公立ルートを行く

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アクティビストと呼ばれる投資家の功罪

2007年のNHKドラマ「ハゲタカ」

 2007年の2月から3月にかけて6回シリーズでNHKで放送された「ハゲタカ」をご存知だろうか。冷徹な企業買収を仕掛けるファンドマネジャーを主人公に据えた経済ドラマである。このドラマを見て、外資系ファンドやファンドマネージャーの存在を初めて知った人も多かったのではないかと思う。大森南朋が主人公の鷲津政彦を演じた。見応えのあるドラマだった。

※リメイク版が作られたようだが、そちらのドラマは知らない。

 

上場会社に影響を与えるアクティビストと呼ばれる投資家

 2023年6月の上場会社の株主総会で、約90社が株主提案を受けた。この「物言う株主」は、現在はアクティビストと呼ばれる。有名な村上ファンドはアクティビストの仲間に入る。アクティビストと言ってもファンドであり、狙いをつけた上場会社の株式を取得して、それを裏付けとして株主還元(配当)を要求したり、事業戦略の見直しを提案したり、現取締役解任を求めたりと、上場会社にとって厄介な存在である。但し、良い面を見れば、持続的な企業価値の向上を図っていない経営陣に改善を促す存在である。東証が定めるコーポレートガバンス・コードが守られるかどうかを監視する人達なのである。

 

以下の記事を参照:

www.dtline2002.com

 

 但し、アクティビストの悪い面が如実に出たのが次の話である。

東芝に対するTOBの背景にアクティビストの存在

 2023年9月21日、東芝のTOBが成立したことが発表された。これにより、東芝は12月20日をもって非公開企業になる。

 

 2015年に東芝の不正会計問題が発覚し、東芝は経営危機に陥った。2017年には債務超過を免れるために数十社の投資ファンドから総額6,000億円の出資を受けた。この中に、海外のアクティビストがわんさかといたのである。東芝は経営コントロールが効かなくなり、アクティビストとさよならするために、国内投資ファンドの日本産業パートナーズにお願いしてTOBをしてもらったのである。アクティビストはTOBに応募し、株を売って退場していく。

 

 日本の名門企業がこんなことになってしまって良いのだろうか。子供が小学生の時に、川崎駅近くの東芝未来博物館に家族で行って、この会社の歴史に感動したんだけど。

 

ドラマの「ハゲタカ」のエンディング

 ドラマの主人公の鷲津は本当はドライな男ではなかった。外資ファンドの代表を解任されてしまうが、自らのファンドを立ち上げて、ファンドと従業員が組んで会社を買収するEBO(エンプロイー・バイアウト)を成功させるのである。ドラマの中でないと、冷徹な投資のロジックと日本的なものが融合することはないのかも知れないが、それでもこのエンディングにはカタルシスがあった。

 

公立ルートを行く生徒はアクティビストを目指さない方が良い

 アクティビスト(ファンド)は一見カッコ良さそうに見える。こういったファンドは、職業的には外資系コンサル・外資系金融と同じ範疇に入るので、難関国立大学(東大等)出身者でないと入り難い。公立ルートを行く生徒はこの世界に近付かない方が良いと思う。