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高1で知る!東北大学のAO入試 III期(共通テストあり)

 前回は、東北大学のAO入試 II期の概要を見た。結論としては、一般選抜との間で評価ポイント上の本質的な違いはないというものであった。

 今回は、前回と同様に理学部と工学部に絞って、AO入試 III期の概要を見ていきたい。

 AO入試 III期は、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)を課すタイプの総合型選抜である。

 

AO入試 III期(共通テストあり)

※2024年度入試の募集要項は11月30日に発表された。

 

日程(2023年度入試):
出願期間 1月18日〜22日
第1次選考結果発表 2月6日
第2次選考 2月10日
合格者発表 2月12日

 

募集人員:

<理学部>

物理系(物理学科、宇宙地球物理学科)10
化学系(化学科)12
地球科学系(地圏環境科学科、地球惑星物質科学科)6
生物系(生物学科)4
 計32

 理学部の全募集人員(324人)の22.5%(やや低い)。理学部は、一般選抜(後期)の募集人員が55人と多い。

 

<工学部>

機械知能・航空工学科 32
電気情報物理工学科 40
化学・バイオ工学科 17
材料科学総合学科 17
建築・社会環境工学科 16
 計122

 工学部の全募集人員(795人)の28.7%を占める。

 

出願要件:

  • 共通テストで指定教科・科目を受験した者
  • 合格した場合に必ず入学することを確約できる者

 

出願書類:

入学志願書
志望理由書
活動報告書・自己評価書(理学部は不要)
英語の資格・検定試験の成績証明書等
調査書
志願者評定書

 志願者評定書は学校長名による書類である。①志願者が人物的に優れていること、②十分な学力を有すること、③志願する分野の学問に深い関心を持ち、それを学んでさらにその研究を推進する意欲と能力を有すること、を保証する内容になる。

 やはりこれが必要。

 

<理学部>

第1次選考:

 志願者数が募集人員を大幅に上回る場合に、共通テストの成績による第1次選考が行われる(実態としては行われる)。

 出願書類は全く考慮されない。とにかく、共通テストで良い成績を取る必要がある。

 

第2次選考:

 第1次選考合格者に対して面接が課される。

 

 面接試験は系別に行われ、理解力、知識、コミュニケーション能力、学習意欲、論理的思考力、科学に対する好奇心が総合的に評価される。生物系については、面接前に生物学に関する小作文が課される。

 

 配点は、共通テスト900点、面接200点(出願書類の評価を含む)の合計1,100点。

 

 学力に関して、個別学力検査を課さずに共通テストで評価するタイプの入試なので、一般選抜(前期)の共通テスト合格者平均(80.7%)以上の得点が求められると思う。共通テスト得点率81%以上の実力があり、面接が得意であれば、合格チャンスがあるのではないかと思う。

 

<工学部>

第1次選考:

 志願者数が募集人員を大幅に上回る場合に、出願書類の内容及び共通テストの成績による第1次選考が行われる(実態としては行われる)。

 理学部と違い、出願書類も評価される。

 

第2次選考:

 第1次選考合格者に対して筆記試験と面接が課される。

 

 筆記試験では、論理的思考力、独創性、表現力、作文能力、英文読解力などが評価される。

 

 面接試験では、知識の程度や正確さ、コミュニケーション能力、独創性やひらめき、学問や研究に対する熱意や積極性などが評価される。

 

 出願書類については、高校の教科成績、学校内外の様々な学習成果や活動実績、資格等(前回記載したように幅広い)が評価される。

 

 配点は、共通テスト900点、筆記試験100点、出願書類100点、面接100点の合計1,200点。

 

 筆記試験が課され、出願書類の中に活動報告書・自己評価書が含まれるため、合否は理学部よりも読み難い。ただ、2月12日には決着が付くので損はない。残念だったら、同大学の一般選抜(前期)で再チャレンジするか、他の国公立大学の一般選抜(前期)を受ければ良い。

 

2023年入試結果:

<理学部>

 募集人員32人対して、志願者107人。第1次選考合格者52人、第2次選考合格者27人。

 

<工学部>

 募集人員116人対して、志願者328人。第1次選考合格者196人、第2次選考合格者112人。

 

AO入試 II期とAO入試 III期の比較

 AO入試 II期は、共通テストを受けずに、筆記試験という名の別ヴァージョンの個別学力検査を受けるような印象を受ける。これに対して、AO入試 III期は、高い共通テスト得点率(81%以上)と高校での活動実績がポイントになる入試制度であると思う。

 

 国公立大学の学校推薦型選抜・総合型選抜を探究する理由は何か。一般選抜の個別学力検査で勝負するのではなく、高校での様々な活動実績を生かす道を探しているのである。

 

 高校での様々な活動と個別学力検査に向けた受験勉強との間にはトレードオフがある。公立高校で学習だけでなく部活動なども頑張る生徒が得をする入試制度を探す旅は続く。

 次は味噌カツ食いに行くかな。