公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

山手学院・桐蔭学園・朋優学院の最上位コースを比較する

 山手学院高校、桐蔭学園高校、朋優学院高校の3校は、神奈川県の学力向上進学重点校(以下、進学重点校)を第一希望にしている受験生のメジャーな私立併願校(併願優遇あり)として、間違いなく候補に入ってくる。今回はこの3校の最上位コースを比較してみた。

 

最上位コース

 3校の最上位コースは以下のとおり:

山手学院 特別進学コース
(以下、特進)

桐蔭学園 プログレスコース
(以下、プログレス)

朋優学院 国公立TGコース
(以下、TG)

 

設置年:
山手学院特進 2021年
桐蔭学園プログレス 2018年
朋優学院TG 2022年

 

 私立高校の場合、入試年度によって入学者数が変動し、各コースの生徒数も正確にはわからない。コースの募集定員やクラス数などの情報をもとに、最上位コースの生徒数を推定してみた(正確ではない)。

 

山手学院特進 80名
桐蔭学園プログレス 200名
朋優学院TG 50名

 

コース決定の仕組み

 山手学院特進は、入試(3科目)で上位に入らないと合格できない。高校入学後のコース変更はない。※内申基準で合格できるのはそれ以外のコース。 

 

 桐蔭学園プログレスは、内申基準を満たせば書類選考(課題作文あり)で合格できる。高校入学後のコース変更はない。

 

 朋優学院TGは、入試(5科目)で上位に入らないと合格できない。但し、入試時のコース決定は仮のもので、高校1年時に校内模試2回、全国模試3回を受け、その成績に基づいて高校2年時に最終的なコース選択をする。※内申基準+入試130点以上(3科目)で合格できるのはそれ以外のコース。

 

教育プログラム(学校全般)

 学校に入ってみないとわからないものだが、興味を引かれたプログラムを記載する。

 

山手学院

 高2の北米研修プログラム(4月に15泊16日)は全員参加だし、この学校の看板プログラムではないかと思う。研修に行くまでの事前準備、研修後のアフターフォローまで考えると、高校生にとって一生の思い出になるだろう。選抜される必要があると思うが、高1のシンガポールイマージョンプログラム(7月に10日間)、国連世界高校生会議(毎年3月に数名派遣)は、グローバル社会への関心の高い生徒にとって大きな目標になるのではないかと想像する。

 

桐蔭学園

 2015年から始まったアクティブラーニングが看板プログラムである。グループワークや協働学習を通じて得るものは、これからの時代を生きていく上で重要であると思う。また、探究授業にも力を入れている。グローバル教育では、短期留学先(選択肢)が多い印象を受けた。

 

朋優学院

 理数探究は、特進数理コース全員が高2で学習する。SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)指定校の探究授業と同様の内容だと思う。個人的には、高校時代のこの理数探究プログラムが大学で専門分野に進んでいく準備として重要ではないかと考えている。語学教育では、オンライン英会話(毎週)でネイティブの先生と1対1で対話するプログラムがあり、英語力の向上に実利的な効果があると思う。

 

大学合格実績(2023年)

 3校の大学合格実績を見てみる。

 

括弧内の左側数値:
国公立大学現役合格者数

括弧内の中央数値:
難関国公立大学現役合格者数*1

括弧内の右側数値:
生徒数

各校HP開示情報に基づく
(生徒数は推計を含む)

山手学院(105*2、24、496)
桐蔭学園プログレス(63、15、193)
朋優学院(66、20*3、430)

 

 山手学院特進のデータは開示されていないが、学校全体でも国公立大学現役合格率21.2%、難関国公立大学現役合格率4.8%と高い。特進はこの数値より当然高い実績を出すはずである。

 

 桐蔭学園プログレスについては、国公立大学現役合格率32.6%(学校説明動画による)、難関国公立大学現役合格率7.8%で、進学重点校と比べても遜色ない。

以下の記事を参照:

www.dtline2002.com

 

 朋優学院TGは、桐蔭学園プログレスを上回る進学実績を出すものと予想する。

 

他校との併願について

 併願優遇を利用する場合は、国公立高校と私立高校(オープン入試)の併願はOKである(他の私立高校の併願優遇利用はNG)。桐蔭学園と朋優学院には入学金延納制度があり、それぞれ5万円、3万円を納めれば、公立高校の合格発表後に入学金の未納分を支払う。山手学院の入学金延納制度は見当たらなかった(2月中旬に20万円を納付する必要があり、公立高校合格発表後に入学を辞退しても返金されない)。

 

 山手学院特進または朋優学院TGを目指す場合は、入試で上位に入らないと合格できないので、先ずは桐蔭学園プログレスの併願優遇(一般入試B方式)で合格を確保した上で、山手学院または朋優学院のオープン入試を受けるのが得策だと思う。朋優学院の併願優遇利用により、国公立AG(TGの一つ下のコース)の合格確率を上げた上でTGにトライする戦略もあるだろう。仮にTGに合格できなくても、高1で再チャレンジできる。

 

学費

 各校の生徒募集要項に記載されている情報を整理してみた。制服代、体育用品代、副教材代などが含まれているのかどうか、不明な点は結構ある(朋優学院が一番詳細に記載している)。その他、ブリティッシュヒルズ*4語学研修費用や夏合宿費用などで1年に10万円程度はかかると思う。

 

山手学院
 入学時 440,000円
 (任意で教育振興費10万円)
 1年目授業料等 759,800円
 2年目以降 759,800円

 

桐蔭学園
 入学時 456,000円
 (任意で教育振興寄付金二口240,000円)
 1年目授業料等 662,500円
 2年目以降 737,500円

 

朋優学院
 入学時 467,000円
 (別途、制服代等165,000円)
 1年目授業料等 585,600円
 2年目以降 765,600円

 

 ※公立高校は、入学時10万円弱、1年目授業料等20万円弱である。

 

山手学院の印象

 高入生の割合が約6割で、中入生の存在は気にならない。学校は高台にあって景色は良さそうだし、高2の北米研修プログラムは楽しそうである。グローバル教育を重視するなら、山手学院は魅力的である。

 

桐蔭学園の印象

 9月1日に学校説明動画が配信されたが、岡田直哉校長のプレゼンテーションの中で語られた教育に対する考え方には共感した。同校のアクティブラーニングは本気の取り組みだと思う。学校のロケーションがイマイチ(景観は悪い)であったり、マンモス校(一体生徒数は何人なんだ)であったりと、ややネガティブな印象を持っていたが、今回調べる中でネガティブなイメージは払拭された。

 

朋優学院の印象

 面白い学校だと思う。併願優遇制度は他校と少し違うし、予備校・塾を必要としないことを強調していたりと、共学進学校としての競争優位を確立しようとしている。修学旅行が価格別に3コースあり、「修学旅行も松竹梅か」と内心笑ってしまったが、入試制度の説明など分かりやすく(動画で先生3人が寸劇風に説明してくれる)、フェアな学校だと思う。

 

 結論としては、3校とも魅力のある共学進学校である。ここから国公立大学に進学するルートが開かれていることがわかった。ただ、お金はかかる。

 

*1:東大、東工大、一橋、旧帝、筑波、国公立大学医学部とする。

*2:合計数の記載がないため、目視で足し算した。

*3:現浪合計数しか開示されていないので、0.9倍した。

*4:福島県にある語学研修施設。