後編では、横浜国立大学都市科学部の都市社会共生学科と環境リスク共生学科の2つの学科にフォーカスし、一般選抜と総合型選抜の内容を見ていきたい。今回は都市社会共生学科を取り上げる。
都市社会共生学科が求める学生像
都市社会共生学科が求める学生像は以下のとおりである:
「人文社会科学分野の知識や技能を活用し、われわれの未来にとって豊かで美しく、国際的・文化的に魅力のある都市社会の発展に寄与したい人」
「・・・・・、時代や状況に応じた制度づくりや新しい芸術・文化の構想によってこれからの社会に貢献したい人」
※3つ目は省略。
AI時代は、人間の営みとして、芸術・文化が重要になると思う。
一般選抜(前期)
募集人員:
32人(全募集人員64※)
※外国人留学生向け入試制度を除く
大学入学共通テスト利用教科・科目:
国語 200点
地理歴史 100点
公民 100点
理科2科目 100点
数学2科目 200点
外国語(英語) 200点
計900点
6教科8科目が典型的なパターンになると思う(他にも選択肢はある)。理科は、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から2科目選択するか、物理、化学、生物、地学から1科目選択する。
個別学力検査:
小論文が課される。これからの都市を様々に構想することを背景におきながら、共生社会と多様性のあり方、文化や芸術の可能性、グローバルとローカルの接合などに関連して提示された人文社会領域の課題について、内容把握の読解力、問題点を解決するための発想力、考えを表現するための論理的思考力や表現力が評価される。
配点:
共通テスト900点、小論文500点の合計1,400点。
Aさん(SSHで学ぶ女子高生):
総合型選抜に見えるんですけど。共通テストで基礎学力を確認し、小論文で学科への適性を評価するということですよね。
DT:
私にもそう見えます。
一般選抜(後期)
※一般選抜(前期)との相違点のみ記載。
募集人員:
12人(全募集人員64)
2段階選抜:
志願者数が募集人員の10倍を超えた場合に、共通テスト成績と調査書により行われる。都市科学部で2段階選抜が行われるのは都市社会共生学科のみである。
2023年度入試では、募集人員12人に対して志願者数82人。受験者は25人。
個別学力検査:
複数人の面接員による面接試験。提出書類(自己推薦書など)を参考にし、問題点を解決するための発想力、考えを表現するための論理的思考力や表現力などが総合的に評価される。
配点:
共通テスト900点、面接200点の合計1,100点。
共通テスト成績でほぼ決まる配点割合。
総合型選抜
募集人員:
20人(全募集64)
チェックポイント①
募集人員は全体の15%以上か
31%と高い。都市社会共生学科は総合型選抜に力を入れている。
日程:
出願期間:9月中旬
第1次選抜合格者発表 10月25日
第2次選抜 11月18日
同合格者発表 11月29日
ー共通テストー
最終合格者発表 2月13日
チェックポイント②
短期決戦型の日程になっているか
年を跨ぐ日程なので、短期決戦型ではない。
出願要件:
特になし。
チェックポイント③
出願要件は具体的に定められているか
出願要件が定められていないので、志願者の学力の幅は広いし、アピールする活動内容も多岐にわたるのではないかと思う。
共通テスト利用科目:
国語 200点
地理歴史・公民(1科目)200点
数学(数IA及び数IIB)、物理、化学、生物、地学から1科目 200点
外国語(英語) 200点
計800点
4教科5科目(数学選択)が典型的なパターン。数学か理科のどちらかを選択すれば良い。私立大学をメインに考えている受験生でも狙えるかもしれない。
第1次選抜:
提出書類による書類選考。提出書類は、特色活動説明書(600字程度)、学習計画書(600字程度)、調査書などである。
第2次選抜:
文章実技及び面接による選考。文章実技では、文化的・社会的現象に関する600字程度の作文を書く。面接では、志望動機、学習計画、作文内容について質疑を行う。
選考方法:
第2次選抜の成績及び共通テスト成績により、最終合格者を決定する。
チェックポイント④
共通テストの利用目的は限定されているか
限定されていない。
チェックポイント⑤
配点割合又は重視するポイントが明確になっているか
明確になっていない。
DT:
総合型選抜の5つのチェックポイントのうち、パス(合格)したのは募集人員の割合だけでした。一般選抜(前期)がそもそも総合型選抜みたいな入試制度なので、都市社会共生学科を受験するなら一般選抜(前期)という結論になりそうです。
Aさん:
一つわかったことがあります。総合型選抜は、高校の成績が普通の人や共通テストの勉強が不十分な人も狙えるので、この学科にはいろんなタイプの学生が集まるのではないかと思います。都市社会の共生を学ぶ学科なので、それでいいのかもしれませんね。