前編では、北海道大学の入試制度に関して、以下の特徴があることがわかった。
- 一般選抜(後期日程)の募集人員が多い。
- 一般選抜(前期日程)では、総合入試(文系、理系)での募集が主体。
※総合入試は1年次に学部を決めない募集形式 - 総合型選抜の募集人員が少なく、実施する学部学科は限定的。
後編では、これらの特徴の背景を探っていきたい。
以下の記事を参照:
高1で知る!北海道大学の入試制度(概要編) - 公立ルートを行く
一般選抜(後期日程)の募集人員が多い
旧帝の中では、北海道大学の募集人員が一番多く、一般選抜に占める割合も一番高い。次に多いのが九州大学である。
一般選抜(後期)募集人員
北海道 438人(18.9%)
東京 ゼロ
京都 法学部20人
大阪 ゼロ
東北 理学部55人、経済学部35人
名古屋 医学部(一般枠)5人
九州 259人(11.6%)
後期日程は、前期日程で不合格になった受験生の第2ラウンドなので、最上位の国立大学に後期日程はほぼない。率直に言ってしまうと、北海道大学と九州大学は、旧帝の中では難易度的に下位に位置しているので、「東大や京大が残念だったみなさん、どうぞいらっしゃい。」ということだと思う。従って、上位の旧帝に落ちた受験生同士の熾烈な戦いになる。
一般選抜(前期日程)では総合入試(文系、理系)での募集が主体になる
総合入試は、1年次には教養科目や基礎科目を学び、本人の志望と成績に基づいて2年次に学部学科に移行する制度である。平成23年度(2011年度)から導入されている。
総合入試のメリットは、自分の適性を把握した上で進むべき分野を決めることができる点である。デメリットは希望する学部学科に進めない可能性があることである。大学側ではなぜこの制度を導入したのだろうか。恐らく、入学してきた学生の資質とその学部が学生に求める資質のミスマッチが大きかったからではないかと思う。そして、なぜこのミスマッチが起きたかといえば、「何はさておき、どうしても旧帝に入りたい。」という受験生が多かったからではないかと推察する。
実は適性がなかったのに、入ってしまった学部学科で4年間を過ごすのは厳しい。総合入試は良い制度だと思う。
総合型選抜での募集人員が少なく、実施する学部学科は限定的
北海道大学の総合型選抜は、フロンティア入試 Type I(大学入学共通テスト利用あり)とフロンティア入試 Type II(大学入学共通テスト利用なし)である。募集人員が少ない理由はわからないが、一般選抜で総合入試を採用していることに関係していると思う。学生には1年間じっくり進路について考えてもらおうというのが大学側の基本スタンスなのかもしれない。
それでもフロンティア入試を実施する学部学科側では、その分野に強い関心を持ち、且つその分野への適性を有する学生を求めているということである。理学部地球惑星科学科、工学部環境社会工学科、水産学部などに強い関心を持つ受験生は、フロンティア入試にチャレンジしても良いのではないかと思う。
北海道大学の一般選抜(前期)の難易度はどの程度なのか
総合入試理系のボーダー得点率(河合塾)は74%程度である。個別学力検査では、数学重点選抜群、物理重点選抜群、化学重点選抜群、生物重点選抜群、総合科学選抜群の中から選べる。共通テストの配点割合が40%と高く、英語の配点割合も28.0%と高い。ただ、数学が難化しているのは気になる。
北海道大学と筑波大学の入試難易度は殆ど変わらないのではないだろうか。公立ルートを行く生徒にとって、北海道大学は筑波大学に続く有力候補になりそうである。もしかすると、九州大学も有力候補になるのだろうか。