公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

新城高校に合格できるなら国公立大学を目指したい

 新城高校は、川崎市ナンバー2の公立上位校である。同校の入試難易度は、学力向上進学重点校エントリー校(以下、エントリー校)とほぼ同じレベルである。入試倍率は1.50倍と高い。しかし、大学合格実績を見ると、同校の国公立大学現役合格率はエントリー校のそれよりもかなり下がってしまう。なぜ、入り口(入試難易度)と出口(大学合格実績)のアンバランスが生まれるのか、その要因(構造)を探っていきたい。

 

川崎市内にはエントリー校1校しか存在しない

 神奈川県の公表によれば、2023年3月に卒業した公立中学校の生徒は67,684人(令和4年5月公表時の中学3年生の生徒数)である。横浜市26,015人、川崎市10,207人、相模原市5,702人、その他の市町村25,760人の構成となっている。横浜市には学力向上進学重点校(以下、進学重点校)とエントリー校が8校ある。その他の市町村には9校ある。川崎市の生徒数を考えると、市内に進学重点校とエントリー校が3校あってもおかしくないのに、多摩高校(エントリー校)の1校だけである。多摩高校を諦めた受験生が次に目指すのが新城高校になるので、同校の入試倍率はかなり高くなる。

 

旧学区トップ校の現在

 旧学区(2005年廃止)のトップ校は18校あったが、そのうちの15校は進学重点校とエントリー校に指定されている。相模大野高校は、2009年に相模原中等教育学校に生まれ変わった。残りの2校、旧学区トップ校で進学重点校またはエントリー校に指定されなかったのが新城高校と秦野高校である。

 

 多摩高校が進学重点校、新城高校がエントリー校に指定されるのが自然ではないだろうか。新城高校は実質エントリー校なのである。

 川崎市は黒岩知事に文句を言うべきである。

 

ライバル校との比較

 横浜市の青葉区・都筑区・緑区、川崎市の宮前区・高津区のエリアだと、新城高校と市ケ尾高校がライバル関係にある。また、新城高校の入試難易度に近い近隣のエントリー校として横浜平沼高校があり、新城高校と横浜平沼高校もライバル関係にあるように思われる。

 

入試難易度 

2024年度用「神奈川県高校受験案内」(声の教育社)より

内申/入試得点/全県模試偏差値
        (合格者平均)

 横浜平沼  120.8 / 400.6 / 62.4
 新城            119.6 / 396.6 / 60.8
 市ケ尾        114.9 / 388.8 / 59.7

 

 横浜平沼高校と新城高校の入試難易度は僅差である。2024年入試選考基準は、横浜平沼高校が551型(内申5、学力検査5、特色検査1)、新城高校と市ケ尾高校がが55型(内申5、学力検査5)。市ケ尾高校の内申計算では、実技教科の高得点1科が2倍カウントされる。

 

        入試倍率

 横浜平沼               1.20
 新城                 1.50
 市ケ尾                1.23

 

新城高校の特徴

 1962年開校
 JR南武線武蔵新城駅から徒歩12分
 2015年新校舎(新しい!)
 女子58%、男子42%
 数IIB必修
 部活動はピンとこない
 (ただ、侍ブルーの出身校)

 

横浜平沼高校の特徴

 1901年開校(女子校)
 1950年共学に移行
 JR横浜駅西口から徒歩13分
 女子65%、男子35%
 グローバル教育
 (言語、民族文化の探求など)
 ダンス部が強い
 女子ハンドボール部も強い

 

市ケ尾高校の特徴

 1974年開校
 東急田園都市線市が尾駅から徒歩15分
 のどかな田園風景の中に校舎がある
 男女比はほぼ同じ
 自転車通学者が約3分の1
 (部活朝練から1日が始まるのかな)
 部活動は活発
  高校野球は今年の神奈川県ベスト16
  女子バドミントン部も強い
  ダンス部はもっと強い

 

 新城高校は女子の割合が高い(58%)。女子は特色検査を避ける傾向があるとされるので、実はエントリー校を狙えるレベルの内申と全県模試偏差値を持つ女子のうち、特色検査を避けたい女子が選ぶメジャーな受験校として新城高校があるのかもしれない。そうなると、同校が現在の位置(エントリー校の一つ下のカテゴリの上位校)にいることにより、受験生のニーズに応えているようにも思われる。

 

大学合格実績

 国公立大学現役合格率は、横浜平沼13.4%、新城7.8%、市ケ尾5.7%である。横浜平沼高校と新城高校の差は、入試難易度の差よりもかなり大きい。エントリー校に入るか、その一つ下のカテゴリの上位校に入るかで、高校入学後の学習姿勢に違いが生じるのではないかと思う。

※市ケ尾高校の数値は「令和5年度学校案内」に記載の情報に基づき算定。

 

MARCH文系から横浜市大・東京都立大の理系学部への意識変革

 このブログ全体を通じて発信していきたいことの一つは、「MARCH に合格する学力があるなら、横浜市大・東京都立大の理系学部を目指す時代が来た」である。AI時代が本格到来した今、実質エントリー校である新城高校に合格する学力があるなら、国公立大学を目指した方が良いと思う。同校なら、上位10%以上は国公立大学に現役で行けるはずである。