公立ルートを行く

公立中学校で3年間を過ごし、高校受験を経験して、自分のベスト大学に進学する教育ルートの魅力を発信します

「高校数学でわかる相対性理論」を読む

 竹内淳先生の「高校数学でわかる」シリーズは、高校物理から大学物理への橋渡しとなる良書である。自分がこのシリーズから一冊だけ選ぶとすれば、やはり「高校数学でわかる相対性理論」になる。

 

 久しぶりに読んでみたが、いやぁ〜難しい。しかし、子供(娘)には高1の終わり頃か、高2のできるだけ早い時期に読んで欲しい。「物理基礎」の後半か「物理」に入る頃がベストタイミングだと思う。

  娘が物理を選択するかはわからない(生物かな〜)。物理基礎を履修している間に読んでほしい(これが本音)。

 

 光速度不変の原理に従うと、二つの慣性系の間にはガリレイ変換ではなくローレンツ変換が成立している。このローレンツ変換の導出方法やその意味するところは本を読んでいただくとして、

 「ローレンツ変換は虚数角の座標変換である

 というのに痺れる。

 

 この一文は、虚数、オイラーの公式、ハイパーボリックコサイン(サイン)、行列などの数学から成り立っている。数学Cで複素平面や行列を習うが、その刺激的な応用例がローレンツ変換ではないかと思う。

 

 3次元の空間と1次元の時間を一体化した4次元の時空間を表す概念として「ミンコフスキー空間(時空)」が登場する。10代の柔らかい思考を持つ時期にこの概念に触れたら、興奮して眠れなくなる人がいるのではないかと思う。

 

 ミンコフスキー空間内を移動する物体の軌跡を世界線という。この世界線の長さが固有時(ローレンツ変換によっても値の変わらないスカラー量)で、最短の世界線を辿ると固有時は最長になる(えっ、逆ではないかと思ってしまう)。これが、有名な「双子のパラドックス」によって生じる問題(地球に残っている双子の弟とロケットで地球を離れた後に反転して地球に戻ってくる双子の兄のどちらが歳をとっているか)の答えになっている。

 

 第3部(電磁気学編)は、「高校数学でわかるマクスウェル方程式」を読んだ後でないと太刀打ちできないので、楽しみに取っておけば良い。第2部(相対論的力学編)は微積分をある程度理解してから読むことになるが、高校物理を微積分を使って理解したいという強烈な欲求が生まれるのではないかと思う。

 

 本当に楽しい学習は難しい。難しい概念を学ぶ準備が整ってからだと、その準備期間がつまらない(準備の意味がわからないのでやる気が出ない)。準備不十分で難しい概念にチャレンジするしかないのだと思う。