日本の場合、多くの人が大学を選ぶときに無意識に使う効用関数の中で、「社会的評価」という価値変数のウエイトが異常に大きい。韓国なんかもそうだが、中央集権的な制度を経験した国に特有の現象かもしれない。
この効用関数によって形成された学歴ピラミッドの頂点には東大が立っている。しかし、東大卒の一定層は日本の制度から脱出し始めている。2000年代に入ってから顕在化した現象だと思う。つまり、東大ブランドを活かして日本の社会制度の中でリターンを得るのではなく、日本の制度からの脱出力に活かしているのだ。
これからの日本を考えると不安も大きい。しかし、日本の良さもある。だから、子供には日本の制度を半歩脱出させたいと考え始めている。
「日本の制度を半歩脱出する」とは、日本の制度の外に出る選択肢を持つことを意味する。大学選びであれば、社会的評価とかブランドの重力から解放されて、生き方の自由度を獲得できる学びを求めることだ。
例えば、研究職を目指している高校3年生がいるとする。「社会的評価」のウエイトが高い効用関数に従えば、東大に挑戦することが最適解になるかもしれない。しかし、学びを重視する効用関数に従えば、東北大を受験することが最適解になり得る。
中学受験をするかしないか。中学受験をしないという選択が難しい地域もある。しかし、子供によっては、中学受験をしない選択が最適解になる。中学受験が加熱していない場所に住めば、外部圧力を受けなくてすむ。
東京一極集中。日本の制度の中でリターンを最大化しようとすれば、東京に住むのが合理的行動になる。しかし、リモートワークの環境もあるし、東京のメリットを得つつ、東京の外に住んで地域コミュニティでの活動に参加するような生き方もある。
もうすぐ入試シーズン到来。日本の制度を半歩脱出することを目標にすれば、受験における悩ましい二者択一の答えは、自ずと見えてくるように思う。