これまでに以下の大学の学校推薦型・総合型選抜の概要を見てきた。同じ大学でも学部によって内容はかなり異なる。それぞれの学部が求める学生が異なるからだ。本ブログでは、主にデータサイエンス学部、理学部、工学部、農学部の入試制度を取り上げてきた。
横浜市立大学 指定校制学校推薦型選抜※
滋賀大学 総合型選抜※
一橋大学 学校推薦型選抜※
東京工業大学 女子枠
筑波大学 学校推薦型選抜
東京都立大学 一般推薦入試
北海道大学 総合型選抜
九州大学 総合型選抜
東北大学 総合型選抜
名古屋大学 学校推薦型選抜
大阪大学 総合型選抜
※データサイエンスの学部のみ。
この辺で、学校推薦型・総合型選抜を評価するポイントを2023年12月版として整理しておきたい。ポイントは以下の5つである。
- 学部学科の募集人員は全体の15%以上か
- 短期決戦型の日程になっているか
- 出願・推薦要件は具体的に定められているか
- 大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の利用目的は限定されているか
- 配点割合又は重視するポイントが明確になっているか
学部学科の募集人員は全体の15%以上か
国立大学の学校推薦型・総合型選抜の募集人員の全募集人員に占める割合(以下、学校推薦型・総合型選抜募集割合)は20%(全体平均)である。公立大学だと30%程度まで跳ね上がる。本ブログでは、学校推薦型・総合型選抜募集割合が20%以上であれば「積極的に取り組んでいる」と評価し、10%未満であれば「文部科学省に言われてお付き合いで取り組んでいる」と評価する。10%台が「ほどほどに取り組んでいる」ゾーンになるが、真ん中をとって15%を基準値とした。
短期決戦型の日程になっているか
学校推薦型・総合型選抜を受験するにしても、これに全てを賭けるわけにはいかない。同じ大学か他の大学の一般選抜を受ける準備をしなければならない。従って、年内に終了するか年明けから始まるかの短期決戦型であることが望ましい。
10月頃から出願が始まって、年内に第1次・第2次選考があり、年明けに共通テストを受けて、2月10日頃に合否が判明する日程だと、不合格になった場合の精神的なダメージが大きいと思う。
年内に第1次・第2次選考があり、年明けに共通テストを受けるパターンの場合、共通テストの利用目的が限定的(例えば得点率○%以上で合格など)であれば、ギリギリ許容範囲だと思う。
出願・推薦要件は具体的に定められているか
出願・推薦要件が具体的であればあるほど、求める学生像がはっきりし、入試難易度も判断しやすくなる。
- 国際科学オリンピックで入賞するレベルの実績を求めているのか
- SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の生徒研究発表会で発表した実績を求めているのか
- SSHで主体的に探究活動に取り組んだ実績を求めているのか
- 国際交流に関する活動に取り組んだ実績を求めているのか
- 学習成績概評A段階を求めているのか
- 数学・理科で高い評点平均を求めているのか
出願・推薦要件が曖昧だと、入試難易度が判断できない。繰り返すが、同じ大学か他の大学の一般選抜の準備もしなければならないので、それなりの展望が持てないと、学校推薦型・総合型選抜を受ける意味はないのである。
共通テストの利用目的は限定されているか
共通テストの利用目的は、以下の2つである:
- 基礎学力をチェックする
- 一般選抜受験者平均より高い得点者を優遇する
上記のいずれかであることが明確であれば、自分の強みを生かせる入試制度なのかどうかが判断できる。
配点割合又は重視するポイントが明確になっているか
配点割合が開示されているのがベストである。配点割合が開示されていない場合は、最も重視するものが何か(共通テスト、小論文、プレゼンテーション、面接のどれなのか)が推察できるのであればOKだと思う。
一番困るのは、「提出書類、共通テスト、小論文、面接を総合的に評価する」みたいな選考基準である。入試難易度がさっぱりわからない。
国公立大学の学校推薦型・総合型選抜に向く受験生
理系学部の場合、以下になると思う:
- 主導的役割を発揮した研究成果を有すること
- 共通テスト得点率70%以上(理想的には70%台後半)の学力
- 理数分野の試験が超得意か、プレゼン・面接が得意であること
- 学習成績概評A段階
今後は、5つの評価ポイントに従って、個別の大学の学校推薦型・総合型選抜の魅力度を評価していきたい。また、これまでに取り上げた大学についても、適宜、加筆修正をする予定である。