今回は、高2娘の進路を考える上で、大学時代に得られるキャリア形成力を比較検討するために、数式モデルで整理してみた。
数式モデルはあくまで自分の思考のための道具であり、すべての人・すべてのケースに当てはまるものではないことを、あらかじめお断りしておきたい。
文系モデル:ブランド × 独自の強み
R = V × f(x)
R:大学時代に得られるキャリア形成力
V:大学・学部のブランド価値
(所与の定数)
f(x):各要素を独自の強みに変換する関数
x:幼少期から現在に至るまでの、自らの興味・関心に基づく活動や学び、リーダーシップ経験など
文系では、大学進学の主たる目的はブランド獲得。しかし、ブランド=キャリア形成力とはならない。ここで「V+f(x)」ではなく「V×f(x)」としたのは、ブランドと独自の強みが独立したものではなく、両者を掛け合わせてはじめて力を持つと考えたからだ。片方がゼロであれば、どれほどもう一方が大きくても結果はゼロになる。つまり、ブランド V だけでは十分ではなく、独自の強み f(x) が伴って初めてキャリア形成力 R が生まれる。
理系モデル:ブランド × 専門知識・スキル
R = V × g(s)
s:大学で受ける教育内容
g(s):sを専門知識・スキルに変換する関数
同じ教育プログラムを受けても人によって学びの深さは違うので、関数にした。
理系では、大学で受ける教育内容を通じて身に付ける自分の専門知識・スキルがキャリア形成力に直結する。さらに難関大学ならブランド V も高く、V と g(s) は相乗的に作用する。
文理融合型モデル
R = V × f(x) + V × g(s)
ブランド V ×独自の強み f(x)、ブランドV×専門知識・スキル g(s) の両方で勝負できる。文系と理系の要素を両方持つことで、R を最大化しやすい。
数式モデルの適用例
受験勉強全振りで東大文系:
高校時代に受験勉強以外の活動を犠牲にしてしまうと、f(x) が弱くなる。ブランド V は圧倒的に強いが、f(x)と掛け合わせたキャリア形成力はディスカウントされてしまう。
高校受験でMARCH附属校:
高校時代に部活や課題研究など、自分の興味・関心に沿った活動を積み重ね、f(x) を高める戦略が取りやすい。ブランド V は上位国公立+早慶に劣るが、トータルでのキャリア形成力を高くできる。
早慶文学部:
自分の興味・関心に従って、文化人類学、哲学、歴史などを学ぶ。就活ではプラスにならなそうだが、独自の強み f(x) は高くなっており、その強みが活きる領域でのキャリア形成力は高い。
筑波大学社会工学類:
データサイエンスなど専門的学びと PBL(Project Based Learning)を通して g(s) を高めることができる。独自の強み f(x) も活かし、 f(x)とg(s) の両方で R を最大化できる。
文系でも Vf(x) + Vg(s) になる
文系でも理数系のリテラシーが求められるようになってきており、V × g(s) がキャリア形成力の重要な要素になると予想される。
学歴ピラミッドのスイートスポット
30年前は、文系は R=V、理系は R=V × g(s) に近く、独自の強み f(x) は今ほどには評価の対象になっていなかったかもしれない。しかし、AI時代の到来や価値観の多様化により、自分軸での経験を積み重ねること(=独自の強みを持つこと)が重要な意味を持つようになってきた。
まとめると、受験勉強に全振りして f(x) を犠牲にするのはリスクがある。本質的なキャリア形成力は f(x) に依存する。大学合格はあくまで通過点にすぎず、ブランド V、専門知識・スキル g(s)、独自の強み f(x) の三つをどう組み合わせるかで、最終的な R が決まる。
思考の道具として数式モデルを使うことで、学歴ピラミッドのスイートスポットを狙う意味が見えてくる。ブランド V、専門知識・スキル g(s)、自分軸の強み f(x) の三つをバランス良く高めることで、最終的なキャリア形成力 R を最大化できる戦略と言える。