獲得できる)なので、ここまで現役志向が強くなくても良いのではないかとも思う。まぁそうは言ってみたものの、国公立大学に現役で137人も合格するって立派である。
高校入試難易度
2025年度用神奈川県高校受験案内(声の教育社)に掲載された情報を利用。
2024年度入試倍率は1.38倍で、前年度の1.21倍から上昇した。
合格者平均は、内申128.5、学力検査422.0点、特色検査約50点(ステップ生の同校受験者平均48.0+2点とした)、全県模試偏差値68.8。
内申126.5→128.5は上がり過ぎ。全県模試偏差値も+1.1上がった。学力検査は前年度から▲8.6点と減少幅が小さい。入試難易度はかなり上昇した。
S値の合格者平均(各項目の平均を足し合わせた単純平均)は987点になる。第1次選考のS値ボーダーは950点とのことで、合格者平均とボーダーの幅は37点。
合格者平均から▲24点(S値1200点満点の2%)を安全ライン(ほぼ間違いなくボーダーの上にいる水準)と考えているので、違和感はない。
全県模試偏差値66(合格者平均に対して▲2.8)の場合、入試得点は▲18.48点(本ブログでは、偏差値が1.0下がると入試得点が6.6点下がると想定)で、S値で▲22.18点になる。特色検査▲7点(特色検査を含めた一次ボーダーと特色検査を除いた一次ボーダーの差を考慮した)だとS値は▲14点で、合計で▲36.18点となり、ボーダーラインとほぼ同じになる。
厚木高校を受験するなら、全県模試偏差値67は欲しい。
全県模試偏差値66なら、小田原高校、希望ケ丘高校または大和高校を受験する(我が子の喜ぶ顔を安心して見たい)。これが自分の考え方だ。
横浜翠嵐と特色検査が同タイプなので、373型としてS値合格者平均を計算すると1026点になる。横浜翠嵐の第1次選考のS値ボーダーは1070点とのことなので、44点も差がある。特色検査の合格者平均で13点違うのが大きい。S値に直すと39点差になる。
厚木にしておいて良かったね、ということになる。
2025年度入試がどうなるのか、ちょっと読み難い。11月下旬に発表される「公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況」集計結果を見たいところだ。