世の中は既存の価値システムで動いている。そして強い現状維持バイアスが働いている。システムの安定には欠かせないが、変化への適応を遅らせる。
大学受験の価値システムを端的に言えば「偏差値至上主義」。少しでも高い偏差値の大学に行こうとする力は、かなり強い。受験産業が発信する情報の多くは「高校時代の全エネルギーを受験勉強に全振り」するのが前提。現状維持バイアスが働いていなければ、この前提は本来成り立たないだろう。
旧帝理系に受験勉強全振りで合格し、大手企業の研究開発職に就くルートは、所得や社会的評価の軸では今も「勝ち組」とされる。文系なら司法・コンサル・外資系金融、医療系なら医師。こうした勝ち筋は、しばらくは揺らがないだろう。しかし、この道に残れるのはごく少数。
受験勉強に過度に全振りせず、勉強、部活動、趣味、恋愛など、全部楽しむ道もある。この道を選ぶなら、学歴ピラミッドのスイートスポットを狙いたい。先に言ってしまうと、これが新しい勝ち筋になる。
学歴ピラミッドとは、東大を頂点とした大学序列の構造を指す。その中でスイートスポットとは、「無理なく届き、質の高い学びと多様な出口を提供する」戦略的な地点のこと。大手予備校が指定する難関国立10大学の代替ではなく、リスクとリターンのバランスが絶妙な位置にある大学群を意味する。
世の中(既存の価値システム)は、現状維持バイアスが強烈に働くので、変わりそうでそれほど変わらない。しかし、今回は違う。二つの外的要因がある。AIと少子化だ。この二つは、我々の予想を超える速度で世の中を変えるだろう。大学受験においては、偏差値至上主義という既存の価値システムから、新しい価値システムへの移行が起きるはずだ。
既存の価値システムを、何の疑問も持たずに追いかけるのは危うい。変化の波は想像以上に速い。自分の形をどう作るか。強みは何か。これが問われる時代が来ている。先ずは、他人軸から自分軸への転換だ。