国立大学の総合型選抜とは一体何なのか。確かなのは、一般選抜での個別学力検査(2次試験)を受けないことである。これに代わるものとして、提出書類、小論文、プレゼンテーション、面接などで受験者の基礎学力及び資質を評価する。しかし、難関国立大学になると、大学入学共通テストを受けるパターンが多くなり、個別学力検査とは違うヴァージョンの筆記試験を受けるパターンもある。
総合型選抜では、高校の推薦は不要なのか
Aさん(SSHに通う女子):
総合型選抜は、高校の推薦は必要ないということですよね。
DT:
そうなんですけど、国立大学の総合型選抜を見ると微妙です。例えば、北海道大学の総合型選抜では、高校教員が「コンピテンシー評価書」にWeb入力します。東北大学の総合型選抜では、学校長が記載する「志願者評定書」を提出します。大阪大学理学部の総合型選抜では、課外活動に関して「教員の意見書」を提出します。
Aさん:
それだと学校推薦型選抜と変わらないじゃないですか。
DT:
そうなんです。ただ、学校推薦型選抜の場合、高校が推薦できる生徒数は一つの学部あるいは学科につき数名に限定されています。総合型選抜の場合、そのような縛りはないです。
Aさん:
この違いは大きいのでしょうか。
DT:
う〜ん、難しいですね。
大学入学共通テスト(共通テスト)の利用
Aさん:
総合型選抜でも共通テストを受けるんですか。
DT:
受けるパターンと受けないパターンがあります。東北大学のAO入試II型は共通テストを受けないパターン、AO入試III型は受けるパターンです。
Aさん:
総合型選抜なのになぜ共通テストを受ける必要があるんですか。
DT:
基礎学力を確認する目的で利用するパターンと、共通テストで高得点を取る受験者を優遇するパターンがあります。共通テストの利用目的が限定されていないパターンだと、合否が読めなくなります。
Aさん:
共通テストで高得点を求めているのか、一定レベルの得点率でOKなのか、はっきりして欲しいですね。
総合型選抜は有利な入試なのか
Aさん:
総合型選抜を受けるかどうかですが、学校推薦型選抜と同じように、高校での活動実績に自信があり、プレゼンや面接に自信がある場合に合格のチャンスがあるという理解で良いですか。
DT:
そうなります。
Aさん:
しかし、一般選抜より合否が読み難い感じがします。
DT:
国立大学の総合型選抜を目指す場合、これに全てを賭けるわけにはいきません。共通テストを受ける前提で準備を進める必要があります。また、プレゼンテーションや面接の対策に時間を使い過ぎるのも良くないと思います。
Aさん:
一般選抜に絞った方が良いように思ってしまいます。
DT:
総合型選抜と一般選抜の併願は可能です。つまり、志望大学について2回チャンスがあるということです。高校での活動実績に自信があり、元々プレゼンや面接が得意な生徒が最小限の時間を使って準備をして臨むのが良いと思います。
総合型選抜の本当の魅力
Aさん:
DTさんは総合型選抜のどこに魅力を感じているのですか。
DT:
これからの時代に合った入試制度である点に魅力を感じます。北海道大学と東北大学の募集要項から印象的な言葉を引用します:
北海道大学
「急速に変化する社会の中で、今世の中に存在していない新しい方法論や考え方を生み出す力や、さらに新たに生まれる課題を見出し解決する力を持つ人材が強く求められています。」
東北大学
「幅広い知識、技能を含む基礎知識や論理的な思考力・判断力・表現力、コミュニケーション能力等の学力とともに、豊かな人間性や想像力、発想力、倫理性、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、学問に対する好奇心などを評価します。学力については、一般選抜と同等以上の水準を求めます。」
Aさん:
共感します。先に紹介してくれればいいのに。
DT:
これは失礼しました。いずれにしても、旧帝のような難関大学だと、総合型選抜が一般選抜よりも明らかに有利になることはあまりないと思います。
Aさん:
旧帝の帝って、帝国大学のことですよね。
DT:
そうですけど。
Aさん:
帝国大学令によって設立された大学のことだと思いますけど、戦前の話で古くないですか。
DT:
まぁそうなんですけど、現在も日本の最高峰の国立大学ですし、旧帝と言えば、7つの大学を総称できるので、楽なんですよ。
Aさん:
私は旧帝の響きが好きになれません。
DT:
大変失礼しました。
Aさん:
旧帝とか言われる大学以外にも、きっと魅力的な大学はありますよね。総合型選抜の内容を見れば、その大学の魅力が垣間見えるような気がするのですけど。
DT:
確かにそうですね。見にいきましょう。