公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

MARCH附属高校を目指す背景(女子編)

なぜ、MARCH附属高校の人気が高いのか

 子供(娘)が通う横浜市の公立中学校では、私立高校に進学する生徒の方が公立高校に進学する生徒よりも多い(年によって変動するが、55対45ぐらい)。そして女子に人気なのがMARCH附属高校である。女子中学生(とその母親)は、なぜMARCH附属高校を目指すのだろうか。主に三つの理由があると考えている。

 

 一つ目の理由は、横浜市の公立中学校の内申が厳しく、本来の学力に見合った公立高校の内申(合格者平均)に届かないことである。内申インフレの問題が取り上げられたりするけれど、横浜市の場合は内申デフレの間違いではないかと思うくらいである。感覚的には、素内申で1点は低く抑えられるように思う。この1点が高校受験では大きい。

 

 二つ目の理由は、母親のブランド志向である。公立高校よりもMARCHブランドに憧れるのである。2016年度入試から始まった大学入試の定員厳格化*1の影響も当然あるだろう。それ以前よりも、大学の一般入試でMARCHに合格する難易度が上昇したからだ。

 

 しかし、最後の理由が一番大きいのではないかと思う。それは、できるだけ勉強しないで高校生活をエンジョイしたい派の女子の存在である。

 

女子中学生(遊びの上位層)の今

 横浜市の女子中学生は友達同士がLineとインスタグラムで繋がっている。例えば、友達と二人で東京ディズニーランドに行くとする。先ず誰と行くかでいろいろな駆け引きがある。次に、1週間ぐらい前にお揃いの服を買う。そして、TDLに行ったら、ただアトラクションを楽しむわけではない。写真や動画を撮りながら、特定の友達(といっても数十人単位)にインスタグラムのストーリーをあげて、誰が見ているかをチェックするのである。この数十人が即座に反応する。ライブコンサートの主役みたいな感覚だろうか。軽いイジメもこの中に含まれていて、仲間外れにしたい友達にはストーリーを送らない。これが年に一回とかではない。多い子だと、2−3ヶ月に一回はTDLに行くと思う。関西圏の女子中学生だと、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に行って、同じようなことをするのだろうか。

 

 頭の中は遊び中心なのだが、遊びの上位層になれるということは元々の頭脳は悪くない。嫌々ながら塾で鍛えられているので、MARCH附属校にちゃっかりと進学する。

 

 我が子はインスタはやらない。でも、友達に誘われて、来年3月に2回はTDLに行くらしい。諭吉が3, 4枚飛び立つ未来が見える。

 

高校時代

 遊びの上位層の女子中学生が、高校生になって大学受験の心配をしなくてよくなったら、勉強や部活動を程々にやりつつも、遊び中心の生活を送るのではないかと思う。

 

 もしかしたら、MARCH附属高校の女子高生は、人生の中でも「至福の時」を過ごすのかもしれない。今書いていて、ふとそう思い始めた。

 

大学時代に二つのグループに分かれる

 しかし、至福の時は永遠には続かない。文系の大学生の就職戦線は厳しくなっている。大学3年生の夏頃から企業のインターンシップに参加し、人事担当者との面接で自分をアピールできる何かを持たないと(気づかない間に)ふるい落とされる。高校時代は遊び中心であっても、大学1年生の頃から、自分のストーリー作りを始める女子がいるはずである(総合職になるのはこのタイプである)。

 

 他方で、高校時代の延長で、大学時代も遊び中心になってしまう女子もいると思う。このタイプは、就職戦線で非常に苦労することになる。

 

ところで30年前はどうだったか

 タイムマシーンで1990年代前半に戻ってみよう。1985年に男女雇用機会均等法が成立し、総合職の女子が増え始めたが、多くの女子の理想は大手企業に就職して、できるだけ好条件の男子を夫としてゲットすることだったと思う。ある日、夕方17時過ぎに大手町の駅に着いて改札を出たとき、丸の内O Lの帰宅ラッシュ(銀座に行く途中だったかもしれない)に遭遇して改札の周りが華やいでいたのを今でもよく覚えている。今、45歳以下の人だと、ちょっと想像がつかないかもしれない。そういう時代があったのである。大学時代に二つのグループに分かれることもなかったのである。

 

就職先はよく考えないと

 ブログのタイトルに反するようだが、女子がMARCH附属高校を目指すのは正解の一つなのかもしれない。高校時代は本当に楽しそう。でも、文系で将来営業職(特に大手金融機関で)に就くのは大変だから。向いている人は3割ぐらいだと思う。就職先はよく考えないといけない。

 

*1:大学の入学定員に対する入学率が一定の基準を超えた場合、補助金を減額する文部科学省の措置。2016年度入試から3カ年かけて段階的に基準が引き下げられた。学生が三大都市圏の大学に集中ことを是正する目的で導入されたが、2023年度入試から一部緩和された。