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私立大学の入学金納付期限から考える併願戦略

 明日から国公立大学一般選抜の出願が始まる。1月22日(月)から2月2日(金)までを出願期間とする大学が多いようだ。私立大学については、1月19日までに出願手続きを終えた受験生が多いと思うが、一般選抜(後期日程)や大学入学共通テスト(以下、共通テスト)利用方式の場合、まだ出願期間が終了していない(出願が始まっていない)大学もある。

 

 今回は、私立大学(工学部)の入学金納付期限に注目したい。国公立大学が第1希望の場合、併願する私立大学の受験費用(入学検定料)をできるだけ少なくしたい。特に、返金されない入学金を複数の大学に納付することは避けたい。

 

私立大学の入試方式について

 以下のパターンでほぼ共通している:

大学独自試験を課す一般選抜
(前期・後期に分かれるパターンあり)

共通テスト利用(個別試験なし)
(前期・後期に分かれるパターンあり)

全学部共通
(同じ試験で複数学部を受験可)

英語資格・検定試験利用
(英語試験免除)

 

 募集人員は多い順に以下のようになる:

一般選抜(前期)
>共通テスト利用、全学部共通
>英語資格・検定試験利用、一般選抜(後期)

 

 共通テスト得点率の高い受験生は共通テスト利用方式でサクッと合格をゲットできる。しかし、入学金の納付期限を一般選抜(前期日程)よりも前に設定する大学があるので、要注意である。

 

 大学は、複数の入試方式で受験してもらい(入学検定料を稼ぐ)、入学金を納付してもらうことを狙う。

 

 以下、一般選抜(前期日程)を中心に見ていく。

 

四工大

 四工大とは、芝浦工業大学、工学院大学、東京電機大学、東京都市大学の4つの大学である。

 

一般選抜前期日程:

 前期日程の入学金納付期限は2月20日で共通している。

 参考として、芝浦工大の前期日程を記載する。

 

<芝浦工大の前期日程>
出願期間:1月6日〜1月19日
試験日:2月1日〜3日 
合格発表日:2月14日
入学金納入期限:2月20日
入学金:28万円

 

<入学金>
芝浦工業 28万円
工学院 25万円
東京電機 25万円
東京都市 25万円

 

 4工大の入学金納付期限(2月20日)は、東京理科大や早慶の合格発表よりも前に設定されているので、合格をキープしたい受験生は入学金を納めなければならない。

 

一般選抜後期日程:

<入学金納付期限>

芝浦工業 3月7日(後期日程)
工学院 3月4日(B日程)
東京電機 3月14日(後期日程)
東京都市 3月4日(中期日程)

 

 国公立大学の一般選抜(前期)の合格発表は、3月6日から3月10日にかけて行われる。工学院大と東京都市大は国公立大学合格発表ウイークが始まる前に入学金の納付期限を設定している。工学院大にはM日程(入学金納付期限3月25日)、東京都市大には後期日程(同3月13日)があるが、募集人員が非常に少ない。

 

 芝浦工大は国公立大学合格発表ウイークの前半に入学金の納付期限が来る。ギリギリ間に合うのは、北海道大学(3/6)、電気通信大学(3/7)、横浜国立大学(3/7)、東京農工大学(3/7)だ。

 

 東京電機大は、国公立大学合格発表ウイーク後に入学金納付期限を設定している。

 

MARCH

明治 合格発表2/14 入学金納付期限2/28
青山 合格発表2/17 入学金納付期限2/26
中央 合格発表2/26 入学金納付期限3/4
法政 合格発表2/20 入学金納付期限2/27

 立教大学は理学部のみ。

 

 明治・青山・法政は、四工大(前期日程)の入学金納付期限前に合格発表がある。また、東京理科大や早慶の合格発表後に入学金の納付期限が来る。

 

 中央の狙いは見えない。四工大(前期日程)と併願する受験生は少ないはずである。

 

 四工大かMARCHかは、進みたい学科やキャンパスによって決めることになる。

 

東京理科大学

出願期間:1月5日〜1月19日
試験日:2月2日〜2月5日 
合格発表日:2月21日〜2月23日
入学金納入期限:2月28日・29日
入学金:30万円

 

 四工大(前期日程)の入学金納付期限(2月20日)に間に合わない。四工大の合格をキープするためには入学金を納めなければならない。

 

 四工大の入学金を納付する。東京理科大に合格にして入学金を納付する(四工大の入学を辞退する)。第1希望の国公立大学に合格して、東京理科大への入学を辞退する。こうする受験生もいるのかもしれないが、我が家だったらしない(お金がもったいない)。

 

 四工大(前期日程)の合格をキープする必要がある受験生の場合、東京理科大よりも入試難易度が低い国公立大学を第1希望にするのが良いことを示唆しているように思う。このパターンであれば、東京理科大をそもそも受験しないか、東京理科大に合格して同大学に入学する(経済的にOKであれば)のでも良い。

 

早稲田大学と慶應義塾大学

<早稲田大学>
(基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部)

出願期間:1月5日〜1月19日
試験日:2月16日
合格発表日:2月26日
入学金納入期限:3月4日
入学金:20万円

 

<慶應義塾大学>
(理工学部)

出願期間:1月4日〜1月19日
試験日:2月12日
合格発表日:2月24日
入学金納付期限:3月4日
入学金:20万円

 

 東京理科大の入学金納入期限の直前に合格発表がある。しかし、国公立大学の一般選抜(前期)の合格発表には間に合わないので、入学金を納めることになる。

 

国公立大学と私立大学の併願戦略

 私立大学の入学金納付期限から考える併願戦略は以下のようになる:

  • 難関国立大学(旧帝・東工大)を第1希望にする場合、早慶を併願する。
    東京理科大の共通テスト利用入試でサクッと合格を取っておきたいところだが、入学金の納付期限が2月19日に来るのでNGである。東京理科大を併願するなら、B方式(大学独自試験)を受けることになる。

  • 準難関国立大学(横浜国大、千葉大、電通大、東京農工大、他)を第1希望にする場合、東京理科大(大学独自試験)、MARCH、四工大(後期日程)を併願する。
    一番悩ましい。準難関大学と東京理科大の入試難易度はほぼ同じである。MARCHと四工大(後期日程)の入試難易度(学科別)を正確に分析する必要がある。

  • 横浜市大・東京都立大を第1希望にする場合、四工大(前期日程)を併願する。
    これだったら、推薦入試で横浜市大・東京都立大の合格を決めてしまいたいところである。実はあるようでない併願パターンかもしれない。

 

国公立大学一般選抜(後期)

 国公立大学の一般選抜(後期)は、難関大学の募集人員は非常に少ないが、それ以外の大学の募集人員はそれなりにある。週刊誌が3月中旬に前期日程の高校別合格者数を特集して、世の中的には「今年の受験シーズンも終わった」感が漂うのだが、ちょうどその頃、熾烈な第2ラウンド(後期日程試験)が行われている。

 

 国公立大学の一般選抜の出願期間は二週間と長いが、後期で受ける大学を選定するための時間なのかもしれない。

 

 合格をキープする私立大学の1年次授業料等を納めることになる。一般選抜(後期)に合格すれば、私立大学の入学を辞退し、授業料等の返還請求をする。後期日程の合格発表日は3月下旬なので、精神的にはタフな戦いだ。