公立ルートを行く

公立上位校から学歴ピラミッドのスイートスポットへ

文理融合型学部の時代が始まった〜大学入試には「文理融合系」が存在する(#4)

 これまでは以下のとおり:

#1 10年前には見えなかった進路が今現れている

#2 ビッグデータ・大規模高速計算処理環境・AIの3つの要素が揃う歴史的転換点を迎えている

#3 文理融合の2類型

 

 今回は、大学入試制度をよく見ると、「文系」「理系」に加えて、「文理融合系」が存在することを確認する。

 

共通テストの地歴・公民1科目OK
 &2次に地歴以外の選択可能

 筑波大学 社会・国際学群が該当する。理系コースでも受験可能だ。教育カリキュラムに文理融合型の要素が組み込まれているので、理系の受験生にも門戸を開いている。

 

英数2科目型

 横浜国立大学経済学部の2次は、英語・数学2科目。共通テストは地歴・公民1科目OK(但し、理科が増える)。つまり、理系でも受験できる。

 慶應義塾大学経済学部のA方式は、英語・数学2科目に加えて小論文があるものの、理系でも受験できる。

 

 経済学部は本来的には文理融合型学部であり、数学が必要になる。数学が課されない入試制度が存在するのは、大学受験市場の事情による。

 

 英数2科目型は、文理融合型の思考力を効率的に測るフォーマットと言える。英語で言語能力、数学で数理能力を測り、この2つの異なる能力のバランスを見ることができる。

 

小論文型

 横浜国立大学都市科学部の2次は小論文のみ。共通テスト(地歴・公民1科目OK)で基礎学力を確認し、小論文で文系思考を評価する。

 慶應SFC(環境情報学部、総合政策学部)は、英語/英語・数学/数学/数学&情報の4パターンから1つを選択し(配点割合50%)、残りは小論文(配点割合50%)。

 

 小論文は文系思考(課題発見、論点の整理・統合など)を測るもので、文理融合=数理思考×文系思考の後者を確認する役割を持つ。

 

理系の文理融合型入試

 高校の理系コースに進むと、数IIIと理科発展科目(物理・化学・生物から2科目)を履修する。

 筑波大学の社会工学類の2次は英語・数学2科目で理科は課されない。しかし、数学には数IIIが含まれるため、理系コースでないと受験は難しい。理科は2次試験で課されなくても、高校で物理や化学を履修している。

 共通テストの配点割合が高いため、2次試験の英語と共通テストの文系科目の成績も重要になる。まさに、文理融合型入試の理想系と言える。

 

まとめ

 高校生には、文系・理系双方の基礎力を持つオールラウンド型がいる。従来の理系フォーマットでは文系の強みを活かせず、文系フォーマットでは理系の強みを活かせない。

 文理融合系の入試では、文系・理系の能力をバランスよく評価するため、オールラウンド型の強みを最大限に活かせる。

 入試フォーマットへの適性が高いということは、大学入学後のカリキュラムへの適性が高いことを示唆している。

 

 次回(最終回)は、文理融合系人材の戦略的価値について考えたい。