北海道大学の令和7年度(2025年度)フロンティア入試学生募集要項が5月31日に公表された。出願期間は9/12〜9/18。
北海道大学のフロンティア入試は、募集人員が少ない点を除けば、悪くない総合型選抜だと思う。フロンティア入試Type Iは共通テストありだが、その利用目的が限定されている(設定された得点以上であれば合格)。フロンティア入試Type IIは共通テストなしで、年内に合否が判明する短期決戦型の入試である。
実は募集人員は少ないが志願者数も少ない。これがなぜかわからない。
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フロンティア入試Type I
(共通テストあり)
出願期間:9/12〜9/18、第1次選考結果発表:11/6、第2次選考:11/17、第2次選考結果発表:12/10、共通テスト:1/18〜1/19、最終合格発表:2/12。
工学部応用理工系学科(応用マテリアル工学コース)を例にとる。
第1次選考は書類審査、第2次選考は課題論文と面接が課される。第2次選考合格者は共通テスト(数学200点、理科2科目400点、外国語200点の800点満点)で520点以上を取れば最終合格となる。
書類審査の対象は、調査書、コンピテンシー評価書(高校教員による多段階評価)、自己推薦書、諸活動の記録の4点である。
第1次&第2次選考の配点は、調査書60点、コンピテンシー評価書・自己推薦書・諸活動の記録40点、課題論文・面接100点の計200点満点である。
募集人員は4人と少ない。「こりゃあかん」と思ってしまうが、2024年度入試の志願者はなんと6人(内、女性2人)である。第1次は全員合格、第2次は4人合格(内、女性2人)、最終合格は2人(内、女性1人)である。
なぜこんなに志願者数が少ないのだろうか。北海道大学なんだから、全国から志願してくるはずである。人気がないのか、課題論文が難しすぎるのか。
北海道大学一般選抜の総合入試理系(化学重点選抜群)の募集人員(2024年度入試)は240人で、志願者は569人であった(入試倍率2.4倍)。多くの志願者は2年次に工学部応用理工系学科、理学部化学科、または理学部生物科学科/高分子機能学あたりに進もうと考えているのではないかと思う。
工学部応用理工系学科は、応用理工学コース、応用化学コース、応用マテリアル工学コースからなる。
繰り返しになるが、なぜ、工学部応用マテリアル工学コースは、フロンティア入試で4人募集するのだろうか。募集人員が少なすぎる。そして、6人しか志願しないのも不思議だ。
高1生はこの入試制度を理解して、自分の高校でこの入試制度にチャレンジしている先輩がいるのかどうか(またその結果はどうだったのか)、よく調べたほうが良いと思う。チャンスかもしれないのである。
フロンティア入試Type II
(共通テストなし)
出願期間:9/12〜9/18、第1次選考結果発表:11/6、第2次選考:11/17、最終合格発表:12/10。
理学部化学科を例に取る。
第1次選考は書類審査、第2次選考は適性試験と面接が課される。
書類審査の対象は、調査書、個人評価書、自己推薦書の3点である。
適性試験は、共通問題として計算を主とする数学の基本問題60分(150点)、選択問題として物理または化学の論述問題120分(150点)からなる。
北海道大学の一般選抜(総合入試理系)の個別学力検査(第2次試験)は、数学120分、外国語90分、理科(物理、化学)150分である(科目の配点比率は1/3づつ)。
第1次&第2次選考の配点は、調査書・個人評価書70点、自己推薦書30点、適性試験450点、面接100点の計650点である。
募集人員11人に対して、2024年度入試の志願者は27人(内、女子8人)。第1次は全員合格、第2次は11人合格(内、女子1人)。入試倍率2.4倍なので悪くない。
調査書と面接に自信のある生徒で、一般選抜(前期日程)を受けるつもりなら、先にフロンティア入試を受けて損はない。
国公立大学を目指す生徒には3回チャンスがある。学校推薦型・総合型選抜、一般選抜前期日程、一般選抜後期日程の3回である。一番リスクを取れるのが学校推薦型・総合型選抜だと思う。
<男女の合格率に差がある>
2024年度フロンティア入試は、志願者352人(内、女子86)で、合格者83人(内、女子16)であった。男子の合格率は25.2%、女子の合格率は18.6%で、男女で合格率にかなり差がある。神奈川県からは22人(内、女子4人)が志願して2人(女子ゼロ)しか合格しなかった。