自分は読書家ではない。1年間殆ど新しい本を読まなかった年もある。しかし、娘が4月に高校生になるタイミングで読書欲が湧いてきた。理由は簡単で、自分がこれまでに読んで感銘を受けた本を娘に勧めたいからである。
中公新書の「国際政治 恐怖と希望」は、国際政治学者で京都大学法学部教授であった高坂正堯氏(1934-1996)が1966年に書いた本である。
1939年の独ソ不可侵条約に動揺する日本政府のエピソードから始まる。第一次世界大戦の前後で国際政治が大きく変質し、当時の日本政府(日本人)が国際政治を見る想定(フレームワーク)を持っていなかったためである。
この本は、国際平和を希求すること、軍縮の実現性(核なき世界は実現するか)、あるいは国際機構(国連)の存在意義などについて、自分の頭で考えるヒントを与えてくれるように思う。社会人になってから読むのはちょっと遅い。中学生にはさすがに難しすぎる。高校生や大学生が読めば、何かが大きく変わるかもしれない。
高坂教授がもし生きていたら、今の国際政治情勢をどのように捉えるのだろうか。残念ながら、自分には想像する力がない。娘にこの本を読んでもらい、意見を聞いてみたい。