公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

中学受験は「勝てるゲーム」であることが大前提

他人の意見は参考にならない

 小学生の我が子に中学受験をさせるか? 中学受験の専門家の意見は参考にならない。結局、多くの小学生に中学受験をしてもらわないと商売にならない。ネット掲示板の意見はもっと参考にならない。中学受験賛成派と反対派に真っ二つに割れていて、妥協点がない。

 

 結局のところ、中学受験をさせることで我が子が幸せな人生を歩む確率が上がるか下がるかの判断を親がすることになる。

 

中学受験は親が子供を操縦するゲームのようなもの

 2022年に出版された新潮新書「コスパで考える学歴攻略法」(著者は藤沢数希氏)という本の中で、「中学受験はダービースタリオンだ」と題した章がある。ダービースタリオンは、競馬のシミュレーションゲームである。親は種牡馬・繁殖牝馬、子供は生まれてきた馬に相当し、小学3年生の終わりに厩舎(SAPIXや日能研など)に入れられ、調教師(塾講師)が馬(子供)を厳しく調教していく。毎月、レース(全国模試)があり、その成績によって馬(子供)のクラスが上下し、馬主でもある親は一喜一憂する。この状況がまさにダービースタリオンに似ているというのである。

 

 「だから中学受験はダメ。」ということではないと思う。子供によっては、最初は勝手に厩舎に入れられたかもしれないが、主体的に勉強するようになり、毎月のレースで高順位になることで成功体験を積み重ねていき、最終目標(第一希望の中学)に到達することだって普通にある。

 

平均的な中学受験生にとってはどうなのか

 子供が中学受験を通じて主体的に勉強し好結果を得られるのであれば、親が子供に「中学受験」という良い環境を与えたことになるかもしれない。他方で、無理に厩舎に入れられ、その後は厳しく調教されるのに耐えているだけであれば、中学受験は子供の主体性を阻害するものにしかならない。

 

 中学受験で第一希望の学校に合格できるのは約3割と言われている。子供によっては、塾の勉強をやらされ続け(主体性は失われる)、第一目標にも届かない(自己否定感が残る)ということにもなりかねない。

 

勝てるゲームをする

 子供が将来幸せになるとはどういうことか。自分の考えでは、周りから見て好条件に恵まれることではなく、本人が自分を幸せだと思うことだと思う。そのための重要な要素が非認知能力である。そして、非認知能力が育つポイントは主体性と自己肯定感である。親は子供に「勝てるゲーム」(=主体的に取り組み、成功体験を積み重ねることができるゲーム)をさせたい。中学受験が我が子にとって「勝てるゲーム」なのかどうかの判断。子供の非認知能力が育つか破壊されてしまうかの分かれ目だと思う。

 

別学の私立中高一貫校は時代に合っているのか

 私立中高一貫校の多くは男子校または女子校(いわゆる別学)である。男女共同参画時代において、中高6年間を別学で過ごしてしまって良いのだろうか。中学受験が「勝てるゲーム」であったとしても、このリスクは大きい。

 別学の私立中高一貫校は、この面において「ガラパゴス」化している可能性がある。