公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

高1で知る!千葉大学情報・データサイエンス学部は理系度100%で登場する

 千葉大学は、情報・データサイエンス学部を2024年4月に開設する。

 

理系度100%のデータサイエンス学部の登場

 これまでに、滋賀大学、横浜市立大学、一橋大学のデータサイエンス学部を見てきたが、これらの3つの学部は入試の面では文系学部に属する。それに対して、千葉大学の情報・データサイエンス学部は理系度100%の理系学部である。それと言うのも、千葉大学以外の3大学はデータサイエンティストの育成を目指しているのに対して、千葉大学はそれに加えて、データサイエンスの高度化を担う人材の育成も目指しているからである。

 データサイエンス学部としては後発になるが、総合大学である千葉大学のプライドを感じる。

 

コース設定 

データサイエンスコース
 データサイエンスの本質を理解し社会的課題の解決に応用できる人材(実践的データサイエンスティスト)を育成するコース。

 

情報工学コース
 情報工学の専門性を備え、データサイエンスの実現と高度化に応用できる人材(データサイエンス及び周辺技術の高度化を担う人材)を育成するコース。

 

 「医療・看護」、「環境・園芸」、「人間・感性」の3分野の専門科目群と、情報・データサイエンスの基幹的技術をカバーする専門科目群から構成される実践的なカリキュラムを横断的に履修する。コースの振り分けは3年次に行われる。

 

 医学部を有する大学は、医学部とデータサイエンス学部との連携ができるので大きな強みになる。横浜市立大学のデータサイエンス学部も同じである。

 

入試制度

募集人員(2024年度):

一般選抜(前期)90
総合型選抜 10

 

 2025年度入試では、一般選抜(前期)70人、学校推薦型選抜30人に変更となる。総合型選抜から学校推薦型選抜に変更し、30人枠のうちの半分は女子枠になる。新設学部なので、入試制度は過渡期にある。

 

一般選抜(前期)

大学入学共通テスト:

国語 100点
地理歴史・公民(1科目)50点
数学(2科目)100点
理科(物理・化学)100点
外国語 100点
 計450点

 5教科7科目。物理必須。

 

個別学力検査:

数学(120分)300点
物理(80分)200点
化学(50分)100点
英語(80分)300点
 計900点

 英検1級又は準1級でCSE 2300点以上の場合、英語試験に10点加算。

 

「データサイエンス学部は文理融合型」と思っている生徒は、この試験だと受けないかもしれない。つまり、データサイエンティストになりたい生徒にとっては、工学部の色彩が強過ぎる。しかし、データサイエンスを深く理解するには、これが本来の姿のようにも思う。

 

総合型選抜

 出願要件が具体的に定められている。日本情報オリンピックの2次予選に進出した者、又はそれに準ずる情報科学・プログラミングの能力を有する者(以上、簡略記載)になる。

 第1次選抜は書類選考であるが、出願要件に該当する実績が評価される。第2次選抜は面接である。第2次選抜合格者のうち、共通テストで概ね70%の得点率を得たものを最終合格者とする。

 

<共通テスト利用科目・配点>

数学(2科目)200点
理科(物理・化学)200点
外国語 200点
 計600点

 

 第23回日本情報オリンピックの情報を見ると、参加者2,508人(内、女性666)、本戦進出者177人(内、女性11)となっている。2次予選進出者の数はわからないが、過去の大会から見て900人程度ではないかと思う。そして、本戦進出者のリストを見ると、難関中高一貫校の生徒がズラリと並ぶ。

 推測になるが、難関中高一貫校に入ると高校受験がないので、生徒によっては中学生の頃から科学オリンピックにチャレンジ(あるいはその準備をする)するのではないかと思う。公立中学校から公立高校に進学する場合、科学オリンピックで活躍(本戦進出)する生徒は少ない。一部の生徒を除けば、この世界では勝負できない。

 

 2次予選進出レベルなら、なんとか狙えるのかもしれないが、大学の総合型選抜の出願要件を満たすために日本情報オリンピックにチャレンジするようでは、本末転倒になる。公立高校の生徒の場合、一般選抜での受験を考えることになるだろう。

 

千葉大学 情報・データサイエンス学部を受験するか

 公立高校の国公立大学理系コースに入っていて、データサイエンス学部を目指す生徒にとって、千葉大学の情報・データサイエンス学部は初登場でいきなり最有力候補に躍り出たかもしれない。