公立ルートを行く

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大学合格実績は二つの指標のバランスで評価する

 AI時代に公立ルートで目指したい大学は、国公立大学の理系学部である。今回は、高校の大学合格実績をどう評価するかについて考えたい。

 

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従来の大学合格実績の見方

 高校の大学合格実績を評価するとき、以下のものがよく使われている。

 

東工一旧帝国医の合格者数

 東大、東工大、一橋大、旧帝大(北海道、東北、名古屋、京都、大阪、九州)、国公立大学医学部を指す。いわゆる難関国公立大学の合格者数で高校をランキングしようというものである。難関中高一貫校の大学合格実績を評価する場合には適していると思う。

 

早慶合格者数、MARCH合格者数

 公立高校の大学合格実績を評価する際に使われることが多い。MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)を少し変えて、GMARCH(G=学習院を追加)にしたり、SMART(S=上智、明治、青山学院、立教、T=東京理科)にしたりもするが、あまり流行らないようだ。

 

 早慶合格者数、MARCH合格者数のいずれについても、一人の受験生が複数の大学・学部に合格する場合にそれぞれカウントされて延べ人数になってしまうので、実態が掴みづらい。

 

大学合格実績を評価するための二つの指標

 公立ルートで目指したい大学のベースラインは横浜市立大学と東京都立大学の理系学部である(神奈川県在住をベースに考えている)。上位の目標(アッパーライン)は、旧帝に次ぐレベルにある筑波大学である。このベースラインとアッパーラインの目標に対する高校の合格力(実力)を測る指標は以下の二つと考える。

 

国公立大学現役合格率(ベースライン)
難関国公立大学現役合格率(アッパーライン)

 

 難関国公立大学は、先述の東工一旧帝国医に筑波大学を加えたものにする。神奈川県の学力向上進学重点校及び同エントリー校、東京都の進学指導重点校及び進学指導特別推進校を二つの指標でランク付けすると以下のようになる。

(東京都の進学指導推進校15校のうち、9校を欄外に記載した)

 

カッコ内数値
左側:国公立大学現役合格率
右側:難関国公立大学現役合格率

 

Aグループ 

 横浜翠嵐(55%、37%)
 国立(48%、21%)
 日比谷(35%、20%)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Bグループ          

 西(34%、18%)
 湘南(32%、17%)
 戸山(39%、15%)
 青山(33%、14%)
 立川(44%、14%)
 柏陽(43%、12%)

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Cグループ

 八王子東(36%、9.7%)
 新宿(26%、9%)
 厚木(36%、8%)
 小山台(30%、8%)
 小田原(33%、6%)
 多摩(22%、6%)
 小松川(27%、6%)
 横浜緑ケ丘(16%、5%)

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Dグループ
 川和(27%、4.7%)
 国分寺(27%、4.5%)
 大和(17%、4.0%)
 駒場(12%、2.9%)
 横浜平沼(13%、2.8%)
 光陵(18%、1.3%)
 鎌倉(14%、1.3%)
 茅ケ崎北陵(13%、0.7%)
 町田(17%、0.6%) 

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(進学指導推進校) 
 武蔵野北(28%、1.7%)
 日野台(28%、0.9%)
 多摩科学技術(27%、3.3%)
 竹早(24%、2.6%)
 上野(16%、0.9%)
 調布北(14%、0.4%)
 昭和(13%、2.6%)
 小金井北(13%、0.6%)
 城東(11%、1.6%)

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※1
各校の合格者数を分子、定員数を分母として計算。

※2
以下の高校は情報不足で対象から外した。
希望ケ丘、横須賀、平塚江南、相模原

※3
以下の高校は母数少で対象から外した。
横浜国際、国際

指標について

 国公立大学の文系学部に合格した人数も計算に入っているが、国公立大学に合格する高校生の場合、理系を本気で目指せばそちらにも進んで行けるはずだと思うので、高校の実力を測る上でのデメリットは少ないと判断した。(各高校の情報開示に差があり、合格者数を文系・理系に分けるのは難しい)。

 東大(理系)・東工大を受験して不合格になり、早慶(理系)に合格する生徒が漏れているので、高校の本当の実力よりもやや保守的な評価になっている。

 既卒生については、各校の浪人率にばらつきがあるため、カウントしないことにした。

 

二つの指標の目安となる数値

 国公立大学現役合格率は10%以上(学校の上位層に相当)は欲しいところである。難関国公立大学現役合格率は参考指標の位置付けであるが、5%以上(学校のトップ層に相当)であれば十分だと思う。いずれの条件も満たすのはA〜Cグループである。あとは、入試リスクとのバランスでどのグループの高校を目指すかを決めればよい。

 

二つの指標のバランス

 難関国公立大学現役合格率5%以上の高校は、国公立大学現役合格率20%以上(横浜緑ケ丘を除く)となっている。湘南高校と西高校は、難関国公立大学現役合格率が17-18%と非常に高い一方で国公立大学現役合格率は30%前半に止まっている。このバランスは浪人率の高さを表しているはずである。厚木高校と八王子東高校は、国公立大学現役合格率が30%台後半と高いのに難関国公立大学現役合格率は10%を少し切る水準にある。これはレベルが高い割に現役志向が強いことを表していると思う。