慶應SFCの2学部(環境情報学部と総合政策学部)の学びについて考える本シリーズ。第1回は「研究会」にフォーカスした。
今回(シリーズ第2回)は、科目群を確認する。
他の学部との違い
通常の学部では、専門課程に入る前に基礎科目を必修する。経済学部ではマクロ経済学基礎・ミクロ経済学基礎、法学部政治学科では比較政治制度論・国際関係論など。基礎科目を履修することにより、その分野のベースとなる知識や考え方を身に付けることができる。
慶應SFCの場合、基盤科目と先端科目から構成されるが、他の学部のような体系的な基礎科目が少ない。
基盤科目
全ての学生が学ぶべき「基盤」を培うための科目。
総合講座(総合政策学、環境情報学)
語学(英語他)
情報技術基礎(プログラミング)
データサイエンス(統計、線形代数、微積分他)
ウェルネス(体育)
プログラミングとデータサイエンスを学ぶのは良いが、深く掘り下げるわけではないようだ。
先端科目
研究会や卒業プロジェクトへと導く科目。他の大学や学部でいうところの専門科目に相当する。面白そうな科目を以下に挙げてみる:
感覚の生理と心理
視覚メディア論
生命現象と現実社会の比較論
イメージと精神分析
NPOの設立と経営
パーソナルプレイスデザイン
音楽と脳
課題研究が先にあり、その研究に必要な科目を自分で選択して履修する。アドバイザーの助言はあるだろうが、学生が主体的にカリキュラムを設計するのだと思う。
基盤科目と先端科目で400以上あると記載されているが、学生数は3,200人(1学年800人として)ぐらいだから、400以上の科目が常時開講中ということではないだろう。
この学びをどう考えるか
SFCの教育は、課題発見・仮説立案・検証・発表というPBL(Project Based Learning)を中心に構成される。学生が自らの”問い”を中心にカリキュラムをデザインする。この経験は非常に価値がある。一方で、コアとなる専門性は身につき難いかもしれない。
次回は、専門性と越境性(学際性)のトレードオフについて考える。