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高1で知る!九州大学の総合型選抜I(共通テストなし)

 九州大学の総合型選抜の募集人員は旧帝の中では多い。総合型選抜には、総合型選抜I(大学入学共通テスト利用なし)と総合型選抜II(同利用あり)がある。今回は、総合型選抜Iの概要を見ていきたい。この入試制度を実施するのは教育学部と共創学部の2学部だけである。

 

総合型選抜I(教育学部)

※国際入試(募集人員3人)は今回取り上げない。

 

募集人員:

 7人

 教育学部の募集人員全体に占める割合は15.2%。

 

日程:

出願期間 9月5日〜8日
第1次選抜 10月14日
同結果発送 11月13日
第2次選抜 11月25日
合格発表 12月21日

 

第1次選抜:

 小論文試験と調査書(またはそれに代わる書類)の総合評価により合格者を決定する。第1次選抜で募集人員の2.5倍以内に絞られる。

 小論文試験は、与えられた資料(英文や数値データ等を含む場合がある)に関する設問によって構成される。人間に対する深い関心と理解力、洞察力、思考力、表現力が評価される。

 

 調査書については、学習成績概況A段階(評点平均4.3以上)が求められると考えておくのが無難かと思う。

 

第2次選抜:

 プレゼンテーション及びその内容に関する面接試験を合わせて評価し、第1次選抜の評価を加えた総合評価により、合格者を決定する。

 

 試験当日に与えられる課題について3時間程度で発表する内容をまとめ、パネルを作成する。そのパネルにより10分程度で発表する。面接試験は1人10分間である。

 

 プレゼンテーションに関する実力の違いがはっきり出るように思う。

 

2023年度入試結果:

 募集人員7人に対して、志願者33人、第2次選抜受験者14人、最終合格者8人。

 

 小論文とプレゼンテーションによって合否が決まる。大手塾等で対策した受験生が選ばれるようでは、この入試の意味はなくなる。大学側もそこは見抜くのではないだろうか。公立ルートを歩んできた生徒が最も得意とする入試制度だと思う。

 

総合型選抜I(共創学部)

共創学部について:

 2018年4月に設置された新しい学部である。率直に言って、どういう学部なのかを理解するのが非常に難しい。学生一人一人が解決したい課題を見つけ、課題解決のために必要な専門分野を学んでいくカリキュラムのようである。

 

募集人員:
 20人

 共創学部の募集人員全体に占める割合は19.0%。

 

日程:

出願期間 9月5日〜8日
第1次選抜結果通知 10月13日頃
第2次選抜 10月28日〜29日
合格者発表 11月22日

※第2次選抜は2日間に亘って行われる。

 

出願書類:

調査書
活動歴報告書(及び英語能力試験成績)
志望理由書

 

 活動歴報告書は、中学校から受験時までに取り組んだ勉学以外の各種活動(部活動やボランティア活動等)のうち、主なものを時系列に記述する。

 

第1次選抜:

 出願書類による書類選考である。募集人員の3倍程度に絞られる。

 

 調査書については、学習成績概況A段階(評点平均4.3以上)が求められると考えておくのが無難かと思う。あとは、勉学以外の活動をどれだけ頑張ってきたかが問われる。

 

第2次選抜:

 受験者は二つの講義(各約50分)を受講し、それぞれの講義の後に休憩(約10分)をはさんで、レポートを作成する(各90分)。配布される資料に英文を含む場合や、講義の一部が英語で行われる場合もある。これが第1日目である。

 

 第2日目の討論の前に、前日の各講義に関する論題がそれぞれ一つ提示される。受験者を1グループ十数人に分けて、提示された二つの講義の論題についてグループ内で討論が行われる。

 

 受験者は、講義・レポート及び討論を踏まえて、提示されたいずれかの講義の論題に関連した表題を自ら設定し、小論文を作成する。

 

 講義に関するレポート(合計180分)、討論(180分)、小論文(240分)、面接(1人約15分〜20分)、出願書類の内容を総合的に評価し、合格者を決定する。

 

2023年度入試結果:

 募集人員20人に対して、志願者121人、第2次選抜受験者58人、最終合格者20人。

 

 大手塾等で討論の練習をして受かったりしたら、この入試制度の意味はなくなる。そういうことはないはずである。高校での活動を通じて小論文やプレゼンテーションに自信のある生徒が自然体で受けるべき入試だと思う。

 

 しかし、大学入学共通テストを受けず、それに代わる試験(数学・理科の難問等)も受けずに、旧帝に合格する道があることに良い意味で驚いた。

 

 次回は大学入学共通テストありの総合型選抜IIをみる。