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2023年教育分野の5大ニュース

 今年最後は、2023年教育分野の5大ニュースを取り上げたい。私の勝手なセレクションであることについては、ご容赦願いたい。

 

1. 高校・大学の授業料無償化

 今年、高等教育費の負担軽減策(子育て支援策)が相次いで発表された。

 8月25日、大阪府は大阪府民に対して、高校授業料の完全無償化を発表した。授業料63万円までは大阪府が負担し、それを超える分は高校が負担する案である。2024年度から段階的に行われ、2026年度には全所得世帯で無償化となる。

 授業料63万円を超える部分は高校の負担にするって、私立高校の教育品質にキャップをはめるような話になっていないだろうか。ちょっと、無理があると思う。

 

 10月13日、東京都は都内在住の世帯に対して、2024年度から東京都立大学の授業料を減免する。年収910万円未満の世帯に対しては全額免除、3人以上の多子世帯は年収910万円以上でも半額免除となる。

 東京一極集中が進まないか心配である。都民にとって力的な案であることは間違いない。しかし、神奈川県から東京都立大学に行くのは損な気がしてしまう。

 

 12月5日、東京都は都内在住の全ての世帯に対して、私立高校の授業料を2024年度から実質無償化する方針であることを発表した。これまでの年収910万円未満の世帯としてきた所得制限を撤廃する。

 これまでは所得制限があったので、私立中高一貫校に通う世帯の多くは対象外になっていたと思うが、今後は高校生から授業料が無償化されることになる。公立中学校から私立高校に進学する世帯に限定した方が良いのではないだろうか。また、都立の上位校への影響は少ないと思うが、中位の都立高校は影響を受けるかもしれない。

 

 12月22日、政府が「こども未来戦略」を閣議決定し、2025年度から多子世帯(扶養する子供が3人以上の世帯)の大学・短大・高専・専門学校の授業料と入学金を所得制限なしに無償化することが盛り込まれた。

「子供を3人以上産んでください」ということか。多子世帯の教育費軽減策は必要だと思うが、この案では少子化対策にならないだろう。

 

2. 部活動の地域移行

 部活動の地域移行とは、中学校や高校の部活動の指導を地域のスポーツクラブや民間事業者等に移行する取り組みを指す。文部科学省が2020年9月に発表し、2023年からスタートした。2023年〜2025年は改革推進期間とされている。

 中学校教員の職場環境を改善するという点では必要なのかもしれない。しかし、部活動の地域移行が本格的に進むと、部活動をしない生徒が増えると思う。運動が得意でなくても、運動部で頑張る生徒は多い。学校教育の一環として行う部活動では、競技技術の向上だけでなく、準備であったり後片付けであったり、そういう部分が大事だと思う。子供が入っていた部活では、外部のコーチがこの部分を全く見なかった(途中に来て途中で帰った)。

 

3. 小学校・中学校の不登校児童生徒数は29.9万人

 10月4日、文部科学省が小学校・中学校の不登校児童生徒数が29.9万人に達したとの調査結果を発表した。前年度比22.1%の増加で、不登校児童生徒の割合は3.2%である。

 不登校児童生徒は、2016年に教育機会確保法が制定されてから急激に増えている。教育機会確保法は、不登校児童に対して教育の機会を確保することを目的とした法律で、「不登校」が正式に認知された側面を持つ。ところで、不登校児童生徒の割合3.2%は実態より低いと思う。子供の通う公立中学校では、クラス40人弱のうち5−6人の生徒は教室に来れない。多いクラスだと8人位いる。不登校児童生徒の定義を広く取ると、10%を超えているのではないかと思う。大変な社会問題である。

 

4. 生成AIの登場

 大学入試の募集要項を読むと、生成AIの利用に関する注意喚起がなされている。生成AIの利用は禁止されてはいないが、「アドミッションポリシーに従って書類を作成するように」と記載されている。

 これからの高校生・大学生は生成AIを積極的に活用すべきであるが、その使い方が問われる。2045年のシンギュラリティ(AIが人間を超えるとする仮説)に向かって、AIはさらに進化していく。教育への影響は計り知れない。

 

5. 女子枠設置とコンプライアンス問題

 東工大は2024年度入試で女子枠を設置する。

 2023年6月、政府は「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」を決定し、東証プライム市場上場企業の女性役員比率を2030年までに30%以上とする目標が盛り込まれた。これは、東工大の女子枠と本質的に同じ話だと思う。

 2023年は、ビッグモーター事件、ダイハツの不正検査問題、自民党の裏金疑惑が発覚した1年であった。もし組織の意思決定メンバーの3割以上を女性が占めていたら、こうした問題は起こり難くなると思う。男性中心の組織は限界に来ているのである。