高校物理では、万有引力の法則を学んだ後にケプラーの法則を学ぶが、歴史はもちろん真逆だ。惑星の運動がケプラーの法則に従うにはどういう力が働くかという考察から、ニュートンは万有引力の法則を導いたとされる。
ケプラーの法則
第1法則
惑星は、太陽を一つの焦点とする楕円軌道を描く。
第2法則
惑星と太陽を結ぶ直線が一定時間に通過する面積は一定。
第3法則
惑星の公転周期の2乗は軌道の長半径の3乗に比例する。
惑星の軌道を円で近似すると、重力加速度が距離の逆2乗(1/r^2)に比例することを利用して、ケプラーの第3法則を導くことができる。また、次元解析という手法を使って導くこともできる。
「物理のエッセンス」(浜島清利氏)に、この次元解析は出てくる。
惑星に働く重力は向心力なので、角運動保存則が成り立つ(これはケプラーの第2法則そのもの)。
角運動量=ベクトルの外積。
第1法則を導くのが一番難しい。万有引力を受けて運動する物体(惑星)の運動方程式を解くと、楕円軌道になるが、この導出プロセスが長い。
物理学科の人は本当に凄いと思う。
惑星の運動に関して力学的エネルギーEは保存されるが、Eがマイナスの場合に楕円になり、E=0の場合に放物線になり、E >0の場合に双曲線になる。離心率eで考えると、0<e<1なら楕円、e=1なら放物線、e>1なら双曲線になる。
数学Cで習う二次曲線(双曲線、放物線、楕円)は、惑星運動を理解するためのお膳立てなのではないかと思う。
物理を履修しないで数学IIIや数学Cを履修するのは、アプリケーションが禁じられた世界でOSを学ぶようなものかもしれない。