2月14日の神奈川県公立高校入試まで、あと1ヶ月を切った。1月24日午前0時からWeb出願が始まる。2月1日(またはその翌日)には出願倍率が発表される。2月5日午前0時から2月7日正午までが志願変更期間に設定されている。
出願する高校はほぼ決まっているとはいえ、我が子は安全圏にいるのか、チャレンジする場合はチャンスはどの程度か、とても気になる。
我が子は個人塾に通っていることもあり、この問題についてずっと考えてきた。そして、今回説明する「安全ライン」(実際の計算では「安全幅」を使う)という考え方に行き着いた。我が子以外には責任は取れないことをご理解いただきたい。
安全ラインと安全幅
ボーダーラインよりもほぼ確実に上にあると考えられるラインを「安全ライン」、合格者平均点と安全ラインの幅を「安全幅」と定義する。特色検査の合格者平均が公表されていないので、安全ラインをS値で示すことはしない。以下の議論では、安全幅を使う。
合格者平均とボーダーラインの差
学力向上進学重点校8校を対象にして、神奈川全県模試(伸学工房)の2023年度入試データに基づいて計算した結果は、以下の通りである。
柏陽 1.5%
多摩 1.6%
湘南 1.9%
横浜翠嵐 2.1%
厚木 2.7%
横浜緑ケ丘 2.7%
川和 3.2%
小田原 4.0%
合格者平均とボーダーラインの差には特色検査が含まれていないが、特色検査は学力検査より変動が大きい試験なので、実際の差はもう少し大きいはずである。
各校の安全幅
合格者平均とボーダーラインの差よりも小さい値を「安全幅」と考える必要がある。以下のように設定する。
柏陽 1.0%
多摩 1.0%
湘南 1.0%
横浜翠嵐 1.5%
厚木 2.0%
横浜緑ケ丘 2.0%
川和 2.0%
小田原 2.0%
横浜翠嵐高校は、変動の大きい特色検査のウエイトが高いことを考慮し、安全幅を1.5%とする。小田原高校は、学力向上進学重点校に指定されることを考慮し、安全幅を2.0%とする。
進学重点校8校の状況
<柏陽>
安全幅1.0%はS値で12点に相当する。学力検査と特色検査が合格者平均であれば、内申が合格者平均(2023年度127.2)より5.4低いところ(121.8)が安全ラインになる。内申と特色検査が合格者平均であれば、学力検査が合格者平均(同444.7)より8.6低いところ(436.1)が安全ラインになる。内申と学力検査が合格者平均であれば、特色検査が合格者平均(非公表)より6.0低いところが安全ラインになる。
入試選考基準372型
安全幅12点(1.0%)
内申5.4、学力検査8.6、特色検査6.0
安全幅が薄いため、特色検査の安全幅6.0が特に厳しい。内申もしくは学力検査でアドバンテージが欲しい。
<多摩、湘南>
入試選考基準462型
安全幅12点(1.0%)
内申4.1、学力検査10.0、特色検査6.0
柏陽高校よりも内申のウエイトが高いので、内申の安全幅は4.1と小さくなり、学力検査の安全幅は10.0と大きくなる。特色検査の安全幅は6.0とやはり厳しい。
<横浜翠嵐>
入試選考基準373型
安全幅19.5点(1.5%)
内申8.8、学力検査13.9、特色検査6.5
特色検査の安全幅6.5が厳しい。学力検査でのアドバンテージは無理だろう。換算内申130の場合、S値で6.2のアドバンテージを得られるので、特色検査の安全幅の薄さを補える。
<厚木、横浜緑ケ丘>
入試選考基準462型
安全幅24点(2.0%)
内申8.1、学力検査20.0、特色検査12.0
安全幅が倍(2.0%)になることで、厳しさはかなり和らぐ(柏陽・多摩・湘南・横浜翠嵐と比べての話だが)。
<川和、小田原>
入試選考基準461型
安全幅22点(2.0%)
内申7.4、学力検査18.3、特色検査22.0
特色検査の安全幅が22.0と大きくなるので、内申が2023年度合格者平均程度であれば、かなり安全な状態にある。
学力検査の予想得点
全県模試(12月、1月)の偏差値をベース(予想の出発点)にするしかない。
偏差値72→450
偏差値70→440
偏差値68→430
偏差値66→420
偏差値64→410
偏差値62→400
偏差値60→390
但し、全県模試と学力検査の難易度は科目によって違うし、全県模試の回によってこの関係が変動する。従って、偏差値を鵜呑みにはできない。例えば、「社会」で伸び代が残っている場合、最後の1ヶ月間の追い込みによって、入試本番の得点はアップするのではないかと思う。
特色検査の予想得点
これまでの全県模試や過去問での得点を参考にして、①合格者平均より上、②合格者平均、③合格者平均より下、のどれに該当するかを定性的に判断するのが良いと思う。
①であれば合格者平均、②であればマイナス10点と考えたい。③であれば(内申でS値10点程度のアドバンテージがない限り)特色検査のウエイト1の高校(川和、小田原)を選ぶのが得策である。