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高1で知る!北海道大学の入試制度(概要編)

 国内トップ10にランクされる国立大学の中で、公立ルートを行く生徒が本気で目指したい第1候補は筑波大学だと思う。同大学の入試制度は時代を先取りしているからだ。しかし、旧帝国大学(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州)もやはり気になる。

 

 東工大が2024年入試から女子枠を設置するように、国内トップクラスの国立大学の入試制度にも大きな変化が起きるかもしれない。

 

 今回は、北海道大学の入試制度を見ていきたい。同大学は、THE日本大学ランキング(Times Higher Education)で第7位にランクされている。札幌という魅力ある地方都市に広大なキャンパスがあり、ここで大学時代を過ごすことで、人生観が変わる人もいるのではないかと想像する。

 

募集人員(2024年度入試)

一般選抜(前期)1,881
一般選抜(後期)438
フロンティア入試 Type I 78
フロンティア入試 Type II 66
国際総合入試 15
 計2,478

 

 一般選抜(後期)の募集人員は多い。一般選抜募集人員(前期&後期)の18.9%を占めており、この割合は旧帝の中では一番高い。

 総合型選抜であるフロンティア入試の募集人員は、募集人員全体の5.8%と低い。この人数バランスを見ると、北海道大学に入りたいなら、余計なことは考えずに一般選抜を受験するのが得策ということになるかもしれない。

 

フロンティア入試 Type I 
(大学入学共通テストあり)

 同入試を実施する学部(学科)は、理学部(地球惑星科学科)、医学部、歯学部、工学部(応用理工系学科、環境社会工学科)、水産学部である。

 

 対象となる学部(学科)は限定的である。その中で、水産学部の募集人員は20人と多い。一般選抜を含む募集人員が175人なので、フロンティア入試により、水産分野に対して強い関心を持つ生徒を取りたいのだと思う。

 

 第一次選考は、出願書類による書類選考である。第二次選考では、課題論文と面接(口頭試問等)が課され、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の成績も利用される。

 共通テストでは、学部(学科)ごとに指定される科目を受験し、基準点を取らなければならない。

 

日程:
出願期間 9月14日〜20日
第1次選考結果発表 11月6日
第2次選考 11月19日
同結果発表 12月7日
共通テスト 1月13日〜14日
最終合格発表 2月13日

 

2023年入試結果:

 医学部と歯学部は今回取り上げない。

 

<理学部地球惑星科学科>

 募集人員5人に対して志願者20人。第1次選考合格者10人、第2次選考合格者4人、最終合格者2人。
 これは厳しい。ただ、共通テストは数学・理科・外国語の合計600点中、75%取れば最終合格なので、第2次選考に合格しているのにこの基準をクリアできないのはちょっと残念だな気がする。

 

<工学部応用理工系学科>
<工学部環境社会工学科>

 募集人員8人に対して志願者3人。第1次選考合格者3人、第2次選考合格者2人、最終合格者1人。
 何で人気がないんだろう?

 

<水産学部>

 募集人員20人に対して志願者42人。第1次選考合格者40人、第2次選考合格者20人、最終合格者11人。

 第2次選考合格からなぜ半分脱落してしまうのだろう。共通テストは数学・理科300点、外国語100点の合計400点中、70%取れば最終合格である。

 

フロンティア入試 Type II
(共通テストなし)

 同入試を実施する学部(学科)は、理学部(数学科、物理学科、化学科、生物科学科)、工学部(応用理工系学科、機械知能工学科、環境社会工学科)である。

 

 第一次選考は、出願書類による書類選考である。第二次選考では、適性試験(数学・理科に係る分野)と面接が課され、基礎的な知識・技能とともに、思考力・表現力等が評価される。

 

 数学・理科の分野で秀でた能力を持つ生徒を取りたいのだと思う。共通テスト(5科7科目)を課すと、このタイプの生徒を取りこぼす可能性がある。

 

日程:
出願期間 9月14日〜20日
第1次選考結果発表 11月6日
第2次選考 11月19日
最終合格発表 12月7日

2023年入試結果:

<理学部4学科>

 募集人員41人に対して志願者144人。第1次選考合格者110人、第2次選考(最終選考)合格者39人。

 

<工学部3学科>

 募集人員25人に対して志願者99人。第1次選考合格者99人、第2次選考(最終選考)合格者25人。

 

 フロンティア入試 Type IIの方が募集人員とほぼ同数の合格者が出ている。北海道大学の総合型選抜を狙うなら「フロンティア入試 Type IIだ」と思ってしまう。しかし、フロンティア入試 Type Iは、共通テストの基準をしっかりクリアすることができれば、すごく良い入試制度だと思う。

 

特徴まとめ

 北海道大学の入試制度の特徴をまとめてみる:

  • 一般選抜(後期日程)の募集人員が多い。
    一般選抜募集人員の18.9%

  • 一般選抜(前期日程)では、1年次には学部を決めない総合入試(文系、理系)の募集が主体となる。
    理学部と工学部の募集人員ゼロ

  • フロンティア入試(総合型選抜)の募集人員が少ない。
    募集人員全体の5.8%

 

 後編では、上に挙げた特徴の背景を探っていきたい。