前回は、九州大学の総合型選抜Iを概観した。教育学部あるいは共創学部を目指しているなら、チャレンジに値する入試制度だと思った。さて、今回は同大学の総合型選抜IIを見ていきたい。
総合型選抜IIの選考方法
総合型選抜IIは、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)を課すタイプの入試で、殆どの学部が実施する(教育学部と共創学部は総合型選抜Iを実施する)。選考方法は以下のとおり:
- 第1次選抜は書類選考である。調査書(高校での学習成績等)と志望理由書を総合的に評価する。
- 第2次選抜は、小論文、面接、共通テスト成績の総合評価である。
九州大学の総合型選抜IIは、10月下旬から11月上旬が出願期間で、最終合格発表は2/13である。他の大学を見るとわかるのだが、学校推薦型選抜あるいは総合型選抜の場合、年内に終了するか、年明けに出願が始まるか、どちらかの方が良い。出願から最終合格発表発表までの期間が長いと、最後に不合格になった時のダメージが大きいからだ。
<文学部>
第2次選抜では、英語による小論文と個人面接が課される。
<法学部>
第1次選抜では、英語能力試験(英検等)の成績も評価される。第2次選抜では、英語試験と個人面接(英語と日本語による)が課される。
<工学部>
電気情報工学科では、第2次選抜で自己作品(エレクトロニクスとプログラミングに関する作品)を持参する。また、他の学科では課題探究試験が課される。
<芸術工学部>
第2次選抜では、実技(表現及びプレゼンテーション)が課される。
※他の学部は割愛。
九州大学の総合型選抜IIは、共通テストの利用目的がはっきりしないのが欠点である。一定の点数を取れば合格者とするか、高得点の者から合格者とするか、いずれかの方が合否を読みやすい。
総合型選抜IIの募集人員
(括弧内は各学部の募集人員全体に占める割合)
文学部 10人(6.6%)
法学部 10人(5.3%)
経済学部経済・経営学科 22人(15.6%)
理学部 34人(13.2%)
医学部保健学科 22人(16.4%)
歯学部 8人(15.1%)
工学部 47人(6.0%)
芸術工学部芸術工学科 56人(29.9%)
農学部 24人(10.6%)
筑波大学の場合、学校推薦型選抜募集人員の全体に占める割合は26%である。学校推薦型選抜と総合型選抜の募集人員を合わせて全体の15%以上かどうかを基準値として考えたい。
九州大学の場合、学校推薦型選抜は28人と少ないので、総合型選抜募集人員の全体に占める割合を見れば、この形態の入試に力を入れているかどうかがわかる。芸術工学部芸術工学科の割合は29.9%と高いので、総合型選抜に力を入れていると評価する。文学部、法学部、工学部の割合は10%未満で、総合型選抜に力を入れていないと評価する。
我が子が九州大学を目指すなら、「総合型選抜IIは狙うな。工学部なら一般選抜(前期)で勝負だ。」と伝える。
国立大学の学校推薦型選抜・総合型選抜を探究する旅を続ける。次は、関東を飛び越えて、伊達公の眠る地を訪ねる。