2024年の出生数は70万人を割る見込みだ。今の高3生の出生数は109万人だったので、この18年間で36%も減ったことになる。1989年(平成元年)の出生数は124万人なので、少子化は加速している。団塊ジュニアの出産期がほぼ終わったことが大きい。
今年生まれた子供の2043年度大学受験はどうなっているんだろうか。AIが人間の知性を超えるかもしれない頃だ(シンギュラリティは2045年頃と予想されている)。しかし、今年の高3生はそんなことを想像している暇はないし、高2生・高1生もそれは同じこと。20年後には消滅している大学やブランド価値が大きく失われている大学には行かないようにしたい、といったところだろう。
首都圏の場合、大学のランク・序列はMARCHを基準に語られることが多い。MARCH以上か、MARCHより下か。MARCHの存在はそれほど大きい。
少子化が進んでもMARCHのブランド価値は維持されるのか。学力は正規分布に従うとして、平均値に標準偏差σを足したところが偏差値60(上位16%ぐらい)。MARCH以上=偏差値60以上になっているわけで、この等式が維持されている限り、MARCHブランドの価値は毀損しないはずだ。
しかし、少子化に合わせて学生数を減らしていかないと、この等式は成り立たなくなる。大学もビジネスなので、定員数の削減よりも学生の学力レベルの低下が先行する。企業側では「新人のAさん使えないんだけど」と人事部への苦情が増える。MARCHという学歴だけでは不十分で、思考力がテストされるようになる。
東大といえども、学生数を減らさないと学力ラインは下がっていく。東大が本格的に定員削減を開始するのはいつか。出生数が100万人を切った2016年生まれの子供が大学受験を迎える頃かもしれないし、もう少し早く起きそうな気もする。アメリカだったら世界から学生が集まってくるだろうけど、日本語で授業を行う限りそれには限界がある。
少子化とは直接関係ないが、予測困難な時代になってきているので、今の学習指導要領の言葉を借りれば、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力が求められるようになってきている。
学歴が価値を失うことはないだろうが、学歴だけではダメな時代が来ている。子供には高校大学を通じて一生役立つ思考力と学びを継続する力を身につけてもらいたい。