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慶應SFCの学び#3 専門性と越境性

 慶應SFCの2学部(環境情報学部と総合政策学部)の学びについて考える本シリーズ。第1回は「研究会」、第2回は科目群(基盤科目と先端科目)にフォーカスした。

 今回(シリーズ第3回)は、専門性と越境性について考えてみる。

 

数学とプログラミング

 慶應SFCでは、基盤科目としてデータサイエンス科目(統計、線形代数、微積分など)やプログラミング基礎を選択履修する。しかし、あくまで基礎を押さえる程度にとどまる印象だ。

 一方、筑波大学社会工学類や明治大学総合数理学部では、1年次・2年次に数学の授業がしっかり組まれており、学生は大学理系レベルの数学基礎を習得する。基礎固めに時間をかけるため、本格的な課題研究は3年次から始まるのが一般的だ。

 学生の平均層が数学力という観点では、筑波大学社会工学類や明治大学総合数理学部の方が優れている。SFCでも、一部の学生は高い次元で数学を習得するかもしれないが、平均的には基礎固めに割く時間は限られている。

 

越境性(学際性)

 慶應SFCでは、1年次・2年次に体系的な基礎固めをあまり行わず、1年次の秋から研究会に入り、課題を見つけてそれに関連した先端科目を学ぶスタイルだ。物事を捉える概念フレームワークに関する授業が多いような印象を受ける。

 現実の社会課題は学問の領域をまたぐことが多いため、慶應SFCの学生は異なる分野の間を自由に行き来(越境)しながら学ぶことができる。これは、他の学部ではなかなか体験できない学びだと思う。

 

専門性と越境性のトレードオフ

 専門性を深めようとすると、越境性は弱くなる。逆に、越境性を獲得しようとすれば、専門性は犠牲になる。つまり、専門性と越境性はトレードオフの関係にある。

 

筑波社会工学・SFC・明治総合数理の関係

・筑波社会工学類は:専門性と越境性のバランスが一番優れている。

・慶應SFC:越境性に優れているが、専門性は犠牲になりやすい。

・明治総合数理学部:専門性に優れるが、越境性は弱い。

 

 慶應SFCの学びは、専門性よりも越境性を重視し、PBL(Project Based Learning)を通じて、「越境性」を自らの武器として磨いていく教育プログラムなのだと思う。

 

 これでようやく、5つの評価軸による総まとめができそうだ。

 

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