地球の質量をM、物体の質量をm、地球の中心から物体までの距離をrとした時、地球と物体との間にはたらく万有引力は、
F = GMm/r^2
Gは定数。質量の積に比例し、距離(r)の2条に反比例する。
万有引力の位置エネルギーは、
U = -GMm/r
万有引力を積分することで導かれる。
地球の周りを等速円運動している人工衛星の速さや周期を求める問題、人工衛星を無限遠方に到達させるのに必要な脱出速度を求める問題などが定番のようだ。
しかし、「重力はどのように伝わるのか」という問題のほうがはるかに重要だ。「摩擦力などは近接作用、重力は遠隔作用」ではない。物理基礎には万有引力は出てこないだろうから、高校生の約8割はこの問題について思いを巡らすこともなく、高校を卒業していく。
「重力とは何か」(大栗博司氏)によると、重力の正体は時空間の歪みであり、この歪みが物体の運動に及ぼす影響=重力とのことだ。時空間の歪みは質量によって生じる。
電磁波(光)は電場と磁場が交互に誘導し合って光速で空間を伝わるが、時間と空間の曲がりが波となって光速で伝わる重力波が存在するとされる。
重力は近接作用だった。
重力はどのように伝わるのか。一般相対性理論を学ばないと正確にはわからないのかもしれないけど、だからといって全く取り上げないのはよろしくないと思う。高校物理の先生は、授業2回分ぐらいを使って「重力とは何か」について面白い話をしてほしい。
次回は、万有引力とケプラーの法則の関係を取り上げたい。